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【ウマ娘怪文書】「ねぇねぇ、アヤベさん聞きました?巷で最近流行ってるって…」「ああ、春だものね。トレーナー狩りが多くなるはずだわ」カレンチャンが唐突に切り出した話に然程驚くこともなくアドマイヤベガは答えた


1: 名無しさん(仮) 2024/04/04(木)23:17:06

「ねぇねぇ、アヤベさん聞きました?巷で最近流行ってるって…」
「ああ、春だものね。トレーナー狩りが多くなるはずだわ」
カレンチャンが唐突に切り出した話に然程驚くこともなくアドマイヤベガは答えた。それだけ、学園のウマ娘達には身近な風物詩、トレーナー狩りである。
入学を控えたこのシーズンは闇の勢力も新人を欲している。その為この時期は有望な新人トレーナーが拉致される事件が多発するのだ。
「怖いです…私、トレーナーさんを盗られたくないです!すごくすごい嫌です!」
近くで聞いていたトップロードが身震いしながら嫌々とかぶりを振った。
「カレンもお兄ちゃん連れて行かれちゃうのは嫌だなぁ。アヤベさんはどう思いますか?」
「くだらない。そんなことで一々騒ぐなんてみっともない」
「えぇ!?アヤベさんは嫌じゃないんですかトレーナーさん連れて行かれちゃうの!」
「連れて行かれると言っても3日、長くとも1週間で戻ってくるそうじゃない。少し長めの出張と思えば大した事じゃないわ。今生の別れでもあるまいし」
「わぁ、アヤベさんってば大人?」
「私だった耐えられないです…」
「貴方達がトレーナーに依存し過ぎてるだけよ…」




2: 名無しさん(仮) 2024/04/04(木)23:18:08

──なんてやり取りをしたのが本日の午前中のこと。
現在は放課後のトレーニングの時間だが…
「待って!!連れて行かないで!!!」
悲鳴、否、まるで自分自身にとって致命的な身体の一部を奪われてしまったかのような断末魔にも似た叫びがグラウンドに響いた。叫びの主はアドマイヤベガ。
事の発端は数分前。いつものようにトレーニングに精を出していたアヤベさん。彼女がトレーニングに打ち込む隙を見計らって、近くで指導していた彼女のトレーナーをトレーナー狩りが強襲。あっという間に簀巻きにされて連れ去られてしまった。アヤベさんは必死に追い掛ける。
「待ちなさい!!待って、お願い待って!!その人は私の……ああっ」
叫びながら追い縋るも、足を縺れさせて転んでしまった。トレーナー狩りの姿は見えない。彼は連れ去られてしまった。
「あ…ぁぁあああ…嫌、嫌よそんなの…これ以上私から取り上げないで…連れて行かないで…私の…私のところからいなくならないで…嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!!」






3: 名無しさん(仮) 2024/04/04(木)23:18:39

慟哭、人目を憚らないその叫びに、ある者は同情し、ある者は明日は我が身と身震いし、またある者は今朝と言ってること違うじゃねえかと若干の苛立ちを覚えた。そこへ…
「あの、その…アヤベ…?」
連れ去られたはずのトレーナーが戻ってきたではないか。
「どうして…?」
「いや、何かトレーナー狩りの人が死にそうなレベルで追い詰められてる子からトレーナー取り上げるほど度胸ないって…」
トレーナーの視線の先を追うとは申し訳なさそうな顔をしたトレーナー狩りがいた。軽く会釈するとそそくさと足早にその場を去っていった。
「と、とにかく攫われずに済んだよ!良かった良かっうわっ!?」
無言のまま、トレーナーに抱擁するアヤベさん。
「ごめんなさい、しばらくこうさせて…」
見られたくないのか、顔を胸元に思い切り埋めるアヤベさんを、トレーナーはそっと抱き締め返した。それを見て、ある者は愛が勝ったと喜び、またある者は自分もあんな風にと羨ましがり、またある者はグラウンドのど真ん中でイチャつかないでくださいよ午前中かっこつけてたクセにと若干の苛立ちを覚えた。





4: 終 2024/04/04(木)23:19:24

斯くして、見事トレーナー狩りを撃退したアヤベさん。この一件を期に、自分は相当トレーナーに入れ込んでいることを自覚した。そして…

「ねぇ、トレーナーさん。今度のお休みは空いているかしら?プラネタリウムのチケットを貰ったの、良かったら一緒に…」
「あ、ごめんその日予定があって…」
「そう…なら仕方ないわね…一緒に行きたかったのだけれど…」
アヤベさんがシュンと凹んだ瞬間、トレーナーは複数の殺気を感じた。背後からはドス黒いカワイイオーラが、視界の端には鬼の形相の学級委員長が、隣の茂みからはその娘を泣かせるんじゃねぇと睨み付けてくるトレーナー狩りが。
「……予定もズラせるし、一緒に行こうか」
アヤベさんがトレーナーに入れ込んでるのを自覚したように、トレーナーも自覚した。この子を独りにしたら酷い目に遭うのはこの娘自身ではなく自分なのではないかと。
「独りにはしないよ。そんなこと抜きに」
「何か言ったかしら?」
「別に」
多くの人に見守られ、独りじゃなくなったアヤベさん。今日も幸せいっぱいなのでした。




11: 名無しさん(仮) 2024/04/04(木)23:26:38

>>3

>今朝と言ってること違うじゃねえかと若干の苛立ちを覚えた
やっぱ怖いっスね姉御は…




24: 名無しさん(仮) 2024/04/04(木)23:59:53

>>11
お話。




20: 名無しさん(仮) 2024/04/04(木)23:53:30

>>3

>またある者はグラウンドのど真ん中でイチャつかないでくださいよ午前中かっこつけてたクセにと若干の苛立ちを覚えた。
そうだね




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