ゴルゴ13「・・・喪黒福造?」(少女ファネット × 笑ゥせぇるすまん) (21)(完)
1: ◆DCEejEYaj2:2023/11/07(火) 23:46:34.86:AAdftKuj0 (1/12)
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさびしい人ばかり。そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いえいえお金は一銭もいただきません。お客様が満足されれば、それが何よりの報酬でございます。
さて今回のお客様は・・・・・・。
デューク・東郷(年齢不詳) 超A級スナイパー・ワンマンアーミー
おっと間違えました。これは失礼。
改めまして今回のお客様は・・・・・・。
ファネット・ゴベール(14) サン・リュカ中学校第4学年
【消えなかった記憶】
オーッホッホッホッホ・・・・・・。 ご心配はいりません。フランス語くらい話せます・・・・・・」
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2: ◆DCEejEYaj2:2023/11/07(火) 23:47:56.76:AAdftKuj0 (2/12)
PART1 スランプの原因
ーーーフランス 某射撃場
大勢の女学生が見学している中、ファネットがライフルを構えている。
ファネット 「・・・」
ズキューン ビシッ
ファネット 「!」
モブ女学生A 「ああ~・・・」
実況 ≪・・・これはファネット選手、大きく外してしまったようです。最近はスランプ気味とも伝えられます≫
実況 ≪しかし執念でなんとか予選突破はなりました。本大会ではいつもの実力が発揮できるといいのですが≫
ファネット 「・・・」ションボリ
モブ女学生B 「ファネット先輩、最近は調子が上がらないようですわ」
モブ女学生C 「何かしらお悩みでも抱えてらっしゃるのかしら?」
モブ女学生D 「あまり詮索するわけにもいきませんが心配ですわね」
案内放送 ≪それではライフル競技大会予選会、これで終了いたします。お気をつけてお帰り下さい。忘れ物などなさいませんように≫
3: ◆DCEejEYaj2:2023/11/07(火) 23:48:51.67:AAdftKuj0 (3/12)
ーーー 射撃場 選手控室
ファネット (今の生活に不満があるのではない・・・ 両親は赤の他人の私をここまで育ててくれたし、何不自由していない)
ファネット (だが、あの時・・・ 十数年前のあの日、襲撃者から私を守ろうとベッドの下へ隠してくれた母の顔が・・・ 朧気になりつつある)
ファネット (完全にわからないことはないが・・・ それで覚えているといえるのだろうか)
ファネット (ああ、もし、もう一度でもはっきり見ることができたら! 瞼に焼き付けておけるのに!)
ファネット (だが決して叶わない夢物語だ・・・)
4: ◆DCEejEYaj2:2023/11/07(火) 23:50:18.84:AAdftKuj0 (4/12)
PART2 喪黒のフランス旅
ーーー射撃場からの帰り道
おっさん、恵んでくれよ! 金持ちなんだろ!?
いやはや困りましたねえ
ファネット (だれか強請られてるのね!)
ちんぴら 「俺たち今日の晩飯にも困ってんだぜ」
喪黒 「私もそんなに持ち合わせがないんですよ。見逃してくれませんかねえ」
ごろつき 「そんなこと言わないでくれよ~ 頼むよ~」
ファネット (・・・ ・・・ ・・・私一人で勝てる相手ではない。だが見過ごすわけにもいかない)
ファネット (スーツ姿ね・・・ ならば・・・)
ファネット 「あなたたち・・・」
ちんぴら 「!」 ごろつき 「!」
ファネット 「その人、うちの病院の機材を担当してる営業マンなのよ。だから見逃してやってくれないかしら」
ちんぴら (ジャン・ミッシェル・ゴベール病院のファネット・ゴベールだぜ。厄介な奴に見つかったな)
ごろつき (この辺の不法移民はそろって面倒見てもらってるからな・・・ あいつらに睨まれたらやりにくいぜ)
5: ◆DCEejEYaj2:2023/11/07(火) 23:51:40.66:AAdftKuj0 (5/12)
ちんぴら 「・・・ そういやぁさっき炊き出しがあったなあ、素寒貧でも晩飯にありつけるぜ!」
ごろつき 「そういうわけで金はまた今度でいいや」
喪黒 「ホーッホッホッホ そうですか。それではまた」
喪黒 「いやいや助かりましたよマドモアゼル。聖なる怪物ファネット・ゴベールは流石ですねえ」
ファネット 「!?」
喪黒 「有名人ですから顔を見ればわかりますよ。お礼を申し上げます。私はこういう者です」
喪黒が名刺を差し出す。
つ「ココロのスキマ、お埋めします 喪黒福造」
6: ◆DCEejEYaj2:2023/11/07(火) 23:52:26.34:AAdftKuj0 (6/12)
ファネット 「ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒 「実はですねぇ。私、人々のココロのスキマをお埋めするボランティアをしているのですよ。フランスには知人が店を出したのでお祝いに来たんですがね」
喪黒 「まあつまり・・・ 精神的に満たされない人々に寄り添って解決策を提供するっていえば良いんですかねえ」
ファネット 「精神が充実するのは健康にも大事だわ・・・」
喪黒 「ファネット・ゴベールさん、貴女、最近はどうもライフル競技の成績が思わしくないようです。なにかしらココロのスキマがあるのではないですかあ?」
ファネット 「!」 ギクッ
喪黒 「いま助けていただいたお礼もしなくちゃいけないし、私で良ければ相談に乗らせてください。これ、知人の出した店の地図です」
喪黒 「もちろん未成年者が合法的に利用できるお店ですのでご安心ください。それでは気が向いたらどうぞ」
とても良くしてくれる養父母に、死んだ母親に会いたいと我儘を言うのも気が引けた。
学校の友達や病院の職員に言いたくなるものでもなかった。愚痴を聞いてくれる相手が欲しかった。
7: ◆DCEejEYaj2:2023/11/07(火) 23:54:21.58:AAdftKuj0 (7/12)
PART3 喪黒の解決策
ーーーBAR 魔の巣 フランス支店
ファネット「・・・ こんなところにお店があったのね。喪黒さんいるかしら」
BARと掲げられてはいるが昼間から開いているところから一般の飲食店でもあるのだと思った。
ファネットが入店して見渡す。なかなか上品な店だと感じた。
マスターに咎められなかったということは自分が利用できるというのは間違いなさそうだ。
喪黒 「おや、ファネット・ゴベールさん。お待ちしていましたよ。本日は私のおごりですから好きなものを注文してください」
ファネット 「あまり詳しくないのよ。未成年者でも飲めるものを見繕って下さらない?」
マスター 「」(喋らない)
喪黒 「ここに来たということは・・・ やはりココロのスキマがおありのようです」
ファネット 「絶対に他言無用にしてくださいね。私、今の両親の実の子供ではないんです。実の親は・・・ おそらく不法移民(イミグレ)。」
ファネット 「十数年前に不法移民たちが集まって働いてる酒場がモンマルトル西南部の繁華街にあったのよ。幼児だった私と実母ヘゲドゥシュ・スザナもそこにいた。」
ファネット 「ある夜、イミグレ同士の抗争で、強盗がその酒場『ハンガリー狂詩曲』を襲った。多くの人が撃たれて死んだわ。」
ファネット 「でも私は母がベッドの下に隠してくれて・・・ そして直後にあの方が・・・ ある人物が強盗団を撃ち殺して、私を病院へ連れて行ってくれた。」
ファネット 「そこがジャン・ミッシェル・ゴベール病院よ。そして院長ジャン・ミッシェル・ゴベールと看護師長イレーヌ・ゴベールが養父母になってくれた」
喪黒 「心中お察しします。お母様の御霊が救われますように。」