トップページに戻る

【ウマ娘怪文書】「………またッスか」ギクッと、肩を震わせる。やばい、流石に誤魔化しきれなかったか くんくんと、鼻を鳴らすバンブーメモリー。俺の担当彼女はしかめっ面で、こちらの肩口辺りに鼻を向けてくる


1: 名無しさん(仮) 2023/07/22(土)01:26:25

「………またッスか」

ギクッと、肩を震わせる。やばい、流石に誤魔化しきれなかったか
くんくんと、鼻を鳴らすバンブーメモリー。俺の担当
彼女はしかめっ面で、こちらの肩口辺りに鼻を向けてくる

「ファブリーズとかで相当努力はしたみたいッスけど……ウマ娘の鼻は誤魔化せないッスよ」
「………ごめん、我慢できなかった」

はぁ、と。ため息をつくバンブー

「ここまでくるとよっぽどッスね………そんなに我慢できないものなんスか?」
「昔からずっと吸ってたから。自分で言うのもなんだけど、すぐにやめろっていうのも酷な話だよ」
「だからって、ずっとそのままもどうかと思うッスよ」
https://gia-chan.com/wp-content/uploads/2023/11/1689956785256-150x150.png




2: 名無しさん(仮) 2023/07/22(土)01:26:38

本気で怒ってるわけじゃない。それはわかるけど
腰に手を当ててぷんすかしてるバンブーに、申し訳ない気持ちと、勘弁してほしい気持ちが同時に湧き出てくる

「本数自体は着実に減ってるんだ。もう少し、もう少しのはず………」
「ほんと、健康に悪いッスよ?」
「自分でもわかってはいるよ。でも、それですぐにやめられるようなものでもないんだ」

原因は、今朝の自室のベランダ
そこで吸った、一本の煙草だった






3: 名無しさん(仮) 2023/07/22(土)01:27:02



「喫煙者なのは担当になった時から知ってたッスけど………あそこまで重篤なヘビースモーカーだとは思わなかったッス」

トレーナー室でお茶を飲みながら呆れた顔のバンブー。やはり本気で怒っているわけではないのだろうけど、彼女としてはお小言の一つ二つは言いたい事らしい

「そんなに最初は酷かった?」
「会う前はどこでなにしてたんだこの人って思う程度には」
「あ、結構深刻なレベルだったんだ」
「実際、縁のないジャンルの臭いだったから戸惑ったッス。後で理由を聞いて呆れたッスけど」

トレセン学園でトレーナーという職に就いている人間が煙草を吸える時間というのは極めて限られている
それは自宅、もしくは街中の喫煙が許されたスペースのみ。ごくわずかな時間だ
トレーナーの中での喫煙者の割合は著しく低いがそれでもいないわけではない。数名知ってる奴もいるし、自分だってその一人
ただ………その限られた時間の中で吸う本数というものが、自分は酷く多くて





4: 名無しさん(仮) 2023/07/22(土)01:27:16

「一日二箱オーバーって。煙草に詳しくないアタシでも多すぎるってわかるレベルッスよ」

返す言葉も無い
担当が決まるまではそんな調子だったのだが………バンブーに出会った時を期に、減煙を決意
というのも、先ほどの通りバンブーに苦言を呈されたからで
流石に、自分の嗜好と将来あるウマ娘の担当を秤にはかけられない。試せる手段は徹底的に試して、まずは確実に本数を減らそうと努力してきた
その結果、今では昔では考えられないほどの本数に減らすことに成功し、より軽い銘柄にすることにも成功した
あともう一歩で禁煙………というところなのだが。これがなかなかうまくいかない

「もう少し、もう少しだから………」
「いやまぁ、昔と比べれば相当いい感じになってるのは事実ですし、それは認めるッスけど………」

かちゃりとカップを置いて、バンブーはこちらに視線を向ける




6: 名無しさん(仮) 2023/07/22(土)01:27:28

「アタシ、嫌ッスよ?担当トレーナーが煙草の吸い過ぎで体壊したとか」

………本当にズルい。それは、ズルいだろう
少なくともトレセン学園に存在するトレーナーで、担当バにそんなことを言われて無視できる者はいないはずだ
バンブーは真摯に、自分の身を案じてくれている。それがわかるからこそ、禁煙なんていう昔の自分では考えられない事に手を出しているのだから

「トレーナーさん見てると、将来なにがあっても煙草には手を出さないでおこうって決意が固まっていいッスね」
「末期患者を見る目で言うんじゃないよ。これでも相当頑張ってるんだから」
「だから、それはわかってるッス。でも………」

立ち上がったバンブーは、カップを手にしてポットの方に向かう
そこでお茶を淹れ直しながら彼女は言葉を続けた




7: 名無しさん(仮) 2023/07/22(土)01:27:46

「最近、ふと思うんスよ。そこまでして、完全に禁煙させるべきなのかって」
「え。煙草吸ってもいいの?」
「出会った時みたいな惨状は論外ッス」

ぴしゃりと、そこは言っておくとばかりに釘を刺される

「でも、トレーナーさんが抱えるストレスの多くはアタシを担当することで生じる業務のアレコレッス。そう考えると、それを少しでも和らげられるなら、節度ある範囲で………とも思わなくもないというか」
「意外だな。てっきり完全禁煙派だとばかり」
「そりゃ吸わないに越したことは無いッスけど。でも」

席に戻って、菓子の包みを開けながら




8: 名無しさん(仮) 2023/07/22(土)01:27:58

「トレーナーさんは大人ッス。お酒も煙草も、自分で責任を負えるし選択できる立場ッス。小娘一人の癇癪でどうこうしていいものなのかって、最近………」
「小娘の癇癪、って………バンブーは俺の事を思って言ってくれてるんだろう」
「そりゃそうッスけど。そもそも、アタシにそれを指摘する権利は本来無いはずなんスよ」

そのしかめっ面は、呆れや怒りではなく。なにか悩むような、そんな感じで
バンブーがそこまでこっちのことを考えてくれていたなんて。というか、それに気づけなかったのは普通にトレーナーとして失態だった
だがしかし。ここでそれに甘えて再び煙草を増やすのも………

「だから、無理して禁煙はしなくても別にいいかなって、最近考えてたッス。節度ある範疇で、大人の趣味ってくらいなら別にって」
「………そんな事言うと、甘えちまうぞ」
「ずっと頑張ってきたッスからね。少しくらいいいんじゃないッスか?」




[6]次のページ

[4]前のページ

[5]5ページ進む

[1]検索結果に戻る

通報・削除依頼 | 出典:http://2ch.sc


検索ワード

ウマ娘 | 怪文書 | ウマ | | 彼女 | | ッス | ギクッ | | 流石 | | バンブーメモリー | 担当 | しかめっ面 | 肩口 |