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【ウマ娘怪文書】トレセン学園は荒れていた。それもこれも『スキンシップとウマ娘の成績について』という論文が発表されてしまったからだ


1: 名無しさん(仮) 2023/09/30(土)20:21:33

トレセン学園は荒れていた。それもこれも『スキンシップとウマ娘の成績について』という論文が発表されてしまったからだ。謎多きウマ娘の生態を研究している専門雑誌の小さなコラムでひっそりと紹介されていたそれは、1人のウマ娘からあっという間に学園中に広がった。
スキンシップを増やせばそれに比例して戦績も良くなっているという論文の内容はトレーナーにとっても衝撃だった。主に身の安全という観点からだが。今も方々のトレーナー室から誰かが暴れているような物音が鳴っている。中でなにが起こっているかは容易に想像ができるだろう。
自分はというと、この緊急事態に学園側がなにか対策を発表するまで、なるべく担当であるサトノダイヤモンドに見つからないようにトレーナー寮で過ごすことにした。幸い、今日は休日。普段は学園で作業をしているが、在宅でも作業は進められる。人一倍好奇心の強い彼女である。おそらく、見つかったら他よりももっと大変なことになるに違いない。
ウマ娘とトレーナーたちの叫び声が飛び交う学園をあとにして、そそくさと自分の部屋へ戻る。




2: 名無しさん(仮) 2023/09/30(土)20:21:56

「あっ! トレーナーさん! ここにいらっしゃったんですね!」
「ダイヤ!? ここ、俺の家なんだけど……」
「えぇ、えぇ。存じてますとも! 私、トレーナーさんがどんな部屋で過ごしているのか気になったものですから、たまたま見に来ていたんです!」
目を輝かせる彼女にプライバシーと人権を主張したくなるが、我慢する。この状態の彼女を止めようとすればさらに強い力でその固定観念を破ろうとするからだ。彼女が破壊するものはもはやジンクスに限らなかった。
「それでトレーナーさん。先日、興味深い論文が発表されました! もちろん、内容はご存知ですよね?」
「あ、あぁ。もちろん知ってるよ……けど、まだ確実な実験結果が出されたわけじゃないだろ?」
笑顔でじりじりとこちらとの距離を詰める彼女から後ずさりしながら意味のない説得を試みる。
「そうなんです! ですから、私たちで証明してみませんか?」
「いや、どうかな……それよりも練習をしたほうがいいんじゃ……」
「私、相手がトレーナーさんだから言ってるんです。……これでも結構、勇気を出してるんですよ?」






3: 名無しさん(仮) 2023/09/30(土)20:22:29

顔を赤らめ上目遣いで迫ってくるダイヤを見て、観念する。あぁ、こりゃダメだ。ズルい。断れるわけないじゃないか。
「嫌でしたら言ってくださいね。すぐに止めますから」
G1などの舞台では勝負服の袖ですっぽりと覆われている彼女の白い手が少しずつ、そっとこちらの手に重ねられていく。こちらの指の間に彼女の指が一本一本確実に絡みつくような手つきだ。思わず息を呑んでしまう。
しかし、彼女はそれだけでは止まらない。手を繋いだ状態でゆっくりと彼女がこちらに体重をかける。どんどんと彼女がこちらに迫ってくる。
「ダイヤ……一応聞いておくけど、君の言うスキンシップっていうのはどこまでなんだい……?」
「ふふっ♪ どうでしょう。駄目だと思ったら、その時はトレーナーさんが教えてください」
気づけば彼女顔は吐息が交わるほどに近づき、こちらは床に押し倒され、彼女は俺の腰の上に座るような体勢になっていた。
「この格好……ウマ乗り、と言うそうですよ。こうなってしまうとヒトの力では抜け出せないんだとか♪」





4: 名無しさん(仮) 2023/09/30(土)20:23:00

まったく彼女の言う通りである。このポジションを取られたら全くもってなにもできない。ウマ娘の前にヒトは無力なのだ。
迫ってくる彼女に抵抗しようもないこちらを見て、彼女は何かを思い出したかのように言った。
「そういえば、ヒトはウマ娘に勝てない……これもまたジンクスですね。トレーナーさん、どうでしょう? 試してみませんか?」
「試すって……これ以上、何を?」
「スキンシップとヒトの力……両方を確かめるんです。もし、トレーナーさんが勝てなくて、なおかつ私の調子が良ければ良いジンクス。そうでないなら破るべきジンクス。つまり、挑戦し続ける価値があるということです」
ふと、彼女の瞳が妖しく光った気がした。それはいつもの好奇心に満ちた瞳とは違い、どこかギラギラトしていた。そんな目で見下され、心拍数が上がる。
「どうでしょう? 私の心配はしなくていいですから、抜け出してみてくれませんか?」




5: 名無しさん(仮) 2023/09/30(土)20:23:18

言われなくても、これ以上は越えてはいけない一線である気がしてならないのでそうさせてもらう。そう意気込んで体を捩らせたり彼女の手を振り解こうと頑張ってみるが、うんともすんとも言わない。彼女は微笑みながら手を握ってこちらを見つめるだけである。
「……すごい。授業で聞いたことはありますが、本当に力が弱いんですね」
「……情けない話だけどね。さ、そろそろ離してほしいな」
「まだですよ。私の"スキンシップ"は終わっていません。さっきも言ったじゃないですか。もしも嫌なら言ってくださいと。嫌じゃないなら私……まだまだ止めません」
彼女はこちらの手を離して体をどんどんと倒していく。ついにはこちらの胸元に彼女の胸が乗ることで止まる。柔らかい。温かくて、めっちゃ柔らかい。
両手首をガッチリと掴まれ、至近距離で彼女に見つけられてしまう。完全に捕食者の目である。
「……どうですか? ダイヤの身体、こんなに近くにありますよ? 嫌じゃ、ないですか?」
「嫌……ではないけど……」
「じゃあ、もっと。もっと近づきたいです」




6: 名無しさん(仮) 2023/09/30(土)20:23:38

あぁ、もうどうしようもないかな。彼女を拒む理性はもはや残っていなかった。おそらく、今頃学園中で同じ光景が見られるのだろう。そりゃそうだ。みんな顔も性格も声もいいもんね。逆らえねぇや。
「どこからにしましょうか? いろんな場所、ありますよね?」
彼女の指が俺の体の輪郭を確かめるようになぞっていく。もう、声を抑えるだけで精一杯だった。
「いろんなジンクス、いっぱい破りましょうね♪」
耳元でそう囁かれ、その日はそのまま二人で重なり合って過ごした。誓って言うが一番ヤバい一線は超えていない。健全。CEROはAである。あ、いや、本当はCくらいだ。でもダイヤは中等部なので問題はない。アウトな部分なんてない、100%健全なお付き合いである。そう言い聞かせて自らの心を守る。ダイヤが何故かそのまま俺の家に泊まることになったのも変な話ではないのだ。
翌朝。学園へ出勤するための準備をワクワクした様子で見せつけるダイヤから目を逸らしていると、学園からメールが届いた。
「推奨! トレーナー諸君にはウマ娘がレースで全力を出せるよう、様々な指導を頼みたい!当然、スキンシップも含まれるものとする!」




7: 名無しさん(仮) 2023/09/30(土)20:23:52

事実上の降伏勧告である。ダイヤの方を見れば、彼女は勝ち誇った顔で胸を張っていた。
「早速今日の練習が終わってからまた試してみましょう! 継続は力なり、ですよ!」
……まぁ、いいか。別に拒む理由もないな。そう思って玄関を開ければたくさんのウマ娘と同僚たちが警備員に会釈をしながら学園へ向かっていた。まぁ、こうなるよな。
「みんなも試してるみたいだね、スキンシップ。これは破るべきジンクスにならないの?」
「良いジンクスにはあやかるべき! ですよ!」
あぁ、強かだなぁ。彼女に手を引かれながら学園へ向かいながらそう思った。
ダイヤは鼻歌を歌いながらスキップでもする勢い。彼女が楽しそうで、自分もまんざらではなくて。なら、これでいいやと思った。
後日、サトノ家からお付き合いに関する知らせが来た。要約すると、「もう逃さないぞ」ということである。でもまぁ、逃げるつもりなんてないのでこれでいいのだ。当然、その日からも彼女とのスキンシップは続いた。うむ。これでいいのだ。




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