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【異世界】友達が異世界に飛んだのかもしれない


2: 名無し 2020/01/30(木) 05:11:29.65 ID:I+p+3n0G0

1年ほど前の話になります。
冷え込み始めた秋の暮れに一つ下の後輩(以下Kとします)から電話がかかってきました。
僕「もしもし、お疲れ、どうかしたの?」
K「1さんお疲れ様です。1さんが以前話してたホテル〇〇に自分達も来てみたのですが、場所の詳細がわからないので教えて下さい。」
ホテル〇〇とは地元の心霊スポットです。
僕たちの住む県では一番有名な場所でした。
と言うのも、この時期から更に2年程前にそのホテルは取り壊されていました。
取り壊された当時はホテルに行った者の武勇伝や行けなかった者の嘆きが仲間内の話の種になっていた為よく覚えています。
因みに僕は後者です。
僕の実家は神主の家系で霊的な物にちょっかいを掛けられやすい体質だと父から聞かされていた為、小心者の僕はその様な集まりには全く参加していませんでした。
そんな僕にこの様な電話がかかって来ることがそもそも不可解だったという訳です。

以下、会話の主な内容と僕視点での事実
・Kは僕の家に1週間ほど前にアポ無しで訪問
(会った記憶すら無く、実家暮らしの為妹や父にも確認を取るが同じく記憶にない、そしてKを過去に一度も家に上げたことが無い)
・その場でホテル〇〇に僕一人で探検に行った動画を見せられる。
(家から遠いホテル〇〇まで行く交通手段も度胸も僕には無い)
・更にそこに今度は二人で出向こうと僕がKに提案する。
(当然記憶に無い)
・だったら部屋の様子を言い当てると豪語し部屋の家具の場所や色を述べる。
(配置に多少誤差があったモノのほぼ完璧に言い当てる)

ここまで話した辺りで一緒に来ていたであろう仲間に呼ばれKからやや強引に電話を切られる。




3: 名無し 2020/01/30(木) 05:44:45.79 ID:I+p+3n0G0

電話が切れてからは状況をある程度一人で整理していました。
過去に一度も家に上げた事のない筈の後輩が僕の部屋の家具をほぼ完璧に認知している。
ここの矛盾の説明するのであれば、後輩が僕が留守の間に部屋に上がり込んでいた、
と考えるのが一番現実的です。
あまり関わりがなかったものの僕を慕ってくれている後輩だった為少し考え難いです。

程なくして再びKから着信がありました。
K「すみませんでした、1さん!」
僕「大丈夫だよ、何かあったの?」
K「黒い異臭を放つゴミ袋を発見して逃げ帰って来ました!」
僕「ゴミ袋?」
K「あそこの土地ヤクザが買い取ったなんて噂があるのでもしかしたら。。。」
僕「よくその噂を知った上で行くよな」

今僕の推理を話したらより混乱を招くと思ったので一度電話を切り、
家に着いたら掛け直す様にKに促して電話を切りました。

一時間後に再び着信が入ります。
(ゴミ袋の一件は関係がなさそうな上会話の記憶が曖昧なので省略、その後の会話)
K「今思ったんだけど、1君確かその時吸ってるタバコが違った。
前までpeaceだったのにその時hi-liteだったんです。」
総毛立ちました。なぜそれを知っているのか。
好きなアーティストさんの影響を受けて僕はまさにその頃hi-liteに乗り換えていたからです。
先ほど述べた推理の、僕が留守中にKが上がり込んだ事が仮に事実だったとしても
灰皿の中身まで確認していたと考えるには少々難があります。




5: 名無し 2020/01/30(木) 06:26:53.08 ID:I+p+3n0G0

ここまで知られていたら自分の記憶の方が自信がなくなって来ます。

しかしKの言う、父や妹と会話をした事実は父や妹の話では存在しない。
(Kが妹や父にも挨拶をしたと初めの電話で話していました。記述漏れすみません。)
やはりいくつかの矛盾があるのです。
そこで電話の中でこんなもしも話が展開されます。

Kはその日僕ではない僕と僕の家に上がった。
何かを企んでいた僕はKを人の寄り付かない廃墟跡地に連れて行こうとする。
僕と父と妹が全く同じ背格好や趣味嗜好の似た何者かに入れ替わった、
もしくはKが現実と似て非なる世界に一時的に滞在していた。
非現実的ですが、こうすると会話の行き違いも合点がいきます。

K「だったらその1さんは何を企んでいたんでしょうね」
僕「カマ掘ってやろうって考えてたんじゃね?」
場を和ませたかったので低俗な冗談を明るく言ってみたつもりでしたが、
彼の相槌は生気のないものでした。
おそらく彼も僕と同じ気持ちだったのでしょう。

お互いがお互いの現実世界に疑念を持つ、今まで当たり前にあった現実に。
当事者じゃないとしても恐ろしいことが今僕たちの身に起こっています。現実に。





6: 名無し 2020/01/30(木) 06:27:43.81 ID:I+p+3n0G0

絶望の静寂を切ったのはKでした。
K「お互いに合言葉を決めませんか?」
異世界、または異星人の説を前提に考えたらとてもいい案だったと思います。
今の僕達が仮に1aとKaだとします。
互いがaの世界に居るのかの確認を取ることが電話一本で出来ます。
僕「じゃあ合言葉決めよう!今何飲んでる?」
K「カルピスです!」
僕「さっきのカマ掘るの伏線がこんなところで回収できるなんてなw」
先輩のホモハラ紛いな品の無い冗談でも、Kは笑ってくれていました。
それだけ合言葉の提案は僕達を安心させてくれた様に思います。
僕「カルピスだけだと心許ないから『カルピス2つ』を合言葉にしよう!」
K「『カルピス2本』じゃ無いんですか?w」
僕「2本より2つの方が合言葉っぽいだろ…?」
K「賢い先輩に出会えた僕は幸せ者です」
この日はこんな感じで電話を終えました。




9: 名無し 2020/01/30(木) 06:50:00.12 ID:I+p+3n0G0

次に着信があったのは2週間程してからでした。
期間は少々曖昧ですが、1ヶ月は立っていなかったと思います。

K「1さん、今って『カルピス』ですか?」
かなり鬼気迫るものを感じる口振りでした。
僕「『カルピス』じゃなくて『カルピス2つ』だろ?貴様何者だ!」
勿論冗談めかして。
K「良かった、本物だ、良かった…。」
僕「なんかあったの?」
K「1週間前に1さんに電話した時は『カルピス』って言ってましたよね?」
僕「え、着信なんか着てないけど?」
K「いや、1さんからお電話頂きましたよ?」
お互いのLINE履歴のスクショを確認してお互いの言っている事が事実であることを確認。
K「変だと思ったんですよ、やたら空いてる日聞かれて、ホテル〇〇に行こうとか言いだすんですもん。
それで合言葉聞いたら『カルピス』って言うもんだから、
『2つ』の部分は自分の記憶違いかと思っちゃってました。」
僕「合言葉は『カルピス2つ』、これはこの先も絶対に揺るがないから安心して」
僕がKを安心させる様な月並みな言葉をいくつか投げかけて通話は終了しました。
その次の日彼と顔を合わせることになります。




10: 名無し 2020/01/30(木) 07:11:23.37 ID:I+p+3n0G0

この日は僕の仲間内で深夜のドライブを嗜んでいました。
免許取り始めた田舎の若者は柄の悪いセダンを深夜になると無意味に走らせます。
田舎の若者とはそういう生き物なのです。

まだまだ慣れない夜道の運転です。
無駄に車高の低い車はコンビニのパーキングストッパー(で合ってるんでしたっけ…?)に
鈍い音を立てて乗り上げました。
この様な失敗を経験しても車高が上げることはありません。
田舎の若者とはそういう生き物です。

あまり焦った様子のない運転手は車を降りて傷を確認して、Kに電話を掛けました。

名の知れたバイクのチェーン店にKは勤めていました。
仲間内の中で車を擦ったりした時はKに頼んで無償で直して貰うなんて事が、
僕の知らない所でしばしばあった様です。
車を持っていない僕はこの日初めてその事を知りました。

車を擦ったという理由で深夜に電話で叩き起こされ、
Kは僕達のいるコンビニに工具を持ってやってくることになりました。

後輩思いの先輩、田舎の若者とはそういう生き物です。




11: 本当にあった怖い名無し 2020/01/30(木) 07:19:44.68 ID:I+p+3n0G0

K到着、僕達に挨拶をするKは僕の海馬にうっすらと残った笑顔そのものでした。

慣れた手つきで作業を始めるK、仲間内のダル絡みにも丁寧に対応します。
それも飽きたのか、友人たちは飲み物を買いに行く、と言い
せっせこ働いてるKを置いてコンビニへ…
好都合です。

機敏に作業をするKの背中に僕は投げかけました。
僕「K、合言葉は?」
作業の手を止め、僕の方に顔をあげてそれはそれは屈託のない笑顔でKは応えました。

K「hi-lite2つ」




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