借金のカタに取られた彼女との駆け落ちが失敗し、俺は有力者の前でボコられ強制的に別れさせられた。数年後、再会すると…
86: 1 ◆U72pfJf7kg 投稿日:2013/03/01(金) 01:21:01.44 ID:PH/p6D4G0
コウジ「……俺……ユキちゃんのことが……す、好きなんだ……」
ユキ「??」
コウジ「ユキちゃんがカズを好きなことは、わかってるけど……ダメかな……」
ユキ「……ごめんなさい……」
コウジ「……やっぱりダメか……いいんだ、これでスッキリしたから……
これからは俺も応援するからなっ!」
ユキ「……応援してくれるんだ……ありがとう……だったら……
ひとつお願いがあるの……言いにくいんだけど……今日のことはカズくんには
内緒にして欲しい……彼がこのことを知ったら……たぶん……一生、私とは
付き合ってくれないと思うから……ごめんなさい……」
~~~~~
87: 1 ◆U72pfJf7kg 投稿日:2013/03/01(金) 01:21:57.10 ID:PH/p6D4G0
という状況だったらしい。
オレ「で、いったいお前はオレに何が言いたいんだ?」
コウジ「だから、その頃から彼女はお前に惚れていたというわけだ」
オレ「そうかい。そりゃありがたいね……って、今さらそれを聞いてオレにどうしろと?
間男になって、たんまり慰謝料を払えってか?」
コウジ「そうは言ってないが……」
オレ「だったら黙ってろ。というかお前こそ彼女にまだ未練があるんじゃねーのか?」
コウジ「……」
89: 1 ◆U72pfJf7kg 投稿日:2013/03/01(金) 01:22:53.41 ID:PH/p6D4G0
おいおい、ビンゴかよ……勘弁してくれ……彼女の重い状況に加えて旧友の大マジな
恋心まで聞かされちゃかなわん。
そういえば、コイツは進学を口実に逃げたオレとは違って卒業後も地元に残って
いたわけで……そして同窓会とかなんだかんだで彼女を支えてたんだよな……
オレ 「……コウジよ……お前が彼女を助けてやれ……オレにはムリだわ……」
コウジ「……」
オレ 「お前、オレよりも成績が良かったのに地元の大学に行って地元の会社に勤めたんだろ?
それって、そういうことじゃないのか? 彼女を見守るためじゃないのか?」
コウジ「……」
オレ 「オレは……逃げたんだよ……だから今さら……」
コウジ「……悪い……帰るわ……」
90: 1 ◆U72pfJf7kg 投稿日:2013/03/01(金) 01:24:14.24 ID:PH/p6D4G0
数少ない友人がまた一人減った気がした。ますます自分が孤立していくような気がして辛かった。
20代でこんなに孤独だったら、40代、50代、いや60歳になって会社にもいられなく
なったらどうなるんだ? 本当に世界中で自分のことを少しでも考えてくれる人が一人も
いなくなるのか?? とか思うと本格的に欝になってきた……
91: 1 ◆U72pfJf7kg 投稿日:2013/03/01(金) 01:25:08.14 ID:PH/p6D4G0
そして、約半年が過ぎた日曜の午後……家でゴロゴロしているオレに着信。
ディスプレイはユキと表示している。
めちゃめちゃ久しぶりだけど、できるだけ普通に話すことにした。
オレ「もしもし? どうした?」
ユキ「カズくん……今、何してる?」
オレ「なんにもしてない」
ユキ「よかった……あのね……へへへ、来ちゃった」
オレ「へ? 来ちゃったって、まさかこっちに?」
ユキ「……へへへ……」
93: 1 ◆U72pfJf7kg 投稿日:2013/03/01(金) 01:26:48.70 ID:PH/p6D4G0
文字にするとラブラブに見えるけど、実際は涙声だった。
なんだか切羽詰ってる感じがして、ちょっと心配。
オレ「じゃあ、すぐに準備するから、どこかで待ち合わせしよう」
ユキ「……いい、私がそっちに行くから……カズくんのところに行きたい……」
オレ「そ、そうなんだ……別に構わないけど……汚いよ」
ユキ「わかってる」
98: 1 ◆U72pfJf7kg 投稿日:2013/03/01(金) 01:29:26.45 ID:PH/p6D4G0
そんなわけで彼女が家にやってくる。ターミナルから乗り継いで30分もあれば余裕で最寄駅に
着いてしまう。さすがに駅までは迎えに行かないといけないから、オレに残された時間は
残り15分。
妙なフィギュアや抱き枕なんて趣味はないから隠さないと人格が崩壊するようなブツはない。
元々モノが少ない部屋だから片付けに手間はかからない。エロ系資産はないことはないけど
探さなければ見つからないだろう。プライオリティは、まず身支度。次にゴミの始末、そして換気。
あちらこちらに埃が積もっているのは……見なかったことにしよう。
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