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【ウマ娘怪文書】ジェンティルドンナは多くのウマ娘から誤解されている。本当の彼女は恐ろしい存在ではない。気高く、自分自身にストイックな貴婦人であると。


1: 名無しさん(仮) 2024/02/25(日)20:57:19

ジェンティルドンナは多くのウマ娘から誤解されている。トレセン学園において彼女の一挙一動は皆の耳目を集め、その絶対的な勝者としての貫禄は畏怖されていた。
だが、彼女のトレーナーとして付き合いも長い僕は気付いている。本当の彼女は恐ろしい存在ではない。気高く、自分自身にストイックな貴婦人であると。
だからおくびにも出さないが、あるいは彼女自身気付いてないのかもしれないが、今日のジェンティルは不調であった。万全を70とするなら今の彼女は65といったところか。
フォームに異常はない。タイムも悪くない。時折こちらを伺う余裕もある。しかし、表情は険しい。きっとケガや病気ではなく、メンタルの何かだ。
朝の練習を終える際、彼女に午後の練習は休みにすることを伝える。彼女は一瞬言葉を詰まらせたが、すぐにいつもの調子に戻りタオルを持って更衣室に戻っていった。




2: 名無しさん(仮) 2024/02/25(日)20:57:37

先頭を走るものは常に自分との、そして背中を追うものとの戦いだ。彼女はまったく弱音を吐かないが、その身にかかる重圧は必ずあるはずだ。
自分に出来るなら、彼女の重圧を取り除いてやりたい。少しでもジェンティルの走るサポートをしてやりたい。彼女の担当トレーナーになってからそればかり考えていた。
そんなことを考えながら、トレーナー室で一人、今日の午後練習をオフにしたリスケとして、翌日以降のメニューを考えていると、
『後でそちらに向かいます』
ジェンティルドンナからのLANEのメッセージがスマホの画面に映る。一体何故!?今日はオフにしたのに。今朝、休息を取ってリラックスをするようにと伝えたのに。






3: 名無しさん(仮) 2024/02/25(日)20:57:51

考えるのは後回し、急いでミネラルウォーターを沸かし、ティーポットとカップとソーサーをお湯で温める。
オーディオでクラシックのCDをかけ、ティーポットに茶葉を入れお湯を注いで蒸らしたところでトレーナー室の扉が開き、ジェンティルドンナがやってきた。
「ごきげんよう……あら」
クラシックが流れるトレーナー室、ティーカップを用意している僕を見ると、ジェンティルは上機嫌そうに鼻を鳴らすと、ソファにゆっくりと座った。
これは付き合いの中で僕が得た、彼女がトレーナー室に来る時の作法である。彼女に機嫌よく過ごしてもらえるよう務めるのも、僕の役目だ。





4: 名無しさん(仮) 2024/02/25(日)20:58:01

紅茶を楽しむ彼女の左隣に座ると、僕は両手を膝の上に置いて彼女の次の言葉を待った。休むよう伝えたのにここに来る理由はなんだろう。もしかして不服だったのだろうか。
意外に思われるかもしれないが、彼女はよく僕のメニューを聞き入れてくれている。きっと強くなるためにそれが最適なのだと思ったのかもしれないし、僕を認めてくれているのかもしれない。これは思い上がりすぎか。
だから、午後の練習を休むよう伝えた時、一瞬何かを考えた彼女の様子が気になっていた。そしてこの突然の訪問もまた、何か意味があるのかもしれない。
カップとソーサーをテーブルに戻すと、ジェンティルはおもむろに左手で僕の頭を掴んだ。そして、それを自分の側に倒し、自らの肩に乗せた。




5: 名無しさん(仮) 2024/02/25(日)20:58:12

彼女がこうして時折僕の体を動かすことはよくある。始まりは彼女のトレーナーになってしばらくしてからのこと。
突然僕の手を握ってみたり、腕を取ってしげしげと見つめてみたり、胸板に手を当ててみたり。最初のうちは戸惑ったが、多くを語らない彼女がそれを行うということは、きっと必要なことなのだろう。
いつしか僕は体を委ね、彼女の思うままにされるようになった。
「うん……収まりが……悪いですわね」
僕の頭を肩に乗せながらひとりごちるジェンティル。当然だ、僕は彼女よりも背が高いのだから、肩に頭を預けるために妙な姿勢で座ることになっているのだから。
するとまた彼女の左手が、ぐいっと僕を引き倒すと、僕は気がつけば彼女の膝に頭を預けていた。




6: 名無しさん(仮) 2024/02/25(日)20:58:23

右耳に当たる柔らかな温もりはきっと彼女の太ももだ。眼の前に見えるのはおそらく視界が90度傾いたティーカップだ。なら左耳に当たる重い何かについては、考えるのはよそう。
「……!これですわ」
何かに合点がいったらしい。彼女は僕の頭を膝に乗せたまま、再び紅茶を楽しみ始めた。僕はというと大混乱だ。
この状況で動こうものならきっと、彼女の色んなところに触れてしまうだろう。いや、もう触れているのだが。そして何より太ももと胸で挟まれたこの状況は、まったく頭が動かせなかった。
こんな姿を誰かに見られたら、大変なことになるのではないか。要らぬ心配で心臓がバクバクと鳴り始める。
こちらの心配などよそに、ティーカップをテーブルに置いた彼女は、右手で僕の頭を撫で、左手で僕の右手を握って遊び始めた。




7: 名無しさん(仮) 2024/02/25(日)20:58:36

僕の右手を握る彼女の左手は、時折強くぎゅっと握ったり、彼女の親指が僕の人差し指の節を撫でて感触を楽しんだり、まるで愛でているようだった。
緊張の膝枕が始まって何分経っただろうか、徐々に僕は、この行為の意味を察し始めていた。僕の予想が当たっているなら、きっと……。不意に、彼女が口を開いた。
「よし、補給はこんなところでしょうか」
「えっと…」
声をかければ左耳にかかる肉の重みが増した。彼女がこちらを向いたのだ。
「もしかして、これって何か、ストレス解消になってたりする?」




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