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【後編】丑の刻参りを行う中年女の姿を見てしまった俺達は、女に狙われた。親や警察に助けを求めたがその恐怖は止まらず…家にアレの氏体が→女『ア゛ー!ア゛ー!』


219: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/29(月) 03:20:27 ID:/lsJmPn1O

『中年女』はこちらに一切目を合わせず、軽く会釈をし、ゴミを回収し始めた。
俺は何と声を掛けていいのかわからず、しばらく中年女の様子を伺っていたが、淳が
『おばさん!どーゆーつもりだよ?』
と 切り出した。
中年女はピタッと作業の手を止め、俯いたまま静止した。淳は続けて
『あんた、俺の事覚えてたんだろ?俺には謝罪の言葉一つも無いの?』

俺はドキドキした。まさか淳が急にキレ口調で話すなんて予想外だった。
中年女は俯いたまま
『・・・ごめんねぇ。。。』とか細い声を出した。
淳はその素直な返答に驚いたのか、キョトンとした目で俺を見て来た。
俺は『。。。おばさん。。。本当に反省してるんだよね?』
と聞いてみた。
すると中年女はこちらを向き
『本当にごめんなさい。。私があんな事したから淳君、こんな事故に会っちゃって。。。私があんな事したから・・・ほんとゴメンね!』と。

俺と淳は更にキョトンとした。何か話がズレてないか?
俺は
『いや、昔あんた犬に酷い事したり、俺ん家にきたり、、すべてひっくるめて!』と言った。




221: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/29(月) 03:44:26 ID:/lsJmPn1O

中年女は
『本当にごめんなさい!私が、私があんな事さえしなければ、、こんな事故、、ごめんね!本当にごめんね!』
と泣きそうな声で言った。
その態度、会話を聞いていた病室内の患者の視線が一斉にこちらに注目していた。
静まり返った病室に
『ゴメンね!ごめんなさい!ゴメンなさぃ!』
と中年女の声だけが響いた。
淳は少し恥ずかしそうに
『もういいよ!だいたい、俺が事故ったのアンタとは一切関係ねーよ!』
と吐き捨てた。

中年女はペコペコ頭を下げながら淳のベットのゴミを回収し、最後に
『ごめんなさい・・』
と言い、そそくさと病室から出て行った。
その光景を周りの患者が見ていたので、しばらく病室は変な空気が流れた。
淳は『何なんだよ!あのオバハン!俺は普通に事故っただけだっつーの。。何勘違いしてやがんだよ!』といいながら枕をドツイた。
俺は『中年女』の行動、言動を聞いていてハッキリと思った。
やはり『中年女』は少しおかしい。いや、謝罪は心からしているのだろうが、アイツは『呪いの儀式』を行った事を謝っていた。
『呪い』を本気で信じているようだった。




222: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/29(月) 03:58:35 ID:/lsJmPn1O

淳は『あの頃は無茶苦茶怖い存在やって、今だにトラウマでビビってたけど、、
さっき喋って思ったんは単なるオカルト信者のヲバはんやって事やな!』
と何処かしら憑き物が取れたと言うか、清々しい表情で言った。
俺は『あぁ、昔と違って俺らの方が体もデカくなったしな!』と調子を合わせた。
『さて、とりあえず一件落着したし、俺帰るわ!』
『おぅ!また暇な時来てや!』
と言葉を交わし、俺は病室を出て家路に就いた。
家に帰る途中、俺は慎の事を思い出した。
アイツにもこの事を伝えてやろうと。
アイツも今回の話を聞かせてやれば、きっと『あの日のトラウマ』が無くなるのでは無いか、と。





247: ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M 2006/06/02(金) 00:51:34 ID:Cc3LUK3SO

それから一週間程、病院に見舞いには行っていなかった。
別に理由は無いが、新学期も始まり、なかなか行く時間が無かったというのもある。
それに『中年女』が更正(?)しているようだったので、心配も、以前ほどはしていなかった。
何かあれば淳から電話があるだろうと思っていた。
そんなある日、淳から電話が掛かってきた。
内容は『来週退院する!』
との事だった。
俺は『良かったな!』と祝福の言葉と共に、『中年女』の動向を聞いたが、
『普通にゴミ回収の仕事をしている。特に何もない。』との事だった。

そして、さらに一週間が経ち、淳は退院した。
俺は学校帰りに淳の家に立ち寄った。
チャイムを押すと、松葉杖をつきながら淳が出てきた。
『おぅ!上がれよ!』
足にはブサをはめたままだったが、すっかり元気そうだった。
淳の部屋でしばし雑談をした。
夕方になり俺は帰宅し、夕飯を喰った後、慎に電話をした。
『淳、退院したぜ!』
『まぢ!そっか、じゃあ快気祝いしなくちゃな!すぐにでも行きたいけど部活が忙しいから月末頃にそっち行くよ!』
との事だった。




280: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/06/05(月) 01:40:06 ID:ZlsKc24yO

そして月末の土曜日。

俺、慎、淳。。。
小学校以来、久しぶりの三人での再会だった。
昼に駅前のマクドで落ち合った。
久しぶりに会った慎は冬なのに浅黒く日焼けし、少しギャル男気味だった。
まぁ、それはさておき、夕方まで色々と語った。
それぞれの高校の話。
恋の話。
昔の思い出話。。。

もちろん『中年女』の話題も出てきた。
あの時それぞれが何よりも恐ろしく感じていた『中年女』も、今となればゴミ回収のおばさん。
病院での出来事を俺と淳が慎に詳しく話してやると、慎は
『あの頃と違って、今ならアイツが襲って来てもブッ飛ばせるしな!』
と笑いとばした。

もう俺達にとって『中年女』は過去の人物、遠い昔話で、トラウマでも無くなっていた。




282: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/06/05(月) 01:59:26 ID:ZlsKc24yO

夕方になり、俺達はカラオケBOXに行った。
久しぶりの『三人』での再会と言うこともあり、俺達は再会を祝して『酒』を注文した。
まぁ酒と言っても酎ハイだが。。。
当時の俺達は充分に酔えた。
各々、4、5杯ぐらい飲み、皆ほろ酔いだった。
いい気分で歌を歌い、かなりHIGHテンションだった。
そして二時間経ち、歌にも飽き出した時、慎がある提案をした。
『よーし、今から秘密基地に行くぞ!あの時、見捨てちまったハッピーとタッチの供養をしに行くぞ!』と。
一瞬、空気が凍った。
俺も淳も『・・・』と言葉を失った。
まさか、『あの場所』に行こうなんて。。予想外の発言だったから。
慎はそんな俺達を挑発するように
『オメーら変わってねーな!まぢでビビっんの?!ハハッ!』
と、少し悪酔い?していた。
その言葉に酔っ払い淳が反応し、『あ?誰がビビるかよ!喧嘩売ってんのか慎?』とキレ出した。




283: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/06/05(月) 02:18:28 ID:ZlsKc24yO

俺は酔いながらも空気を読み
『おいおい、やめとけって!第一、淳まだ杖突いてんだぜ?』と言うと、慎がすかさず
『あ、そっか、、杖ツイてちゃ逃げれねーしな?ハハハ♪』
と、かなりの悪酔いしていた。
淳は益々ムキになり
『うるせーよ!行きてーんなら行ってやるよ!お前こそ途中でビビんぢゃねーぞ?』
と、まるで子供の喧嘩のようになり、結局、『ハッピーとタッチの冥福を祈りに』と言う名目で行くことになった。
慎、淳は二人とも結構酔っていたのと、引くに引けなかったんだと思う。
まぁ、『ハッピーとタッチの供養』はいずれしなければならないと思っていたので、いい機会かも、、と少し思った。三人なら恐さも薄れるし。。

カラオケBOXを出て、コンビニに寄り、あの2匹が大好きだった
『うまい棒』と『コーラ』
を買い込み、タクシーで一旦俺の家に寄り、照明道具を取って来てから
『小学校の裏山』
へ向かった。




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