【ウマ娘怪文書】一流のコーディネートとはただ良いものを身に纏うだけでは不十分である その場に求められるものを見出す感受性とそれに合わせ自分を演出する表現力が必要だ
1: 1/3 2024/06/03(月)00:47:10
一流のコーディネートとはただ良いものを身に纏うだけでは不十分である
その場に求められるものを見出す感受性とそれに合わせ自分を演出する表現力が必要だ
俺の担当ウマ娘ダイイチルビーは学生ながらそういった事柄に造詣が深く、恥ずかしながら彼女に任せきりなのが実情だ
「あれ?ルビーの今日の耳飾り、ちょっと違う……?」
「お気付きになりましたか。少々手を加えてあります」
例えば高松宮記念の直前。ルビーの耳飾りは花の量を大幅に増やしていた
最近は少し調子を落としかけているが、まだまだ全盛期であるという気持ちの表れなのだろう
「似合ってるよ。その花たちに負けないくらい美しく駆け抜けてくれ」
「ええ。見せつけて差し上げます……ところでトレーナーさん」
「なんだい?」
「……いえ、この先はレースの後でお話しします」
そう言うとルビーはまだ少し硬さが残る足取りでパドックへ向かった
「あれ?ルビーの今日の耳飾り、いつもより花が少ないような……?」
「お気付きになりましたか。近頃は……そういうのもよろしいかと」
2: 2/3 2024/06/03(月)00:47:57
例えば安田記念の直前。ルビーの耳飾りは青葉が茂るのと反比例して花が散りかけていた
ここ数カ月、調子を落とし続けることへの心境の変化が関わっていることは間違いないのだが……
「ルビー……まだ苦しいようなら中止したっていいんだ。だから」
「お気遣いに感謝いたします。ですが、これは私たちのけじめ……のようなものですから」
「……何を言われても、全てを背負う覚悟は出来ているよ。だから無事に帰って来てくれ」
「お任せ下さいませ。……では、また後程」
ルビーの足取りは重い。だが逃げることなく戦いの舞台へ踏み出していった
「あれ?ルビーの今日の耳飾り……」
「お気付きになりましたか。……今日の私には、これが相応しいかと」
安田記念での大敗から数週間。ルビーの耳飾りはすっかり花弁が落ち、子房が膨らんでいるのが窺えた
引退会見に臨む彼女にとって華やかさは現役の選手たちのもの……という意思の表れなのかもしれない
「そうだとしてもちょっと寂しいなぁ、と思うのはワガママかな」
「お言葉ですが哀愁に浸っている時間はありませんよ。これから忙しくなるのですから」
「仰る通りで……ちゃんと次の担当見つかるかなぁ」
3: 3/3 2024/06/03(月)00:48:12
今まで俺の担当はルビーただ一人。つまり彼女が引退すれば俺はフリーのトレーナーとなる
どれだけ実績があったとしても担当ウマ娘が居なければ無職同然。明日からスカウトに励まなければ
「…………」
「うん?ルビー、俺の顔になんかついてる?」
「いえ……既にご存じと思っていたのですが、サプライズになってしまいましたね」
「どういうことだ?あっ、引退会見で何か他に発表があるとか」
「さあ、どうでしょう?どうぞ私の傍らにてご静聴願います」
その後、ルビーは会見にて引退を発表。その理由と彼女の耳飾りを見た記者たちが騒然となったことは今もはっきり覚えている
俺はというと関係者各位、及び未来のトレーナーたちに鋼の意志は必ず発動するとは限らないので油断してはならないという助言を残し、トレセン学園から籍を移した
4: 名無しさん(仮) 2024/06/03(月)00:50:56
ねえこれ…
5: 名無しさん(仮) 2024/06/03(月)00:55:30
また学園から優秀なトレーナーが...
6: 名無しさん(仮) 2024/06/03(月)01:03:15
治療だったんです信じてください
7: 名無しさん(仮) 2024/06/03(月)01:05:34
華麗なる一族は他の一族と違ってレース以外を幅広く手掛けてるから鋼の意志を卸してても不思議じゃない