1: 2025/03/09(日) 10:11:51.86 0
谷村綾子さん(37歳、仮名)は、この図書館に勤める図書館司書だ。
館内に入ると神聖とも言える静かな雰囲気、司書たちはカウンターで貸し出し返却業務、
カートを押して本の整理、カウンター奥の事務スペースでは黙々と事務作業をする。
館内は広く、週刊誌や文庫本から専門書、地域の資料まで幅広い本がそろう。谷村さんの終業時間は17時15分。
隣の公園で待つと、17時20分にはやって来た。
黒髪、清楚で堅いイメージ、おだやかでまじめそうな女性だった。
駅近くの喫茶店で話を聞くことにした。駅に向かって歩きながら、給与明細を見せてもらう。
支給総額は17万円。所得税、住民税、社会保険料を引かれて、手取り金額は13万3442円。賞与はなく、年収204万円である。
非正規職員の平均賃金は205万1000円(平成27年賃金構造基本調査統計)、谷村さんは平均的な非正規労働者と言える。
年収204万円、手取り13万3442円で、家賃5万円のアパートでひとり暮らし。手取り給与から家賃を差し引くと、月8万3000円しか残らない。
貧困では「相対的貧困」という概念が使われる。「相対的貧困」は国民1人当たりの可処分所得の平均の、
さらに半分に満たない状態を言うが、家賃を引いた可処分所得が99万6000円の谷村さんは、
実質的にはこの水準に近いといえるだろう。行政機関で通常の常勤職員として働き、非正規雇用の平均給与を稼ぐひとり暮らしの女性が「相対的貧困」に足を突っ込みかねない時代に突入している。
悩んだ末に今年4月から学芸員の資格を取得しようと、通信制大学の科目履修生になった。
給与が安いので外食や交遊、買い物はほとんどしない。仕事、家事、勉強を繰り返す孤独で単調な生活で、
毎日職場や自宅で何度か「私、これからどうなっちゃうの」と、不安になる日々という。
「結婚すれば、生活が変わるみたいなことはよく言われていますが、非正規で低収入な自分にまったく自信がないし、誰かが見初めてくれるとはとても思えない。やっぱり結婚とか出産は、普通以上の収入がある人の特権というか、自分にかかわることとはとても思えないです」
https://toyokeizai.net/articles/-/134801?page=2