トップページに戻る

【ウマ娘怪文書】ウマ娘にとって勝負服とは、己の内にある闘争心を鼓舞するべく身にまとう戦装束であり、自らを飾り立てる装飾具でもある トゥインクルシリーズにおいてG1と言う特別な舞台に立つ際に着て走るものである以上、生半なデザインでは到底納得できないと考えるウマ娘も少なくない


1: 名無しさん(仮) 2023/06/29(木)02:12:57

ウマ娘にとって勝負服とは、己の内にある闘争心を鼓舞するべく身にまとう戦装束であり、自らを飾り立てる装飾具でもある
トゥインクルシリーズにおいてG1と言う特別な舞台に立つ際に着て走るものである以上、生半なデザインでは到底納得できないと考えるウマ娘も少なくない
今現在着用している服が生まれ出るまで、幾度もデザインを変更するケースも存在する
そんな、言ってみれば『消えた』勝負服がどこへ行くのかと言うと──

トレセン学園に通うウマ娘において、レースを走るのではなく走る側のサポートに回るという選択肢を選ぶ生徒も少なからず存在する
ウイニングライブ運営に携わるもの、トレーニングメニューを考案するもの、レーススタッフ研修コースに進むもの、そして勝負服や蹄鉄等のレース中着用するアイテムのデザインを学ぶもの
「ふーん、この中ってこういうふうになってたのだ?」
その日、シンコウウインディが侵入したのは普段は足を踏み入れることのない学園の一角、デザイン科の倉庫であった






2: 名無しさん(仮) 2023/06/29(木)02:13:18

いつかイタズラに使えるかも、と言う発想の元、彼女は学園内を備に下見をしては、逃走時に身を隠せそうな物陰だったり、イタズラグッズを隠すためのポイントだったり、もしくは新たなイタズラのアイデアを閃いたりと日々の努力を欠かさないウマ娘であった
そんな彼女が何のためにこの倉庫を訪れたのかと言うと、何のことはない
「鍵が開いてたからつい入っちゃったけど……色んな服があるのだ」
単に倉庫の鍵が施錠されてないのを見かけ、好奇心に従い中に侵入しただけである

「へー……なんか制服みたいなのだ」
「ほー……こんな靴で走れるのだ?」
「ふーん……あ、これ前ライブで見たやつなのだ」

設置されている棚と棚で作られた通路を気ままに進み、時に箱を開けては中身を観察する、という行為を繰り返しているうちに、ウインディは見た事のある名前が記されたケースを発見した
『ヒシアマゾン』
と名札には記されており、恐ろしくも優しい美浦寮の寮長に関係するグッズが収められているのだろう




3: 名無しさん(仮) 2023/06/29(木)02:13:45

「どれどれ?」
引き出し型の衣装ケースは施錠されてなかったので、スイと引けば中の物がすぐに目に入った
「……んん?」
出てきたのはパッケージされた一着の服、なのだが
「これ上の分しかないのだ?」
中に入っていたのは、いわゆる水夫服がモチーフとなったのであろう勝負服だっただが、シャツとスカーフしか収納されていなかった。対となるはずのスカートやズボンと言った類が存在していない
「あ、でも裾の部分が長いから……ワンピースみたいなものなのだ?」
いや、そうだとすると随分と裾の部分が心もとない。今現在ヒシアマゾンが着用している勝負服を脳裏に思い浮かべる。今でも随分と短いスカートを着用しているが今手元にあるものを着用すれば、もっと上まで見えてしまうのではないだろうか





4: 名無しさん(仮) 2023/06/29(木)02:13:58

「……寮長ってもしかしてヤバイ奴がなる役職なのだ?」
そう言えば、と栗東寮の寮長の勝負服を思い出す。あれもあれで随分と攻めたデザインだと思う

などと思考の海に浸っていたところ、ポンと肩を叩かれて意識を戻す。ぎぎぎ、とゆっくり叩かれた方を振り返ると
「駄目ですよ、ここ。関係者以外はあまり入ってはいけない所ですから」
そこにいたのは、幾人かの清掃スタッフを引き連れて笑顔を浮かべる理事長の秘書様であった




5: 名無しさん(仮) 2023/06/29(木)02:14:15

─ ⏱ ─

たづなさんから呼び出しの電話があったので、指定された場所に足を運ぶと、自分が呼び出された理由が理解できた
普段は足を運ばない倉庫区画へ向かう渡り廊下
そこにコンコンと何かを説いているたづなさんと、床に正座させられてる自分の担当ウマ娘・シンコウウインディの姿があったからだ
「あ、トレーナーさん」
自分の姿を認めたたづなさんが声を掛けてくる
「どうもすみません……でいいんでしょうかね、これ」
状況から見てウインディが叱られるような何かをしたのだろうと当たりを付けて開口一番で謝意を告げて、その対応の是非と問う
「ええ、まぁ、そうですね」
と言ってたづなさんがここまでに至った経緯を教えてくれた




6: 名無しさん(仮) 2023/06/29(木)02:14:30

「不法侵入とまでは言いませんが、一応学園の財産が収められている区画ですし、あまり関係のない生徒が出入りするのはよろしくはない場所ですので」
「ですよね」
「う……ウインディちゃんは悪くないのだ」
正座をしたままでウインディがそう抗弁するが
「いけませんよ、シンコウウインディさん見方を変えれば窃盗未遂の現行犯と取られかねない状況だったのですから」
まぁそんな処置は致しませんが、と補足してたづなさんはウインディに立つよう促して
「では今後はこのような事を繰り返さないように」
と言って彼女の身柄をこちらへと渡してきた。とりあえずウインディの口からも何をしてたのかを聞くため、自分のトレーナー室へと戻ることにした




7: 名無しさん(仮) 2023/06/29(木)02:14:45

ウインディが何をしていたのか一通り聞き取ってから軽くお説教し、それを終えた後
「あのねトレーナー。いっこウインディちゃん疑問があるのだ」
「なんだ?」
彼女からとある質問が飛んできた
「ヒシアマの、多分今の勝負服に決まる前の試作品だと思うんだけど、このくらいの丈のセーラー服のシャツしか入ってなくって……シャツだけの勝負服なんてあり得るのだ?」
「そりゃーお前……スカートの部分は今の勝負服に流用したんじゃねえの?」
一瞬だけウインディが手を広げた分の長さのシャツだけを着たヒシアマゾンの姿を脳裏に浮かべたが、さすがにその状態でレースを走るのは正気の沙汰ではない
それでも首を傾げてる担当に、その恰好で走れるかどうかを実際に体験させたところ、
「確かに無理なのだ……」
と納得してもらえたのでこの話はここで終わった




[6]次のページ

[4]前のページ

[5]5ページ進む

[1]検索結果に戻る

通報・削除依頼 | 出典:http://2ch.sc


検索ワード

怪文書 | ウマ娘 | ウマ | | 勝負 | 闘争 | 鼓舞 | | | 装束 | 装飾 | トゥインクルシリーズ | G | 特別 | 舞台 | デザイン | 納得 |