乾紗寿叶「あなたにその気がないなら彼くれない?」喜多川海夢「へ?」 (19)(完)
1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/09/02(土) 23:27:19.65:4eho/rcMO (1/1)
" 自分自身に 正直に
だからね お願い
奇麗になってく 私を
近くでみてて "
恋ノ行方 - 【この着せ替え人形は恋をする】
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2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/09/02(土) 23:30:13.26:wGabYFoCO (1/1)
「てかジュジュサマって彼氏いますか?」
「何よ。藪から棒に……」
「いやぁ~~~ジュジュサマ年上だから経験ほーふかな~って思いまして……」
喜多川海夢。まるで恋する乙女の顔でそんな愚問を誰に向かって訊いているのか。揶揄っているようには見えないけれど鼻を鳴らす。
「ふん。生憎、私は女子校育ちだから」
「あ、そか。男子との絡みないですよね」
うっかりしていたとばかりに納得しながら。
「じゃあ、好きな人はいます?」
「だから、そんな機会ないわよ」
話を聞いていたのかしら。苛々していると。
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/09/02(土) 23:30:54.40:P2M9IIyMO (1/1)
「実はあたし、そのぉ……好きな人っていうか~~~しゅきぴがいまして~~~」
「五条新菜ね」
「ええっ!? ちょ、な、なんでわかるんですか!? ジュジュサマってエスパー?……ううん! ホンモノの魔法少女なんじゃ……!」
「誰だってわかるわよ」
超能力も魔法も必要ない。喜多川海夢を見ていれば誰だってお察しだ。先述した通り、女子校育ちの私ですらわかる。恋する乙女だ。
「好きならさっさと告白したら?」
「い、いやぁ~~それがなかなかむずくて」
「は? なんでよ」
「な、なんでと言われましても……」
喜多川海夢はこれまで私が出会った中でもずば抜けて容姿が整っている。とはいえ、派手目な陽キャのギャルなので好き嫌いはある。
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/09/02(土) 23:31:02.69:eQ+p4CdvO (1/7)
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怪文書
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5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/09/02(土) 23:32:10.36:iFMN0BcEO (1/1)
「ああ、そう言えば彼は雛人形作りの職人を目指していたわね。なるほど」
「な、なるほどって、どーゆー意味?」
「あなた、金髪やめたら?」
「えっ」
五条新菜は雛人形を愛している。ならば、現実の女性も日本美人のほうが分があるはず。
そう思って提案すると喜多川海夢は頷いて。
「や、やっぱそうかな……わ、わかりまし」
「人の言うことを鵜呑みにしすぎよ」
「で、でも……!」
「自分のことは自分で決めなさい」
「うぅ……ジュジュサマ……」
「だいたい、五条新菜が好きな女性のタイプなんて私が知るわけないでしょ」
と、言いつつも、余計なひとことが溢れる。
「そもそも髪色で相手を選ぶような男に好みを合わせる必要なんてないでしょ」
「でも、ごじょー君が黒髪が好きなら……」
「その場合、彼はあなたの黒髪に惚れるってことになるわけだけど、それで良いの?」
「……ごじょー君はそんな人じゃないもん」
「そうね。それについては、私も同感よ」
親身に相談に乗ってしまう自分に辟易する。
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/09/02(土) 23:32:45.43:eQ+p4CdvO (2/7)
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糞文書
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7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/09/02(土) 23:35:42.36:IZr3Ak/BO (1/1)
「少なくとも、私から見て五条新菜はあなたに悪感情を抱いてる感じはないわ」
「そ、そうですか? ホントに?」
「ええ。むしろ甲斐甲斐しいと思うわよ」
「えへへ……実はぁ、ゲーセンでぬいぐるみ取ってくれたり~毎晩ご飯作ってくれたりしてくれて~~~ホントしゅきってゆーかぁ」
素敵だわ。何故か知らないけれど苛々する。
「あらそう……ところで、喜多川海夢」
「はい?」
「あなたにその気がないなら彼くれない?」
「へ?」
ああ、馬鹿馬鹿しい。なんでこんなことを。
『私は自己満足でやってるんだから、他人の評価なんてどうでもいいのよ』
そう。これは、ただの自己満足だ。だから。
呆気に取られた様子の喜多川海夢へと囁く。
思ってもないことを、その耳朶へと耳打ち。
「私も……五条新菜が欲しいわ」
「っ!?」
さっきまでの従順さが消え失せた。吠える。