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【ウマ娘怪文書】本日、私ダイイチルビーは、一つのある重大な使命を伴ってトレーナー室に赴きました。これは我が一族の趨勢にも関わる大きな分岐点。私がこの使命を全う出来るかによって華麗なる一族の栄華が続くか、没落の一途を辿るか決まると言っても過言ではありません。


1: 名無しさん(仮) 2024/01/14(日)23:24:42

本日、私ダイイチルビーは、一つのある重大な使命を伴ってトレーナー室に赴きました。これは我が一族の趨勢にも関わる大きな分岐点。私がこの使命を全う出来るかによって華麗なる一族の栄華が続くか、没落の一途を辿るか決まると言っても過言ではありません。しかし私には確信がありました。この使命、きっと成功する、と。
彼とは既に3年以上の付き合い。我が一族の重圧にも負けず、私に寄り添い、道を示し、支え続けてくれた彼にいつしか私は好意を抱いていました。彼が私をどう思っているかは正直分かりません。けれど、私の願いを無下にする程信頼関係が希薄というわけでもないはず。そこに勝機を見出して、いざ。
「失礼します」
「やぁ、こんにちはルビー……今日はオフのはずだけど何か用?」
「本日は貴方に頼み事があって参りました」
「頼み事…」
「はい。トレーナーさんには我が一族の会食に参加していただきたいのです。私と一緒に」
私の背負った使命、それはトレーナーさんを今度開かれる一族の会食に招待すること。そして、そこで堂々と宣言するのです。
彼こそが私をここまで導いてくれたトレーナーだ、と。




2: 名無しさん(仮) 2024/01/14(日)23:25:06

彼は優秀なトレーナーですが、新人に耳と尻尾が生えた程度のキャリアしかありません。悲しいことですが、今からでももっと優秀なトレーナーと交代させるべきではないか、他のトレーナーの方が優秀な成績を残せたのではないかという声が一族内からも挙がるのは事実です。だからこそ、それらをまとめて封殺するためにも一族や来賓の方の前で私が宣言する必要があるのです。彼こそが私のトレーナーで、変える気は毛頭ない、と。
これは私と母含めて私と近しい一族の者達で立てた作戦。勿論、目論見はまだあります。先述した通り、私は彼に好意を抱いています。そして、彼は優秀なトレーナー。一族の発展の為に我が一族に迎え入れる者としても申し分ないはず。一族や来賓の方の前で私の公のパートナーであることを宣言、さらにここで生まれた認識を足掛かりに私生活のパートナーでもあることを周囲に認知させる、言わば外堀を埋めるための戦略でもあるのです。やることが汚い、と言われればそれまでですが我が一族、発展のためには時に手段を選ばずここまで栄えました。さらに彼に今現在交際中の恋人がいないのも調べはついています。






3: 名無しさん(仮) 2024/01/14(日)23:26:10

覚悟してくださいトレーナーさん、貴方は既に我が一族の術中に陥っているのですよ。さぁ、お覚悟を!さぁ!さぁ!
「ご都合が悪かったでしょうか?」(その日は何の予定が無いことも調べはついてますよ)
「ルビーの頼みとあらば断る理由はないよ。行こう」
「ありがとう存じます。では、手配させていただきます」
「ありがとう。それにしてもとうとうこの日が来ちゃったか…」
「この日が来た、とは?」(ひょっとしてトレーナーさんも一族の前で私を愛バだと宣言する心づもりだったり…?)
「だって、会食ってことは一族の人とか来賓の方とかいっぱいいらっしゃるんだろう?その人達の前でトレーナーを変えますって宣言する為に、俺を招くんじゃないの?」
「はい?……違います。誰がそんな血も涙もないことをしますか」
「え、違うの?良かったぁ、ルビーに切り捨てられる覚悟は常々してるけど、それはそれとしてやっぱり辛いものはあるね…」
「そんな覚悟はしなくて良いのです。それに切り捨てるならわざわざ人を集めず普通の場で宣言させていただきます」
「え、やっぱり切り捨てられるの?休日なのにわざわざ会いに来たし…」





4: 名無しさん(仮) 2024/01/14(日)23:27:16

「今のは例え話です。その気は無いから安心してください」
「安心……いや、安心は出来ないよ。安心とは即ち停滞。ここで安心しちゃったら、俺はルビーと並び立てなくなってしまう」
「何で変なところはストイックなんですか」
どうにか誤解は解いたものの、あまりの察しの悪さに悲しくなってきました。ヘリオスさん風に言うのならぴえん。

「…………はぁ」
つい溜息。どうして私が好いた彼の人は、これ程までに察しが悪いのでしょうか。私だって歳頃の乙女。ちょっと背後に大きな家を背負ってるだけの普通の女の子。本当はもっと他の子達みたいにクリスマスに名前呼びを解禁してみたり、貰った車に私の名前を付けてもらってそれで一緒にドライブデートしたり、ディスコで一緒にアゲアゲプチョヘンザしたいのに…
悪気が無いとはいえ袖にされてばかりでは傷付くというもの。どうにかして彼に、少しだけでも好意に気付いてもらう術はないものでしょうか。
「ルビーさん?大丈夫?」
呼ばれて顔を上げると、そこにはキングヘイローさん。何度か我が一族のパーティにも顔を出している名家のご令嬢。とは言っても、それ程まで深い関わりがあるわけではないのですが。




5: 名無しさん(仮) 2024/01/14(日)23:28:08

「ごめんなさい、何か元気なさそうだったからつい…余計なお世話だったかしら?」

「いえ…」

「どしたのー、キング?」

彼女の後ろから顔を出したのはセイウンスカイさん。確か、キングさんの同期の方。
「あ、この娘は確か華麗なる一族の…知り合いなの?」
「いえ、パーティで何度か顔を合わせたことがあるくらいで…」
「あー、そう言えば一応お嬢様だったねキング」
「一応、って何よ一応って!」
仲が良さそうですね。こういうのを“マブダチ"というのでしょうか?例えばそう、ヘリオスさんとパーマーさんのような……あの2人とはまた違う感じですね。
「あの…用が無いのなら行ってもよろしいでしょうか?私も暇ではありませんので」(用が無いのならマブダチの邪魔をするのは野暮ですね。ここは退散しましょう)
「うわ、結構キッツイこと言うねぇこの娘…」
「待ってルビーさん。何か悩んでたみたいだけど、私達で良ければ相談になるわよ?」




6: 名無しさん(仮) 2024/01/14(日)23:28:37

「達?私も?」
「いえ、お気になさらず。これは我が一族の問題なのです」
「そう言わずにさぁ?こっちのお節介焼きのキングに付き合ってあげてよ。このキング、これでも恋愛成就の御神体として巷で話題の…」
「スカイさん、勝手なこと言わないで」
「…詳しくお聞かせいただいても?」
「お、食い付いた」
「ルビーさん!?」
お話をうかがった所、キングさんの母君はかの偉大なウマ娘。多大なる功績を治めたものの、自身のトレーナーを逆ぴょいし、その子を孕んだままレースに出走した問題児ともされるお方。そしてその時お腹にいた子こそがキングさん。故に彼女はウマ娘とトレーナーの恋愛成就の象徴として巷で祀られているそう。なるほど、確かに以前そのような話を小耳に挟んだ記憶があります。
「とはいえ所詮は迷信。恋に悩むウマ娘達が藁にも縋る想いで作り出した世迷言ですね」(キングさんも大変ですね)
「それ私は藁ってこと?」
「しかしせっかくです。私も拝ませていただいても?」(迷惑を承知でお願いする私…)
「そうね、それは構わないのだけれど私から言うことがあるとすれば恋を成就させたいならその()の中で喋るの止めなさい」




20: 名無しさん(仮) 2024/01/14(日)23:48:26

>>22.1

>「しかしせっかくです。私も拝ませていただいても?」(迷惑を承知でお願いする私…)
「そうね、それは構わないのだけれど私から言うことがあるとすれば恋を成就させたいならその()の中で喋るの止めなさい」
コイツ、心を読んで…




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