【ウマ娘怪文書】ヒシミラクルがドリームトロフィー改に入った そう聞いた時は流石に顔面蒼白になったトレーナーだったがいつも通りケロリとしている様子に安堵し、そして怖くなった
1: 名無しさん(仮) 2025/02/09(日)00:32:56
「真っ暗だったんですよね、真っ暗」
ヒシミラクルがドリームトロフィー改に入った
そう聞いた時は流石に顔面蒼白になったトレーナーだったが
いつも通りケロリとしている様子に安堵し、そして怖くなった
対象の理想を見せ永遠の夢に誘うドリームトロフィー
それがバレンタインデーの為にのみ改良を施され
『担当が予期せぬ潜在意識から最悪なバレンタインデーを見せる』
そんなドリームトロフィー改による被害者は少なくない
いや、好奇心や己の信念からホイホイ生徒が自爆している
結果トレーナー陣に配られた対策マニュアルには
『できるだけ優しく接する』そんな投げやりな一文のみが記載されている
何しろ破壊しても並行世界から無事な可能性が存在する限り
自己修復を繰り返すのが上位のトロフィーに備えられた機能である以上
完全消滅は不可能であり、学園地下に封印する他無い代物だ
そんな物を体験したのにミラクルはいつもの様にのほほんと笑っている
2: 名無しさん(仮) 2025/02/09(日)00:33:06
「つまりはアレか?トロフィーでもノンレム睡眠だったと」
「えー?まあそうなんですかね?確かに仮眠取った心地良さはあります」
伸びをするヒシミラクルの様子からしても
時折勝手に仕事中トレーナー室のソファで寝転んで起きた時の様な
清々しい顔をしているから実際試したのは間違い無さそうだ
「あっ」
「どうした?まさか夢の内容を思い出したとか!?」
「ああ、いえ」
ひらひらと両手を目の前で振ってみせたミラクルが苦笑する
「ネイチャちゃんのトレーナーさんから聞いてたんですけど
あれって起きる可能性のある未来を見せるそうじゃないですか」
「ああ」
「だから、チョコを渡す未来が無いから真っ暗だったのかって」
「え?」
「え?」
3: 名無しさん(仮) 2025/02/09(日)00:33:23
間抜けな声が出た
そしてそんな彼に対してヒシミラクルも声を出し
続けざまにいつも通りに彼女が語りかけてくる
「え?トレーナーさんわたしからチョコが貰えると思ってたんですか?」
「え?」
4: 名無しさん(仮) 2025/02/09(日)00:33:41
「え?」
今度は自分の声が耳に響き
ヒシミラクルのトレーナーはトロフィーの中で目を覚ました
眼前のモニターにはエラーの表示が出ており
その詳細までは分からなかったが彼は取り合えずその身を外に出すと
外気を吸いながら側にあったベンチに腰掛け気を落ち着ける
―誰かしら、ヒトが入ったら実験をすべきかもしれない
そんな提案で手を上げたのが他ならぬ彼であった
だが上手く作動しなかったのか彼が見たのはバレンタインではなかった
もっとも、目覚めは生徒達同様最悪だったのだが…
口元を抑え、次に頭を抱える
「参ったな…」
成程考えもしていなかった。それが普通の事なのだと
当たり前だと考えていたからそこをトロフィーに突かれたのだろう
「俺は…あいつのチョコを楽しみにしてたのか?」
5: 終 2025/02/09(日)00:34:49
「そうなんですか?」
「え?」
見上げると奴がいた
ヒシミラクルである
普段通りの顔で、ひょこっとトレセン地下にあるトロフィー保管室
そこへ足を踏み入れようとしていた彼女が間抜けな被害者の顔を見て
そしてにまーっ…とゆっくり笑うと踵を返して地上へと戻っていく
最早トロフィーを使う必要が無いのだから
彼はその背を追おうとしてすぐに諦めた
何より追った所で手遅れだし、逆効果になるだろう
「…最悪だ」
頬をつねってみる。が、生憎トロフィーの中では無いらしい
最早トレーナーは渋い顔をして
ニコニコと笑みを浮かべる担当のチョコを受け取る未来しか残っていないのだった
6: 名無しさん(仮) 2025/02/09(日)00:37:33
そっちかァ〜
8: 名無しさん(仮) 2025/02/09(日)00:45:12
そうかトレーナーが被害者になれば担当が回避出来ると…!
いやヤバい不具合ありそうだし最悪共倒れだわ