トップページに戻る

【ウマ娘怪文書】近頃ユニヴァースが寝不足のようだ。大きく体調を崩すほどではないが、あくびの数が増えているのは確かだ。それも毎日ではなく、一週間に一度の間隔で。


1: 名無しさん(仮) 2024/03/27(水)20:12:58

近頃ユニヴァースが寝不足のようだ。大きく体調を崩すほどではないが、あくびの数が増えているのは確かだ。それも毎日ではなく、一週間に一度の間隔で。
現状では走りにも問題はないが、不調に繋がるようなら早めに手を打つに越したことはない。ユニヴァースにヒアリングを行ったが、原因はわからないようだった。
もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かもしれないと考えた僕は、彼女のスマホに睡眠アプリを導入することを勧めた。
睡眠時無呼吸症候群とは、肥満や骨格、喉の形や睡眠薬の影響、果ては飲酒などが原因で睡眠中に緊張が緩みすぎて気道が狭まり、呼吸で取り込む酸素が減少し、満足な睡眠が行えず体力が回復しなくなること。
最悪の場合、様々な疾患を引き起こし、死にも繋がるものだ。日中の眠気は満足な睡眠が行えなかったサインの可能性もある、ということである。




2: 名無しさん(仮) 2024/03/27(水)20:13:08

睡眠アプリは寝る前に起動すると、睡眠中の寝息や寝返りなどの物音を録音し、それを元に深い眠りと浅い眠りの周期をグラフ化してくれる。メインは、睡眠中彼女の呼吸が止まっていないかを調べるということだ。
彼女はそういったアプリの類には無頓着なのか、うまく導入がわかっていないようなので変わりにインストールし設定をしてやる。
「じゃあ寝る前にアプリをつけてから画面をオフにして、枕元に置いておけばいいから」
「わかった。"定点観測"……ネオユニヴァースは『脳波を測定』をするよ」
「脳波を測定するわけじゃないんだそのアプリ」
無呼吸症候群の場合、いびきは激しいものとなり、それが突然止まったりするのでアプリですぐわかる。だが彼女はいびきをかいていない……僕の知る範囲ではだが。現在、僕はユニヴァースと一緒に暮らしている。






3: 名無しさん(仮) 2024/03/27(水)20:13:18

様々なことがあって、ユニヴァースを愛していたと自覚したあの頃から、僕たちは寝食を共にするようになった。
それは一緒に過ごせなかったこれまでの想いの分だけ、これからはずっと一緒にいたいという彼女の願いに応えるためである。
その朝も彼女は眠気眼を袖の余ったパジャマで擦りながら、スリッパを引きずって自分の寝室から出てきた。僕はふわふわとした温かさを纏った彼女を洗面台に押し込み、朝食を用意する。
納豆と味噌汁をテーブルに並べていると、顔を洗ったユニヴァースが戻ってきた。
「アプリはどうだった?」
「"ART"……。でも、"LESE"……」
「じゃあ後でチェックしておくよ」
むにゃむにゃとした顔で納豆を頬張る彼女の手からスマホを預かり、データを僕のPCに共有しておく。そして食器を片付けユニヴァースを学園に見送ると、アプリの記録に目を通すのだった。





4: 名無しさん(仮) 2024/03/27(水)20:13:36

アプリは数分おきに録音した彼女の睡眠中の物音と、そこから推測した眠りのレベルをグラフ化したものを提示してくれていた。グラフを見ると、やはり睡眠中に一度眠りが極端に覚めている時間帯がある。寝不足の原因だろう。
次に、録音データを再生する。一瞬猛烈ないびきが入っていたらどうしようと思ったが、とても可愛い、すうすうとした寝息と寝返りの衣擦れ音だけが入っていて、少し頬が緩んだ。
順に録音データを確認していくと、問題の寝不足の時間帯に突入した。呼吸が止まった様子が録音されていないか耳を澄まして録音データを確認する。
すうすうとした寝息が途切れ、起き上がるような衣擦れ音、ベッドの軋む音、スリッパのパタパタとした足音、ドアの開閉音。やがて、そこから10分間、アプリには一切の音が録音されていなかった。




5: 名無しさん(仮) 2024/03/27(水)20:13:52

事態は思ったより深刻だった。この録音データから予測されるものは、彼女は夜中に起き上がって外に出ているということだった。
事実、およそ10分後にはドアの開閉音と共に彼女が寝室に戻って来て、再び就寝する様子が録音されているのであった。
僕はPCにつなげたイヤホンを外すと、頭を抱えた。夢遊病……。寝不足の原因は夢遊病だった。彼女自身も寝不足の原因がわからないのならこう考えるしかない。
何故気付いてやれなかったのだろう。同じ家に住んでいるというのに。




6: 名無しさん(仮) 2024/03/27(水)20:14:05

午後のトレーニングを終え、二人して家に帰り、ユニヴァースを風呂に入れてる間に夕食を用意しながら、僕は一つの計画を立てていた。
そして食後、自分の寝室に戻る彼女を見送ると、僕も自分の寝室に戻り、照明を消して布団に入りその時を待った。
結局夢遊病のことは彼女に話さなかった。まだ確認が取れていないからだ。だから、今夜は寝ずの番をして彼女がどこに向かうのかを確かめるつもりだ。
そのまま布団の中で待っていると、隣の部屋のドアが開く音。ユニヴァースの夢遊病が始まったのだ。ぺたぺたとしたスリッパの音を聞く。彼女は今リビングだ。
起き上がって彼女を追いかけよう。そう思った瞬間、部屋のドアが開いた。彼女の行き先は、ここだった。




7: 名無しさん(仮) 2024/03/27(水)20:14:16

突然のことに驚き硬直していると、部屋の照明もつけないままパジャマ姿のユニヴァースがこちらに歩み寄ってくる。慌てて目を閉じて寝たふりをしてしまう。
視覚情報を失い、せめて物音だけでもと他の感覚を過敏に研ぎ澄ませていると、パジャマの衣擦れ音がどんどん近づいて、ついには僕の顔の真横まで来ていた。
そしてはらりと彼女の長い髪が僕の顔にかかる。その感触から二人の体勢を脳内で想像していたため、反応が一歩遅れてしまった。
気がついた時には、僕の唇に柔らかく湿った何かが触れていた。
その瞬間、脳内に大量のドス黒い何かが洪水のように流れ込んできた。




[6]次のページ

[4]前のページ

[5]5ページ進む

[1]検索結果に戻る

通報・削除依頼 | 出典:http://2ch.sc


検索ワード

ウマ娘 | 怪文書 | ウマ | | 近頃 | ユニヴァース | 寝不足 | 体調 | あくび | | 確か | 間隔 |