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古美門研介「こんな機会滅多にないぞ」黛真知子「自信がないのかしら?」 (15)(完)


8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/08/30(水) 00:29:04.18:7KMNvF/HO (4/8)

「当事者の主張を聞いて結論を出したいと思います。申し立て人、安永メイさんから」

いよいよ審問は佳境だ。黛君が少女に促す。

「いいのよ、今の率直な気持ちを言えば」

ここが正念場だ。だからこそ、口を挟もう。

「子役・安永メイを演じてきた君は自分の言葉を持たないのかな?」
「そんなんじゃないけど……」
「私が代弁しよう。お母さんにこのような仕打ちをしたことをずっと後悔しているね」

弁護士は依頼者の代弁人でもある。示そう。

「留美子さんは過去に2度、自傷行為しました。違っていたら訂正してください」

確固たる事実。悪魔の証明になどならない。

「メイさんはその都度激しく動揺し、母のために必死に仕事に取り組み、危機を乗りこえてきたんです。今回もそうなると思いましたか、留美子さん?」
「そんな計算で自傷行為をしたとでも?」

あくまで推論だと主張するか。もう遅いぞ。




9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/08/30(水) 00:30:00.93:7KMNvF/HO (5/8)

「いいえ、問題はもっと深刻です。留美子さんにとってメイさんの成功はご自身の成功、明さんの苦しみはご自身の苦しみ。一心同体という比喩表現を超えた、危険な領域です」
「親子手を取り、互いに更生する道を探るべきです」
「不可能です。お互いの依存関係を断ち切らなければ治療も更生も図れません」
「親子の絆は……深くて強い」
「深くて強い絆だからこそ困難なんです」

まだわからないのか。自覚が足りていない。
あんたこそ自分に重ねるべきだ。親目線で。
噛んで含めるように言い聞かせるのは少女。

「お母さんには……私のこと忘れて……自分の人生を歩んで欲しいんです。でもいつかまた……一緒に暮らしたい。明のお母さんは……宇宙に1人だけだから」

ぐうの根も出ない父。勝った。私の勝ちだ。

「……代弁はもう必要ないようですね」
「先生、さっきから臭います」
「フハッ! 私としたことが、つい熱が入って代弁ならぬ大便をしてしまったらしい! ほら黛君、出番だぞ。盛大に哄笑したまえ!!」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

勝利の美臭に酔い痴れていると、睨まれた。

「静粛に……では、留美子さんのお話を聞かせて貰えますか?」
「……ありません」
「であれば、今回で審問を終わりとします」

反論はなく審問は終わった。最後に黛君が。

「留美子さん。どのような結果になったとしても、親子の縁を切ることはどんな法律でも出来ません。思い合っていれば、親子です」

朝ドラらしいまとめ方だ。実にくだらない。
とはいえ、私には出せない結論ではあるな。
信じる者は救われる。ならば信じるが得だ。




10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/08/30(水) 00:31:45.87:7KMNvF/HO (6/8)

「スカイツリーは大きかったでしょう?」
「いや、東京タワーのほうが大きかった」
「私が捻り出した大便には勝てませんよ」
「君が漏らす前に私は既に漏らしていた」
「フハッ!」
「フハハハハハハハハハハハッ!!!!」

そんなやり取りをして、父を見送ったあと。

「メイさんはこれからどうするの?」
「知り合いがロンドンにいるから留学する」
「ロンドン!? すごーい!」
「ふふっ。かっこいいでしょロンドン留学」
「じゃあ、芸能界はこのまま引退するの?」
「どうせイメージガタ落ちだもん」
「でも勿体ない気もするな……」
「子役は賞味期限の短い消耗品だよ」

依頼人は芸能界を引退するつもりらしいが、三つ子の魂百までという言葉もある。物心ついた時に洗脳され刷り込まれた役者の技能。

「いつかまた一緒に暮らしたい。私のお母さんは宇宙に1人だけだから。どこかで聞いた記憶があるんだがねぇ?」
「あ、それメイさんが主演のドラマの台詞」

そう簡単には人は変われない。そう信じる。

「君は根っからの女優だよ。必ずカムバックするさ。シェイクスピアの国で思う存分学んでくるといい」
「えへへ! じゃねー!」

依頼人はシェイクスピアの国へと旅立った。





11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/08/30(水) 00:32:47.21:7KMNvF/HO (7/8)

【エピローグ】

「はい……ああ、あなたでしたか。いや、わざわざ東京まで出て行って恥を掻くとは思いませんでしたよ……嬉しい? 私が? 息子に負けて漏らすほどに? フハッ! まさか」

奉公人からの電話に談笑しつつ私は訊ねる。

「ところで……あなたのことはまだバレてないんでしょうね?」
「はい。今でもこちらの古美門先生は私のことを一般公募で応募してきたと思ってます」
「そう……嫌ならいつでもやめていいんですからね」
「いえ。先生に拾って頂いた命です。せめて御子息に奉仕させて下さいませ」

服部君は、優秀な忍びだ。研介は知らない。
まさに親心子知らず。独り立ちしたつもりでいる息子はまだまだ子供という証明である。

「それに先生こっちは楽しゅう御座います」

そう嘯いて受話器越しに楽しげな声が響く。

「サンタクロースの起源は恵まれない子に無償で穀物などを配っていた4世紀の司教ニコラスとされています。恐らく彼の行いを弟子が受け継ぎ、やがて一般家庭にも広がっていったんです」
「だからどうした」
「つまりサンタクロースは無数にいるんです。親が子にプレゼントをした瞬間、その人はサンタクロースなんです。サンタクロースとは誰かが誰かを想う心そのものなんです! よってサンタクロースは存在します!!」
「詭弁が得意な黛君。何か臭うんだが?」
「さっきの仕返しですよーだ!」
「フハッ!」
「ビッグ・詭便! 大便だけに。なんちって」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

ロンドンへと旅立った安永メイへの餞別だろうか。なかなか優秀なパートナー便護士だ。
親しいわけではないが、哄笑させて貰おう。

「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

受話器を置いて確信する。洗脳ではないと。


【リーガル・トイレハイ】


FIN




12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/08/30(水) 00:34:32.57:7KMNvF/HO (8/8)

【おまけ】

「役者志望じゃなく役者! 来月舞台あるし」
「ふーん」

そう威張り散らす蘭丸を少女は鼻で笑って。

「ちなみに、何の役?」
「シャイロック」
「ヴェニスの商人ね。やってみて」
「はあっ!?」
「見てあげるわ」

ふんぞり返る少女。私と黛君が囃し立てる。

「こんな機会滅多にないぞ」
「自信がないのかしら?」

すると蘭丸は渋々演技を披露せざるを得ず。

「しょうがないな……1回だけだからな」

咳払いをして、そこそこの演技力を見せた。

「奴は俺を馬鹿にした。悉く俺の邪魔をして俺の損を嘲笑い……!」
「はいはいはいはい。陥りがちな失敗ね。シャイロックはたしかに糞みたいな悪役だけど、血の通った人間でもあるの。そこがシェイクスピアのふかーいところよ?」

なるほど。しかし抽象的だな。こんな時は。

「はい。服部さん」

白羽の矢を向けると服部さんは名演を披露。

「フハッ! フハハハハハハハハハッ!!!! 奴は……糞を漏らした俺を馬鹿にした……!」

素晴らしい。泣ける。天才子役も感心した。

「うまーい! 私もうかうかしてらんないね」
「はははは。恐縮です」

この時に、少女はロンドン入学を決意した。


【便ミスの商人】


FIN




13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/08/30(水) 00:56:28.28:TEUT6AHzO (1/1)


怪文書





14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2023/08/30(水) 01:02:36.71:urAucOC50 (1/1)

最近クソスレよく立つな
>>1の肛門が緩んでる証拠だな、油物は控えて食物繊維を多く摂った方がいいぞ
頭が悪い文章は神経関連が不安定なのが原因かもしれん、乳製品とくにヨーグルトを中心に常食して小魚の乾物やナッツ類を意識して摂るように、ビタミンEに富むアーモンドやセロトニン生成に重要なトリプトファンに富むクルミがオススメだぞ




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