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【ウマ娘怪文書】「疲労回復……疲労回復……これだ。本当に何でもあるな」ルビーは連休中、一族の仕事で世界を飛び回っている。俺はというとルビーに頼み込み、彼女の実家の地下にあるという図書館にお邪魔していた


1: 1/4 2024/04/29(月)01:20:50

4月終盤からの約1週間、世間は俗にゴールデンウィークなる大型連休に入る
俺と担当ウマ娘のダイイチルビーは次走の安田記念まで約1か月という時期に差し掛かり、あえて休養を選択した
先月の高松宮記念で連覇の期待と重圧の中から打ち勝ったものの、その疲労が抜け切れないためだ
「疲労回復……疲労回復……これだ。本当に何でもあるな」
ルビーは連休中、一族の仕事で世界を飛び回っている。そのほうが気が紛れるらしい
俺はというとルビーに頼み込み、彼女の実家の地下にあるという図書館にお邪魔していた
名家の強さの源は血統と環境だけではない。受け継いできた知識も永い歴史が培った力だ
「翻訳ソフトもあるけど念のために辞書も……っとと!」
「わん。わん」
突如背後にのしかかる柔らかな衝撃。その正体はルビーの愛犬、サフィーであった
そういえば屋敷の人から『後でサフィーが来るかも』と念入りに言い含められていたのを思い出した
「びっくりした。サフィー、お邪魔してます」
「わん」
立ち上がるとルビーと同じくらいはある大型犬だが、よく躾けられているので怖くはない
俺が資料を抱えテーブルに向かうと、サフィーも律義についてきた




2: 2/4 2024/04/29(月)01:21:31

「肉体を癒す前にまず緊張を解すこと……か。分かってはいるんだけど」
「くぅん」
「ああ、大丈夫。俺は大丈夫だよサフィー」
肉体と精神は連携しており、気が休まらなければ体も治らない。一族伝来の資料も同じ結論だった
当然緊張を解す手段の記述もあったが、一般的な学術書より踏み込んでいたのはその内容
手技や鍼灸、投薬など様々な分野に及んでいるが、一部は副作用覚悟の過激なものも含まれていた
「これなんか怖よな。『現実から離れるため任意の幻覚を見せるお香』とか、悪用されたらどうするんだろう」
「ゎ……わん」
「……まあ相当量を曝露しないと効かないし、こういう地下みたいな閉鎖空間でもなきゃ大丈夫か」
読み進めるうち不安を覚えたのに勘付いたのだろう。サフィーもどことなく居心地が悪そうにしている
控えめに寄り添うサフィーの存在を感じながらページを捲っていると、比較的近代的な治療法が目に入った
「アニマルセラピー!……サフィー、もしかして君もそのために?」
「わん、わん」
「ははは。まるでヒトの言葉が分かってるみたいだな。ルビーを元気づけてくれて偉いぞ、サフィー」
「んっ……わん」






3: 3/4 2024/04/29(月)01:21:45

わしわしとサフィーの頭を撫でていると、一瞬その大きな瞳と目が合った
その瞳の奥底に紅桔梗色の輝きが見えた……気がするのは、俺も疲れているせいなのだろう
「俺も治療を試してみるか。おっ、『犬吸い』も載ってるぞ」
「わん!?」
「じっとしてるんだぞサフィー。すぅー……」
「まっ……わんっ、わ……っ」
「……うん。ルビーに近いにおいがする……気がする。もうちょっとだけ」
「んっ……すぅ…………ーーっ……っ!!」
「……っはぁ。ちょっと癒され……あっ、サフィー!」
いくら大人しいとはいえ、他所の飼い犬に馴れ馴れしくしすぎたかもしれない
サフィーは抵抗することは無かったが一瞬の隙をついて俺の拘束を抜け出し、ウマ娘のごとき俊足で図書館から飛び出していった

それから小一時間後。資料をあらかた読み終えた頃に図書館に降りてきたのはサフィー……ではなかった
「お疲れ様です、トレーナーさん。調べ物は捗りましたか?」
「ああ、おかげさまで。助かったよルビー」





4: 4/4 2024/04/29(月)01:22:00

家の仕事の帰りなのか、シャワーでも浴びて私服に着替えたばかりという様子のルビーが声をかけてきた
長く艶やかな髪はほんのり湿り気を帯び、頬にもやや赤みがさしている気がしないでもない
「そうですか。では、明日はどうされますか?」
「うーん……もうちょっと色々調べたいし、また明日も使わせてくれないかな?」
「承知いたしました」
「ありがとう。ところで、今日こっちにサフィーが来ていたんだけど……」
サフィー、という言葉にルビーにほんの少しだけ動揺が……否、動揺を隠す仕草が垣間見えた
ルビー自身も俺が気付いたことを察したのか、やや気まずそうに答える
「私が不在の間に相手をして頂いたと聞いています。お邪魔ではありませんでしたか?」
「いいや全然。大人しかったし、居てくれて癒されたよ」
「……そうでしたか。それでしたら恐縮ですが、明日も可能な範囲で面倒を見ていただいても……」
「もちろん!いつでも来ていいからね」
「わ……ありがとう存じます」
遊んでやる時間が取れないのを不憫に思っていたのだろう。ルビーは恭しく頭を下げた
その時、揺れる彼女の長い髪からはやはりサフィーを吸った時と似たような匂いがした




5: 名無しさん(主) 2024/04/29(月)01:24:00

なおこちらの世界の日本でアニマルセラピーの歴史は1970年代にドイツから輸入された乗馬治療がはじまりのようです




6: 名無しさん(仮) 2024/04/29(月)01:24:01

爛れてる…




7: 名無しさん(仮) 2024/04/29(月)01:24:13

ごす…




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