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【ウマ娘怪文書】鉄球が落ちていた それは見慣れた本来ボーリング大の鉄球を彼の担当であるウマ娘の少女がその膂力で圧縮したものであった


1: 名無しさん(仮) 2024/07/20(土)19:44:20

鉄球が落ちていた
砂浜で日光と地熱で程よく燻されたそれを
ジェンティルドンナのトレーナーが事もなげに拾い上げる
赤ん坊の掌に収まる程度のサイズ
それは見慣れた本来ボーリング大の鉄球を
彼の担当であるウマ娘の少女がその膂力で圧縮したものであった
手慰みかな、と反省も込彼は回収していく
無意識に鉄球を潰しているとなれば
それだけ夏合宿中の練習メニューに満足が出来ていないという事だ
が、砂浜に点在するそれは人気の無い方向…
岩場の方向に続いている事で彼の胸中に別の懸念が生じていく
(夏の暑さに浮ついたか…?)
ひと夏のアバンチュール
まさかあの貴婦人が、と苦笑し回収作業を進めるが
成程この暑さだ、間違いがあれば正すのが大人の務めてある




2: 名無しさん(仮) 2024/07/20(土)19:44:33

果たして岩場で待ち受けていたのは好々爺であった
とはいえその肌は褐色にして痩躯
いや、無駄を切り捨てたその骨身には筋肉が隆々と張り付いていた
そして両手の平には握りしめられた鉄球が二つ
それはトレーナーの目の前で握られ
そして人の握力のみでみるみるうちに圧縮されていく
(やられた)
トレーナー狩りである
春先に地…闇の者達が人手不足に悩み行われるそれとは違い
音に聞こえる中央のトレーナー達が府中を離れるこの時期
年頃の優れたウマ娘を育成する若武者相手に己の業を試そうと
野生の達人がこれ幸いと集まってくる夏の風物詩である
(恐らく膂力はジェンティルドンナ以上…)
彼女が両手でやるそれを片手ずつで二つ行っている
放たれる指弾をトレーナーが警戒した次の瞬間、老人の両手が開かれた






3: 名無しさん(仮) 2024/07/20(土)19:45:03

「くっ…!?」
礫ではなく、砂塵による目晦まし
すり潰されもはや荒い砂鉄と化したそれが粉塵として噴射され
完全に視界を奪われ硬直したトレーナーの目前にまで既に老人は迫っていた
彼にトレーナーが反応しようとしていたとしても
集め続けていた鉄球が重石となっており普段の機敏な動きは取れない
事前の布石と絡め手を躊躇う気のない老獪な挙動
「…ほうほう、これはこれは…」
だが若武者の顎を砕くはずの拳はトレーナーの掌で止められていた
「お引き取り願いませんか、ご老体」
ジェンティルドンナが圧縮した鉄球
それを逆に引き戻し、元の大きさに戻すトレーナーのいわば斥力…
まるで吸い付いているかのように拳と掌が拮抗し、そして震える
「生憎このような物を見せられて引き下がる程私も若くはなくてね」
「そうです、かっ!」





4: 名無しさん(仮) 2024/07/20(土)19:45:53

そのままトレーナーが老人を海目掛けて投げ飛ばす
あたかも水切りのように老人の身体が幾度も跳ね
そして水柱を上げて海中へと消えた
「参ったな…」
トレーナーが愚痴る。水柱は結果狼煙となったらしい
老人とは別の影が既に岩の上と、そして砂浜へと降り立っていた
恐らくはすぐ老人も戻ってくるだろう
高速で水面にぶつけられた程度で達人の心を折るのは難しい
「とはいえ、三対三だ」
ジェンティルドンナのトレーナー
彼の両隣に別の担当トレーナー達が降り立ち
そして頷き合うと勢いで舞い上がった砂塵を残して姿を消すと
空中で、岩の上で、水面で打突音が鳴り
振動で砂浜が抉れ岩が砕け蟹が舞う




5: 名無しさん(仮) 2024/07/20(土)19:46:04

トレセン学園の夏合宿は始まったばかりである。




6: 名無しさん(仮) 2024/07/20(土)19:47:42

何者なんだ野生の達人…




7: 名無しさん(仮) 2024/07/20(土)19:48:00

大変なんだな中央のトレーナーって…




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