1: 2025/05/20(火) 18:02:06.15
出産費用の無償化が現実のものになろうとしている。
厚生労働省「出産費用の状況等」によると、出産費用の令和5年の全国平均は約49万円。2023年4月から出産育児一時金は50万円に引き上げられたが、地域や医療機関によっては「それでも足りない」という声も多い。実際、厚労省の調査では、一時金を上回る費用がかかったケースは全体の45%にものぼっている。
こうした現状を受け、政府は2026年度までに実質無償化の方針を掲げている。助産師の御木本りかこ氏はこう話す。
「出産費用が無償化されることは歓迎すべきことですが、これで産む人が一気に増えるかというと疑問が残ります。実際には出産費用だけが拡充されても…という声も現場では聞かれます。そりゃそうですよね。子どもは産んでからの方がお金がかかりますから」
そもそも産むお金すらない人に育てられないという指摘もある。
「ごもっともです。ありがたい制度ではありますが、他にもっと拡充すべき点があるのでは?と声を上げる人も少なくありません」
特に複雑な思いを抱えているというのが不妊治療を続ける人たち。
「不妊治療には相変わらず大きな自己負担が残っています。『産める人にだけお金が出るの?』と感じてしまうのも無理はないと思います。できるかできないかという壁は思った以上に高い」
体外受精や顕微授精といった高度不妊治療は1回あたり平均で約30万円、複数回行うことが前提となるため、総額で100万円を超えることも珍しくない。
政府は2022年4月から不妊治療の一部を保険適用とし、経済的負担の軽減を図った。しかし保険適用には年齢や治療内容の制限があるため、適用外となるケースや、自費診療に頼らざるを得ない人も依然多い。
「制度設計の曖昧さが、当事者同士の分断を深める要因になってはいけません。出産無償化の流れの中で、見えづらい声をすくい上げる視点も必要だと感じますね」
実際、長年不妊治療を続けているある女性は、今回の出産費用無償化の報道を目にし、落胆したという。
「シンプルに“産めるのにタダとかズルい”って思ってしまいました。こっちは妊娠すらできないのに贅沢じゃんって…。こうやって思ってしまう自分もつらい。どうして、みんなが当たり前にできることが自分にはできないんだろうと思い悩む日々です。治療費も高額で、心身ともにボロボロになっていくばかり」
御木本氏は最後にこう話してくれた。
「このような埋もれがちな声の存在に気がつき、置き去りにしない。それが政治の役割だと強く思います」
FORZA STYLE 2025/05/20
https://forzastyle.com/articles/-/74617