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【ウマ娘怪文書】アドマイヤベガは、見る人によっては無愛想だとか、クールだとかそういう風に見えるかもしれない。しかし、トレーナーである彼は知っている。彼女の内に秘めた優しさ、困っている人を見過ごせない優しさを


1: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)22:30:33

アドマイヤベガというウマ娘は、見る人によっては無愛想だとか、クールだとかそういう風に見えるかもしれない。しかし、トレーナーである彼は知っている。彼女の内に秘めた優しさ、困っている人を見過ごせない優しさを。
そんな彼女だからこそ多くの友達に慕われ、多くのファンを生み出したのだとトレーナーは思うし、そんな彼女の事が大好きで、教え子として誇れる存在であると常に思っている。




2: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)22:31:36

「だからたぶん俺が触りたいって言ったらアヤベは触らせてくれるんだよ…」

「はあ」

カレンチャンは浅く溜息を吐きながら呆れた。
時は放課後のトレーナー室。カレンチャンもアドマイヤベガも、本日のトレーニングはお休みであった。午前中にアヤベさんのトレーナーさんから「折行って相談がある」と言われて此処を訪れた。

「アヤベの耳を触りたい」

その時の彼の第一声がこの有り様だったので即時に踵を返したカレンチャンだったが、お兄ちゃん──もとい自分のトレーナーである男のセクシーな寝顔を餌にその場に釣られてしまったのである。

「頼めばいいじゃないですか。耳を触らせてくれ〜アヤベ〜って」

「だからそれじゃ駄目なんだ…絶妙に駄目なんだよ…」






3: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)22:32:20

アドマイヤベガというウマ娘の優しさはカレンチャンもよく知っている。優しくて人の気持ちに寄り添えるあの人は「断れない人」だ。────昔はもう少し刺々しい性格をしていたのだが。
ともかく、断れないアヤベさんの性格を知っていてそんな欲望に塗れた不埒な頼み事をするのは気が引けるどころじゃないという気持ちはわかった。そもそも教える立場の大人が学生にそんな事をお願いするのも卑猥だ、という観点も間違いなくある。

「そこまで言わなくても…」
声に出ていたらしい。カワイイを極めると稀にこういう現象が起こる。

「まあそもそも…アヤベさんが一番断れなくなる相手ってダントツでトレーナーさんなんですけどね」
「それは知ってるし、嬉しい」

真剣な表情で正面から惚気を喰らってしまった。自分がカレンチャンではなく短気でガラの悪いウマ娘だったらその場で平手を叩き込んでいたところだが、自分はカレンチャンだ。





4: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)22:33:16

「そんな悩み、カレンに言われてもどうしようもないですよ。自分で勝手に触ってください」

カワイくない言葉を投げつけられたトレーナーは悲しい顔をして項垂れた。そして、如何にアドマイヤベガの体毛が素晴らしいのか、美しく、見ているだけでその感触が脳内を埋め尽くすのか、良い匂いがするのかを語り始めた。流石に大人として思うところがあったのか、言い回しは多分に配慮を含んだ遠回しな物に置き換えられてはいたが、彼の欲望と熱意と愛は充分に伝わった。

「……なるほど。そんなに触りたいんですね」

「はい!!!!!!!」

ウイニングチケット先輩より声が大きい。これは重症だ。カレンチャンは椅子からすくっと立ち上がり、入り口のドアに向かって歩いて、止まった。




5: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)22:33:59

「カレンチャン?」

「それではご本人の登場で〜す!」

カレンチャンがそう言うと、入り口の扉がゆっくりと、どこか恥じらいを含みながら開く。渦中の人物・アドマイヤベガはそこにいた。

「あ、アヤベ……いつから…」

ウマ娘の五感は鋭い。特にカレンチャンの聴覚は20km先にあるお兄ちゃんが落ちた音も聞き分けるほどだ。トレーナーでは気づけなかったアドマイヤベガの足音を聞き分ける事など造作もない。会話を聞いたアヤベさんがドアの前で立ち止まっていたこともバッチリ把握済みというわけだった。ので、嵌めた。

「アヤベさ〜ん!トレーナーさん、アヤベさんの耳を触りたくてしょうがないみたい!」

「えっと…その…違うんだあっあやあやアヤベ」




6: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)22:35:22

トレーナーは自分の人生史上で三本の指に入るくらいには慌てている。どう言い訳をしていいのか、いやいっそこのチャンスに乗るべきか。様々な思考が脳を駆け巡って言葉が出力できない。

目を逸らして俯いていたアドマイヤベガが、一瞬、トレーナーの方を見て、紅潮していた頬の色を更に濃くした。

「…………すけべ」
そう言い残して、アドマイヤベガは駆け足で去って行ってしまった。

「あっアヤベさんちょっと…!行っちゃった。トレーナーさん、大丈夫ですか?」

「二位だ…」
「はい?」
「アヤベに言って欲しい台詞ランキング二位だ……!!!!」
「うわ…」

トレーナーは涙を流していた。




8: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)22:36:22

確かにアヤベさんに……すけべは言ってもらいたいけどこのトレーナー相当ダメだな!




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