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勇者「用件を聞こうか・・・」 隠者「神に因らざる”命”を消して下され・・・」 (47)(完)


8: ◆IG18SUC7FQ:2023/03/15(水) 21:34:18.47:Rt4TKwq30 (8/45)

PART 2  新品の人々

――― どこか山奥の田舎  どの王国もなかなか手が届かない僻地である


村人 「おお、大司教様、私どもの家内を病からお救いくださり感謝いたしますだ」

村人 「ランサー様も看病をありがとうございましたです」

村人 「お礼の貢ぎ物でございます」

大司教 「ああ。私の研究が役に立って何よりだよ」

大司教 「なにしろ内臓が新しくなったんだ。前よりずっと元気になる」

村人 「? ・・・おら無学でよくわかんねえけっど、とにかくありがたいこっちゃです」




9: ◆IG18SUC7FQ:2023/03/15(水) 21:34:55.50:Rt4TKwq30 (9/45)

ランサー 「病気になってもまた大司教様が助けて下さるだろう。感謝し敬うことだ。」

村人 「へへへ・・・ これからもどうかよろしくお願いしますで・・・」 (立ち去る)

ランサー 「大司教様の人気はうなぎ上りですよ!」

ランサー 「いくら田舎とは言え、大司教様を慕う連中を合わせれば」

ランサー 「ちょっとした王国と言っていい!」

大司教 「そうだな。この調子で俺の信奉者を増やすんだ。」

大司教 「もう少し信奉者が増えたら、世界に突きつけてやる!」

大司教 「人間の俺が主神と並んだ、とな。その時はお前も働けよ、試作品第1号」

ランサー 「はい、私の創造主様!」





10: ◆IG18SUC7FQ:2023/03/15(水) 21:37:11.99:Rt4TKwq30 (10/45)

大司教 「はっははは、良い響きだな! 意識があるのはまだお前1人だがもうすぐ兄弟もできあがるぞ」

大司教 「まあ意識の無いのもさっきの農婦の修理(ちりょう)のように、部品(ないぞう)を取るために必要だ・・・」

大司教 「大量生産しなくっちゃな」

秘書  「大司教様、治癒の秘儀の時間です。信者達が集まっておりますので広場の天幕へどうぞ」

大司教 「おう、そんな時間か」


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11: ◆IG18SUC7FQ:2023/03/15(水) 21:42:12.46:Rt4TKwq30 (11/45)

ランサー 「それでは秘儀を始める。今日は眼病患者だな。幕の中へきたまえ」

眼病患者「うう、こちらですか」

大司教 「そうだゆっくりでいいぞ。こっちにこい」


数分後・・・


眼病患者 「やった、見えるぞー! 見えるぞー!」

信者達 「奇跡だ、奇跡だー!」「大司教様は主神様だー!」「・・・・」「大司教様ばんざーい!」

大司教 (フン、部品を交換すりゃあいいんだ。人体なんてのはまるで時計だね。)





12: ◆IG18SUC7FQ:2023/03/15(水) 21:43:12.15:Rt4TKwq30 (12/45)

大司教 「その通りだ。人間である私が神になれたのだ。お前達もついてこい、天使になれるぞ」

大司教 「私の言うことを聞いていれば、な」

大司教 「人命創造の日はもうすぐだ。その日、私は主神となり・・・ お前達を天使として造り直す」

大司教 「私にひれ伏すが良い!」

群衆 「あ、ありがてえありがてえ」「どうかお導き下さい」「大司教様ばんざーい!」

大司教(!)

ランサー(ん?)

大司教 「さて、今日は終わりだ。研究を手伝えランサー」

ランサー「はい・・・」 (何を動揺していらっしゃるのだろう)




13: ◆IG18SUC7FQ:2023/03/15(水) 21:43:54.10:Rt4TKwq30 (13/45)

PART 3  背教者の狼狽

大司教 「さっきの群衆にカミソリのように鋭い眼光のがっしりとした男がいただろう。そいつは何者だ?」

秘書 「ええと、隣国から来た商人です。分派の教えに感銘を受けて入会希望だとか。」

秘書 「大司教さまの威光も広がっていますよ!」

大司教 「ば、馬鹿野郎! お前はあいつがただの物売りに見えたのか!? この間抜けが!」

秘書 「は?」 ポカン

ランサー 「!」

大司教 「あいつは勇者だ! 超A流のプロフェッショナルだ。世界最高のテロリストだぞ?」

大司教 「間違いない。まだ教団本部にいた頃に人相書きを見たことある。それにすげぇ殺気だった。」





14: ◆IG18SUC7FQ:2023/03/15(水) 21:45:39.78:Rt4TKwq30 (14/45)

秘書  「ええ?」

ランサー 「勇者・・・ ですか。只者ではないと感じましたが・・・ 雇い主は教団長でしょうか。」

大司教 「おおかたそうだろう。」

大司教 「そんな野郎が入会希望だなんて、悪霊を入れた方がいくらかマシだぜ。おいランサー」

ランサー 「は」

大司教 「勇者が入会希望者を装ったならいつもの宿舎にいるんだろ。手練れを引き連れていって始末しろ!」

大司教 「なるべく騒ぎを大きくするなよ。お前の槍術の見せ所だ」

ランサー 「はい!」

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