【4/5】人生ド底辺だし、とやりたい放題だったクズの俺が父親になった話。喧嘩ばかりの嫁にイラついて家に帰らず女の家で過ごしてた俺に息子が通う保育園から連絡がきたのが始まりで…
187: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/14(木) 02:22:43.36 ID:r40dd5f3O
ようやく理解した。
知ってる人は知ってると思うけど、『ちいちゃんのかげおくり』って話しがある。
戦争時代の話なんだけど、俺もうろ覚えだから知りたい人は本を読んでほしい。
ハルはちいちゃんのかげおくりを読んで、
ちいちゃんのお父さんのように俺もいなくなってしまうんじゃないかと思ったんだ。
ちいちゃんと自分を重ね合わせたんだろう。
参観日に来て、どうしてもこの話しを俺に聞かせたくなかったんだ。
189: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/14(木) 02:24:29.94 ID:r40dd5f3O
胸に深く突き刺さるものを感じた。
苦しくなる程ハルを愛おしく想った。
自然と涙が零れる。
そしてハルがこんなに不安になるのは、俺が悪いんだとすごく理解した瞬間だった。
俺はハルを抱きしめて。
俺「パパはずっとハルと一緒だよ。
だから心配しないでいいからな。」
不安になるのは無理もない。
ハルは俺のせいで母親を失ったんだから。
190: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/14(木) 02:25:35.69 ID:r40dd5f3O
ハル「やきそく(約束)?…エグッ」
俺「約束。
ゆびきりげんまん…」
俺はハルとゆびきりをした。
レストランに入りご飯を食べる頃にはハルに笑顔が戻っていたけど、
俺は複雑な気持ちだった。
192: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/14(木) 02:28:38.55 ID:r40dd5f3O
ハルの不安な気持ちを、どうしても和らげてやりたい。
そう思った。
きっとハルはサリナが自分を捨てたと思ってるんだ。
ずっと母親の事を聞いてこなかったのがその証拠。
幼いながら確信したものがあったのかもしれない。
まわりの友達には、ちゃんと母親がいるんだ。
気付かないわけがない。
ハルに我慢させていることが、本当に申し訳なく感じた。
193: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/14(木) 02:30:45.96 ID:r40dd5f3O
俺「ハル?
ママに会いたいか?」
ハル「ママ…?」
少し間があいた。
ハル「ううん。
パパがいるからいい」
首をふるハル。
俺「ハルが会いたいって言ったら、
ママはきっと喜ぶよ。
ママもハルとずっと会いたいって思ってたから」
194: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/14(木) 02:32:04.54 ID:r40dd5f3O
ハル「…」
俺「どうした?」
ハル「パパがいるからいいの」
頑固なハル。
そこは俺に似たのかな。
帰って眠りにつくハル。
ハルの寝顔は益々サリナに似てきた。
195: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/14(木) 02:33:11.30 ID:r40dd5f3O
サリナと最後に会って半年が経ち、サリナから手紙がきた。
それから今日までずっと手紙でやりとりしてる。
サリナはハルをいつだって心配していた。
自分から会いたいとは言いづらいのだろう。だから言ってこなかった。
俺からハルに会いたいか?とも聞かなかったけど、それは分かっていることだ。
俺自身ハルを会わすことに抵抗があったのかもしれない。
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