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【AC6怪文書】独立傭兵レイヴンがあの灼けた空で戦っている - 何者かが出したその檄文は心折れ掛けていたルビコン解放戦線に最後の気力を取り戻させ、蜂起させるに十分だった。解放戦線本部の奥、総司令室。彼らはそこにいた。


1: 名無しさん(仮) 2023/09/24(日)19:52:34

【独立傭兵レイヴンがあの灼けた空で戦っている】
何者かが出したその檄文は心折れ掛けていたルビコン解放戦線に最後の気力を取り戻させ、蜂起させるに十分だった。
解放戦線本部の奥、総司令室。彼らはそこにいた。
一人は椅子に深く腰掛けた老人。そして、傍らに立つ細身の男性。
部屋の外から聞こえる開放戦線の面々の気炎を上げる声、 その声を聞きながら老人、ルビコン解放戦線総司令サム・ドルマヤンは一人瞑り思案に耽っていた。
……彼は、レイヴンは選んだのだな。
レイヴン。意思の表象、受け継がれる傭兵の名。
今、その名を継いでいるのは技研の生き残り、オーバーシアー。監視者たちの一員、ハンドラー・ウォルター、その猟犬だ。
……いや、猟犬ではない。
彼は選んだ。自分と同じようにコーラルの声が見えるであろう彼は自分と違い、選択した。
ハンドラーと袂を分かち、ルビコンを燃やさずコーラルと共に生きる道を選んだ。
「セリア……」
かつて心を通わせたルビコニアン、コーラル変異波形の名が思わず口から漏れる。
その名を聞いた傍らに立つリング・フレディはほんの少しだけ顔を歪めた。




2: 名無しさん(仮) 2023/09/23(土)14:56:16

コーラルよ、ルビコンと共にあれ。コーラルよ、ルビコンの内にあれ。賽は投げるべからず。
その警句は自分が広めたものだ。
今、アーキバスによってコーラルがルビコンの外に持ち出されようとしている。
恐らくはアーキバスの裏にはあのシステムが、オールマインドが蠢いており、コーラルリリースを実行しようと機会を狙っているのだろう。
それは防がねばならない。
ドルマヤンは意を決して目を開くと、近侍に声をかけた。
「フレディ。私と共に死ぬつもりはあるか?」
「師父、私はどこまでも貴方と共に」
フレディは一瞬驚きで目を見開くと、嬉しいそうに頭を下げる。
その言葉にドルマヤンは愉快そうに口元を歪めた。






3: 名無しさん(仮) 2023/09/23(土)14:56:54

解放戦線作戦室。
そこにいたフラットウェルは机の上に広げられた資料と地図を交互に睨み付け、表情を歪めていた。
後一手、足りない。
レイヴンの檄文により解放戦線全体は士気を上げ、裏取引で此方に付いたシュナイダーや対アーキバスで一致したベイラム残党や封鎖機構残党も取り込み、ルビコン全域ではアーキバスに対して優位に戦況は進んでいる。





4: 名無しさん(仮) 2023/09/23(土)14:57:19

蜂起に向けて貯めていた戦力、シュナイダー製AC部隊やエルカノ、BAWSの戦力も加え、数で質アーキバスに負けてはいない。
だが、エース級となると話は別だ。
解放戦線には圧倒的な個の力が足りない。
そして、 アーキバス最高戦力であるヴェスパーI は本丸であるパスキュラープラントのある技研都市にいることが確認されている。
今現在の解放戦線にはヴェスパーを抑えるエースがいない。
ヴェスパーIを抑える事を期待していたエルカノの新型を受領したラスティは装備したレイヴンの援護の為、上空のザイレムへと向かった。
健在なヴェスパー部隊は3名。技研都市にいるヴェスパーIフロイトとヴェスパーIIIペイター、ザイレム攻略の指揮を取るヴェスパーIIスネイル。
ヴェスパーIIIペイターには六文銭を当てるとして、ヴェスパーIフロイトに対する 戦力が足りない。
自分ではフロイトの相手にもならない。
数でかかれば今度は主力が足りなくなる。
ままならない……。せっかくの好機だというのに。




5: 名無しさん(仮) 2023/09/23(土)14:57:40

「お待ちください、帥父!」
そんなフラットウェルの思考を遮るような叫びが外から響き、思わず何事だ?と顔を歪めた。
扉が大きな音を立てて開く。
そこにいたのはドルマヤンとその懐刀、フレディ。
「師父ドルマヤン、一体何が!?」
フラットウェルは思わず椅子から立ち上がり、声を上げた。
「御託は良い」
ドルマヤンはツカツカとフラットウェルの近くまで歩き寄ると机に目をやる。
その表情は諦観や失望の混じっていた老人、フラットウェルの知るドルマヤンのものではない。
幾多の戦場を潜り抜けた歴戦の傭兵、戦士の顔だった。
「……やはりな、一手足りんか。フラットウェル、ヴェスパーIのフロイトの相手は私がする」
地図や資料に目を向けていたドルマヤンはふむ、と一人納得すると有無を言わせない視線をフラットウェルに向ける。
「……は?」
フラットウェルはドルマヤンの言葉が理解出来ず呆然とする。……いや、分かっている。あのドルマヤンが出撃すると言っているのだ。




6: 名無しさん(仮) 2023/09/23(土)14:58:23

「先鋒は私がやろう。フラットウェル、 お前は指揮に専念しろ」
「……どういう風の吹き回しですか? 全ては余塵にすぎないとは貴方の言葉だった筈だ」
フラットウェルも礼を欠くのは分かっている。
だが、それでも今まで決して動かなかった巨山が、諦観と失望にまみれていた老人が、動く気になった理由を問い質さずにはいられなかった。
「燃え殻になっていた男が、余塵が鴉に火を付けられた。……それだけのこと」
ドルマヤンはフラットウェルの厳しい視線に動ずることなく口元を歪め、笑って見せる。
困惑するフラットウェルはフレディに視線を向けるが、フレディは肩を竦めるだけだった。




7: 名無しさん(仮) 2023/09/23(土)14:58:38

ルビコン解放戦線格納庫。
「帥父の機体が出るぞ!」
決戦出撃前の格納庫では急遽出撃の決まったドルマヤンのACアストヒクの整備が加わり、喧騒で混沌としていた。
「サム!」
ドルマヤンをサムと呼ぶ解放戦線の人間は多くない。ドルマヤンに声を掛けてきたのはサムとドルマヤンを呼ぶ数少ない者の一人、解放戦線の 整備長だった。
「お前が出るなら、アストヒクのジェネレーターの面倒を見れるのは俺しかいない 」
意外そうな顔のドルマヤンに整備長は自信に満ち溢れた表情でアストヒクを指差す。
整備長はルビコン解放戦線立ち上げメンバーであり、アストヒクの主機であるコーラルジェネレータを完全に整備出来る数少ない男てある灰被り…アイビスの火の生き残りだった。
「そうだな、頼りにしている。 昔から……」
かつて過ぎ去りし日々を思い返しながらドル マヤは頷く。
「帥父!帥父も出られるのですか!?帥父が出ずとも私達が!」
格納庫によく響く声が2人の会話を遮る。
リトルツィイーと呼ばれる解放戦線の若手だった。
「帥父、彼女は私が…」
フレディがツィイーを諌めようと前に出たが、ドルマヤンは無言で首を振り、ツィイーへと近づいた。




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