【ウマ娘怪文書】ウマ娘にはそれぞれ運命があると聞いたことがある 特定の相手との縁を感じたり、特定のレースへの情熱があったり、とあるタイミングで怪我をしたりそして、ある季節になると消えそうになったり
2: 名無しさん(仮) 2023/03/29(水)19:58:06
だがふと吹いた一陣の風によって彼女を思い出した俺は、一生彼女と共にいる事を誓い、それからは春に体調を崩す事も無くなっていった。
運命は乗り越えられた。そう、思っていた
3: 名無しさん(仮) 2023/03/29(水)19:58:29
「調子はどうだ?マーチャン」
「おや、今日も来たのですか?お仕事の方は...」
「他の人に任せてきたよ」
「むう、さすが用意周到ですね。ですがマーチャン知ってますよ。最近四コマの更新をしてない事を」
「うっ....」
「あなたにはマーチャンを発信し続けて欲しいのです。どんな時でも、何があっても...」
「......」
「それにマーチャンは絶対に治ります。そしたら奇跡の回復をしたフジミノマーチャンとして、入院している人達にも覚えてもらえるのです」
「....ははっ。それじゃあ新しいマーチャン人形の衣装も考えないとな」
4: 名無しさん(仮) 2023/03/29(水)19:58:45
それからはただ他愛もない話を続け、気がつくと面会時間が終わりかけていた。
「おっともうこんな時間ですね。明日もお仕事ですしそろそろ...」
「そうだな。じゃあまた明日」
「四コマ、描いてくださいね」
「.......善処するよ」
そう言うと病室から出て歩くが、たまらずベンチに腰をかけていた
(あまり目が合っていなかった....視野が狭くなってきてるんだ)
あの春以降、人々がマーチャンを忘れる事は無くなり、全ては解決したのだと思っていた。しかし引退してから数年、予想外の所からまたそれは襲ってきた
5: 名無しさん(仮) 2023/03/29(水)19:59:07
脳腫瘍
初めは単なる頭痛だと思っていた。仕事続きで疲れていたのだと
しかし薬を飲んでも一向に収まらず、病院で精密検査をした結果かこれだった。しかもかなり奥の方に出来ているため手術で取り出すのも困難とまで言われた
勿論できる限りの手段は探した。しかし世界がそれを拒むかのように症状は進行し、ついに目に症状まで出始めた。後どれだけの命なのか...
6: 名無しさん(仮) 2023/03/29(水)19:59:29
『あなたにはマーチャンを発信し続けて欲しいのです』『四コマ、描いてくださいね』
ふと、言われた事を思い出し鞄からタブレットとペンを取り出す
勿論、マーチャンの四コマは何度も描こうとしていた。長い付き合いだ、きっとこんな状況でもマーチャンはそれを望んでいるのは分かっていた。しかし...
(描ける訳ないだろ...!だって...)
彼女がどんなに苦しんでいるかを自分は知っている。見るだけでも苦しいのに、それを自分の手で描かなければならない。それにどうしても耐えられそうになかった
何より残るものが出来たら、また彼女が消えてしまうかもと思ってしまった
7: 名無しさん(仮) 2023/03/29(水)19:59:44
「やっぱり無理だ...今日はもう帰ろう」
そしてタブレットを鞄に戻して帰ろうとすると
(ドンッ)「うわあ!?すみませ....」
どうやら人にぶつかってしまったようだが、相手の姿を見て一瞬信じられなかった
背は自分より遥かに高く、そしてぶつかった際に分かったが全身が筋肉の塊のように鍛えられている。しかし何より目を引くのは...