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彼女はヒキニートの兄に虐待を繰り返されていた。悲惨な真実を聞いた俺は、ある作戦を思いつき、暴君兄をおびき寄せた…


382: 恋人は名無しさん 投稿日:2010/10/03(日) 20:32:00 ID:vZpqsTC70

しかし彼女が高校生になったあたりから旗色が変わってきた。

兄が色気づいたのだ。

今まではすれ違いざまに殴るふりだったのが、乳を掴んできたり

無理やりキスするように顔を近づけてきたり

寝ている間に部屋に入って来るようになったという。

彼女は親に

「部屋に鍵をつけてくれ」

と訴えたが、

「日常と変わったことをするとお兄ちゃんが動揺するからだめ。

お兄ちゃんを刺激しないようにして、ささいなことは我慢しなさい」とスルーされた。

 




386: 恋人は名無しさん 投稿日:2010/10/03(日) 20:36:52 ID:vZpqsTC70

その後彼女は家を出るまで、手製のつっかえ棒みたいなもので

夜中にドアが開かないよう自衛していたらしい。

高1の冬に伯母と叔父(父方)と伯母(母方)の協力があり

祖母宅(父方)へ避難。

ひきこもりの兄は自宅から一歩も出られないので追ってくることはなかったらしい。

そのうちに祖母が弱ってきたので

祖母を置いていくこともできず彼女は祖母宅から通える会社に就職。

現在に至る。

兄はどうせ家庭内のみの暴君だからあの家にさえ二度と戻らなければ、と思っていたが

最近母親から祖母宅に電話があり

油断と懐かしさで近況をしゃべってしまったのだそうだ。

彼氏ができたとはっきり言ったわけじゃないが

ニュアンスで伝わってしまったらしい。

そしてその話はそのまま兄にダイレクトに伝わった。

 




392: 恋人は名無しさん 投稿日:2010/10/03(日) 20:44:07 ID:vZpqsTC70

31歳ヒッキー兄、激怒。

彼女を「自分のもの」だと今でも思っているらしく

もう傷物だとかビッチだとか相当罵倒して家の中で暴れた。

そしてその激怒の勢いで10数年ぶりに家を出て、祖母宅でも暴れた。

その時彼女は留守だったが、彼女のおばあちゃんがやられたらしい。

さいわい途中で大声を出して、たまたま開いてた縁側のサッシから逃げたので

大けがにはならなかったが、目の周りや腕、腹にあざができるなど

軽い被害ではなかった。

彼女は「家庭内のみの暴君」だった兄がついに外にも出れるようになったことを知り

「このままでは俺男くんもやられる」

と悩んでいたそうだった。

 





400: 恋人は名無しさん 投稿日:2010/10/03(日) 20:49:20 ID:vZpqsTC70

俺「その兄貴は俺の家を知ってるの?」

カノ「たぶんまだ知らないけど、時間の問題だと思う。だから早く逃げて欲しい。

こんなことになってほんとうにごめんなさい」

俺「でも俺、現役引退して何年も経つけどスポーツやってたし

まだ31歳ひきこもりに負けるほどじゃないはずだから、安心して」

カノ「そういうことじゃない。俺男くんは他人を躊躇なく殴れるかっていうとそうじゃないでしょ?

でも兄は躊躇なくゴルフクラブで他人の頭を全力で殴れる人。

リミッターがない人と常識人とでは比較にならない。

とにかく兄は普通じゃない。普通じゃない人を相手にしてけがしないで」

と泣かれた。

そういう幼少期を過ごしたんだから無理もないだろうけど

とにかく彼女は兄を過大評価というか、大魔王みたいに思っていた。

いまだに顔を思い出すだけで足が震えるとか、高校生になっても口答え一つできなかった、と

言っていた。

 




406: 恋人は名無しさん 投稿日:2010/10/03(日) 21:00:38 ID:vZpqsTC70

でも話を聞く限り、その兄は母親、彼女、母方の叔母、彼女の祖母など

女にしか暴力をふるってなかった。

彼女の父親を殴ったという話は一回もなかった。

彼女にそれを指摘すると

「父は「お兄ちゃんを刺激してはいけない」説の信奉者で、兄を怒らせないようにいつも

一番気を使っていた人だからだと思う」

との答えだった。

ちなみにその「刺激してはいけない」は医者だかカウンセラーだかに言われたことらしい。

彼女が物心ついた時にはもう家庭内に浸透してたそうだ。

俺は話を総合して、ヒキ兄が男には強く出られない奴だろうという方に賭けた。

部活やめてかなり経ってややビール腹とはいえ

体脂肪が13%より上になったことがない俺が、31歳ヒキに負けることはない…ないだろう…たぶん、と思った。

 




409: 恋人は名無しさん 投稿日:2010/10/03(日) 21:03:31 ID:vZpqsTC70

包丁でも持って来るかもしれないから、一応長物でも用意しておくことにして

彼女をちょっとでも笑わせたかったから

「俺はそっちに賭ける!きみは俺が負ける方に賭けて

商品はこのCDだ!」

ということにした。

彼女は「CD欲しいけど負けなきゃ」と言って、泣いてたけどちょっとだけ笑って、でもやっぱり泣いてしまった。

そして彼女が家を出る時に協力してくれた父方の伯母と、叔父とその奥さんは

信用置ける人そうだったから協力してもらうことにした。

彼女は渋ってたが、俺のほんとうの住所を知らせないということを条件に

まずおばあちゃんを父方伯母さんの家に避難させ、

「彼女が祖母を追い出して、俺を祖母宅に引き込んで同棲してる」

という話を彼女の母に吹き込んでもらった。

母親から兄にすぐ伝わるだろうという予想で。

 




415: 恋人は名無しさん 投稿日:2010/10/03(日) 21:09:28 ID:vZpqsTC70

でも予想に反して、ヒキ兄はすぐ襲撃して来なかった。

やっぱり俺という他人の、それも男を襲撃するのはハードルが高かったんだと思う。

そこで諦めても良かったんだが、このまま彼女が一生ヒキ兄におびえたままじゃ

かわいそうだし、全部やり返すのは無理としても一発くらい殴らせたかったから

作戦は継続した。

なお何日も二人きりで過ごすうち、俺は紳士ではなくなってしまったが

それは仕方のないことだと思う。

驚いたのは俺が変態紳士ではなくなってしまったことが

すぐ彼女実家にばれたことだった。

盗聴器でもつけてるのか?と怪しんだくらい早かった。

彼女の母から祖母宅電話に「あれほどお兄ちゃんを刺激しないでって言ったでしょ!」と

号泣しながら電話がかってきた。

ちなみに取ったのは俺。

俺がなにか言う前に切れた。

 




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