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【ウマ娘怪文書】『攫われました』「攫われましたじゃないんだよねぇ…」送られてきたLANEにアグネスタキオンが呻くと同時怒った顔文字のスタンプを送るが既読は付かなかった


1: 名無しさん(仮) 2024/04/05(金)01:20:26

『攫われました』
「攫われましたじゃないんだよねぇ…」
送られてきたLANEにアグネスタキオンが呻くと同時
怒った顔文字のスタンプを送るが既読は付かなかった
なるほどトレーナー狩りだ
入学を控えたこのシーズンは闇の勢力も新人を欲している
その為のこの時期、担当トレーナーが拉致される事件が頻発するのだ
闇の者によって拉致されたトレーナーは消息を絶つものの
まずい事に短くて三日、長くても一週間程で学園に復帰する
同じ時期、地方レース場で目覚しく成長するウマ娘が現れると言われるが
因果関係は不明とされている
「その間の私の食事はどうなるんだろうねぇ…」
そんな呟きに反応するかのようにポコン、とLANEの着信音が鳴る
それに従い合鍵を利用しトレーナー寮のモルモットの部屋を開けると
果たして冷凍庫の中には大量の容器が保存されていた




2: 名無しさん(仮) 2024/04/05(金)01:20:40

「フゥン…これはこれは」
その一つを開け、そしてレンジにかけ待つ事数分
開くと湯気と共に蒸し鶏とブロッコリーが姿を現す
鶏胸肉に塩と調理酒で下味がつけられた蒸し鶏はタンパク質豊富
ブロッコリーにしてもみずみずしさを保っているようだった
いずれも彼が自分に持参する弁当に入っているオカズ類だ
こうして作り置きしておき、ストックしておいてあるのだろう
(君はこうなる事を予測していたのかいモルモット君…?)
送られて来た練習メニューを見ながらポン酢をかけ、咀嚼する
翌日には同じ様に保存されていた白米を解答し
別の容器に入ったカレーを温めてかけて口にした
ササミ肉と刻んだナスにトマト缶を丸ごと入れ
キーマドライカレーの元で作られた無水カレーはダイエットにも良いという
生憎アグネスタキオンはトレーナーが居なくて食事が喉を通らないという事は無い
マンハッタンカフェの方は拉致先で発生した心霊現象で早々に担当が戻って来た






3: 名無しさん(仮) 2024/04/05(金)01:20:53

「さて、今日はこれにするかねえ」
チン、という音の既にレンジから広がるコンソメの香り
顔を出したのはスープと共に冷凍されていたロールキャベツだった
慌てて食べる必要は無いしスプーンを舐っても咎めるトレーナーは不在
何より舌を火傷するぞ、と呆れ顔をされる事も無い
だから研究レポートの片手間ではあるがふう、ふうと息をかけ
味わうかのようにゆっくりと残さずに咀嚼していく
優しい味だ。とはいえ中のひき肉にもしっかり下味がついている
まだモルモット君は帰還しそうになかった
出会うまでは彼が居ない事が当たり前だったというのに
居なくなってからまだ三日、というのに長い時間が経ったように感じる事は
アグネスタキオンにとっても驚きだったがメモには取らなかった





4: 名無しさん(仮) 2024/04/05(金)01:21:08

四日目。気分を変えて昼寝はトレーナーの部屋でした
特に匂いはしない。家主が不在にしているからなのか
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
或いは普段。この寝床でちゃんと寝ている事が少ないのか
それは分からなかったがリビングの方が生活感に溢れているのは確かだ
様々なトレーニング資料は散らばっていたし
香り、という観点からすればソファーの方がトレーナーの匂いがした
だからという訳では無いが台所ではなくリビングで食事をする
解凍したのはハンバーグ
デミグラスソースと共に作り置きされていたお陰か
肉は柔らかく仄かな甘みが食欲をそそる
随分とまあ、レパートリーの多い事で
呆れ半分、感心半分で一緒に温めたごはんをかきこむ
これらは全て自分がお弁当に飽きないようにした工夫だろう
思えばそんな我儘をボヤいてみせた記憶もあった




5: 名無しさん(仮) 2024/04/05(金)01:21:20

五日目。ゴミの日だったのでついでにゴミ出しを行う
コンビニ弁当やカップ麺の容器類が多い事から見えて来た
あの狂気を孕んだ瞳の男はあれだ
自分には栄養価のある献立を用意し弁当を作り置きしておきながら
当人は時間が無いからと出来併せの物を貪っていたらしい
『ちゃんと食べてるか?』ではない
初日のように怒った顔文字のスタンプを送るが
恐らくは本人には違う意味で伝わるに違いない
溜息をつく。夕飯のピーマンの肉詰めに不満がある訳ではない
そこではなかった
机の引き出しの中で見つけた
『自分が倒れた時の為』の手紙を読んだ事にも起因があった
用意周到というのは必ずしも褒められたものではない




6: 名無しさん(仮) 2024/04/05(金)01:21:32

「ただいま」
「やあ、おかえり。随分と長かったじゃないか」
学園に戻って来たトレーナーは拉致される前より
余程規則正しい生活をしていたらしい
恐らく発光するような事も無く、だがしかし
闇の者にコキ使われる事になったのだろう
「どうだ?変わりなかったか?タキオン」
「いやなに順調さ。モルモット君のお陰ともいえる」
「それはなにより」
「ただねぇ…一ついいかい?モルモット君」
本当は一つではないのだが。まあ、言って聞くような男でもあるまい
そこは自分もそうなのだから半ば諦めている
「…今夜は私が何か作るから一緒に食べないかい?」
「タキオンお前…変な物でも食ったのか?」




7: 名無しさん(仮) 2024/04/05(金)01:22:03

「生憎と美味しい物しか食べてないさ」
本気で心配するトレーナーに恨みがましい目を向けて
その晩二人はさして出来栄えは良くないものの
それなりに満足のいく夕餉を共にした。




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