1： 1/3 2024/06/05(水)00:43:32

ウマ娘。それは走れば時速70kmで駆け抜け、綱引きをすれば一人で20人以上のヒトオスをまとめて引き倒す種族
圧倒的な力を持つ種族でありながらウマ娘がヒトを傷付けることはない
種の共存のため、物心つく前から『そういうものである』という強力な暗示を植え付けられているためだ
「先生！大変です！トレーナーさんが……トレーナーさんが……！」
「フラワーさん……？何があったの！？」
ある日、トレセン学園の保健室に小さな影が飛び込んできた
その正体はニシノフラワー……初等部の存在しないトレセン学園に飛び級で入学してきたウマ娘である
常に礼儀正しいニシノフラワーが動転している理由……彼女に背負われてきた青年が呻くように口を開いた
「め、面目ないです……少しばかり腰を……」
「腰を？何か重いものを持ったりとかは？」
「重くなんかないでｓっったたた！！」
「と、トレーナーさん！私のことはいいですから……」
「なるほど。概ね理解しました」
トレセン学園が超一流のスポーツ校である以上、その校医ももれなく超一流である
校医は豊富な知見をもとに患者の症状、担当ウマ娘との関係性等からその原因と治療法を見出した

2： 2/3 2024/06/05(水)00:43:49

「フラワーさん。この怪我はあなたが？」
「先生！フラワーは関係……」
「そうです。私が……その、だんだん抑えが効かなくなっちゃって……」
「よく正直に話してくれたわね。おかげで何とかなりそうよ」
経験不足、感情の起伏、本格化の影響……複合的な理由によりトレセン学園の生徒は力加減を誤ることがある
あってはならない、よくあること。校医の成すべきことはただ一つであった
「トレーナーさんも本当は分かっているんでしょう？受け入れて下さい。その激しく腰を打ち付けられた症状はフラワーさんのやったことです」
「ち、違っ……」
「違いません……ですが、おかしいですね。『ウマ娘はヒトを傷付けない』……そうでしょう？」
「ウマ娘は……ヒトを……？」
次の瞬間、トレーナーは動きを止め虚ろな目で校医の呟いた言葉を復唱した
物心つく前から刻まれている強力な暗示。それはどれほど時を重ねても決して消えることはない
「せ、先生……トレーナーさんはいったい……」
「静かに。大丈夫ですよ、彼もトレーナーですから」
「傷付けない……ウマ娘はヒトを傷付けない……ウマ娘は……」

3： 3/3 2024/06/05(水)00:44:07

するとどうだろう。彼の筋肉の炎症はたちどころに収まり、骨盤のひび割れは塞がり、神経を圧迫する髄核は元の位置に戻った
トランス状態にあったトレーナーが背筋を伸ばすまで回復したのを確認すると、校医はひとつ手を叩いた
「傷付けな……はっ！？俺は何を……」
「トレーナーさん！お怪我は……腰は大丈夫なんですか！？」
「腰？……ああ、ごめん。気のせいだったみたいだ」
「本当に？本当に大丈夫なんですよね？……ホントに、よかっ……ううっ」
「ほら、元気になったなら行った行った。ここのベッドは傷病人の為にあるんですからね」
本人たちにとってみれば感動の場面かもしれないがこの学園の保健室よく見かける光景のひとつである
あまり盛り上がられてしまうとウマ娘に蹴られて死にかねない。校医は早めに切り上げさせ、二人を送り返すのであった

人間離れした力を持つウマ娘だが彼女らの体組織はウマ耳や尻尾を除けばヒトと大きな違いはない
その差は人々の想いを力に変えている等、有識者の間でも未だオカルトな根拠が多い
逆にヒトにもウマ娘に匹敵する潜在能力が眠っている可能性もあるのだが、こちらは特に研究する者もいないので不明である

4： 名無しさん（仮） 2024/06/05(水)00:47:14

ちょっと待てよ！

5： 名無しさん（仮） 2024/06/05(水)00:48:18

>>2
>「トレーナーさんも本当は分かっているんでしょう？受け入れて下さい。その激しく腰を打ち付けられた症状はフラワーさんのやったことです」
(^^)…

6： 名無しさん（仮） 2024/06/05(水)00:48:56

いつもの事案かと思ったらホラーだった

8： 名無しさん（仮） 2024/06/05(水)00:49:55

ヒトミミも大概ヤバいやつじゃん…