1: 2025/05/19(月) 10:24:40.34 ID:gOSAuYgK9
「歌うアイスクリーム屋」として知られる「コールド・ストーン・クリーマリー」が、国内で1店舗のみになった。
原宿店と佐野プレミアム・アウトレット店、三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島店の3店舗を展開していたのだが
4月28日に原宿店が、5月6日に佐野プレミアム・アウトレット店が閉店したのだ。
2005年に上陸したコールド・ストーンはその独特な提供スタイルが評判となり、最盛期は34店舗まで店舗を増やす。
しかし、流行は長くは続かなかった。徐々に衰退しながら店舗を減らし、とうとう1店舗のみとなってしまった。
なぜ、コールド・ストーンは定着しなかったのか。これには色々な理由があるだろうが、これを考えていくと「日本人とチェーン店の関係性」が見えてくる。
■歌のパフォーマンスが客足を遠ざけた?
コールド・ストーンの苦境が語られるとき、度々話題に上がるのが、名物ともいえる「歌う」パフォーマンス。
同店ではアイスクリームを作る際、店員さんが50種類以上あるともいわれる歌を歌ってくれる。
ミュージカルの世界に突然投げ込まれたかのような演出が、どこか日本に住む人の気質に合わなかったのでは……というのだ。
大雑把に「日本人」とくくるのもいかがなものかとは思うが、とはいえ私自身の経験を踏まえても、それは一理あると思う。
【中略】
■能動的なサービスは受け入れられづらい!?
私は仕事柄、さまざまなチェーン店を見て、日本に住む人がどのようにチェーン店を使っているのかを考えている。
そのとき感じるのは「能動的すぎるサービス」はなかなか受け入れられづらい、ということだ。
特に全国に多くの店舗を広げるチェーン店の場合、この傾向は顕著になる。
「人と関わらないで楽にサービスが受けられるから使う」という人も多いからだ。
【中略】
■世界的に人気なのに、日本では今ひとつなサブウェイ
それは店舗数にも表れている。サブウェイは2014年に店舗数のピークを迎え、それ以降の10年で300店舗以上が閉店。
昨年、居酒屋・宅食大手のワタミに日本事業を買収される結果となった。やはり定着しなかったのだ。
理由はさまざまあると思うが、やはりその一つにはオーダーシステムのわかりにくさと、どこか「能動的」な店舗体験が指摘できるのではないかと思う。
【中略】
ただ、コールド・ストーンの例を見ていると、やはり単に「体験させればいい」というものでもない、と思う。
むしろ、チェーン店の場合、「体験価値なんて求めてないよ、むしろ人とそこまで関わらないのが気楽なんで……」と思っている人もいるのではないだろうか。
【中略】
作家でエッセイストであるpha氏はこう書く。
店に行くときはチェーン店がいい。チェーン店の店員はマニュアル以外の余計なことを話さない。
個人商店のおっさんのように「このへんに住んでるんですか」とか「最近よく来ますね」みたいな余計なことを言わない(そういうことを言われるともうその店には行かなくなる)。(中略)
制服や挨拶、「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」や「こちら温めますか」などといった決まり文句、そういったマニュアルに定められた定型的行動は
生の人間と人間がむきだしのままで直接コミュニケーションをするという恐怖から僕らを救ってくれるのだ。だから僕はチェーン店が好きだ。『どこでもいいからどこかへ行きたい』(幻冬舎文庫・2020年)
東洋経済オンライン 2025年5月19日 5:45
https://toyokeizai.net/articles/-/877468?display=b