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【ウマ娘怪文書】「徹底管理主義」に基づく改革は混乱ののち中止された。しかし、その思想・実践が少なくない支持を集めていたことも事実であり、改革の中心人物たる樫本理子が形成したグループは彼女の脱退後も規模をわずかに縮小しつつ存続した


1: 名無しさん(仮) 2023/09/04(月)19:58:48

日本ウマ娘トレーニングセンター学園において、「徹底管理主義」に基づく改革は混乱ののち中止された。しかし、その思想・実践が少なくない支持を集めていたことも事実であり、改革の中心人物たる樫本理子が形成したグループは彼女の脱退後も規模をわずかに縮小しつつ存続した。その中で指導者として振る舞っていたのはウマ娘ライスシャワーのトレーナーである。ライスシャワーの成功により、彼の元には多くの生徒が集まり、指導を求めた。担当したウマ娘は公式の広報文書に記載されたものを合計すると458人となっているが、実際はそれより遥かに少ないとされる。何人を担当したにせよ、この過程で彼は平凡なウマ娘の限界を見ることになった。
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2: 名無しさん(仮) 2023/09/04(月)19:59:01

担当したウマ娘たちが望むだけの成果を上げるには、極めてハードなトレーニングを行い、また生活をレースのために徹底して効率化してようやく可能性が現れることが明白であった。そのような状況の中、彼は樫本のグループに興味を持ち、参加した。その熱心さと有能さゆえに発言力は強まっていき、樫本の脱退と同時に、「リーダー」となることを宣言した。その後グループは厳密に組織化され、「ゆるやかな改革」を掲げることとなった。(ゴールドシップ著『お兄さま帝国の虚構と真実』)




3: 名無しさん(仮) 2023/09/04(月)19:59:15

秋風が地表を駆けても、落ち葉は一つも舞わない。管理の徹底された昼過ぎの校庭を見て、マンハッタンカフェは心の内で溜息をつく。ベンチに座り、あまりうまくはない缶コーヒーを飲んでいた。自分でコーヒーを作れたら、という思考を振り払い立ち上がる。空き缶を金網ゴミ箱に放り込むと、底に当たってカラと音を立てた。
 歩いていて話しかけてきたのはジャングルポケットである。
「なあカフェ!」
「ああ、あなたですか」
「これ読んだかー?昨日発売の本!」
ジャングルポケットは一冊の本を見せる。表紙は白い背景にタイトルがあるだけの簡素なもので、『おおレース』と書いてある。
「読みました…いい本でした」
「だよな!特にあそこが良かったな、『勝利は4素晴らしい』!」
「ですね…」





4: 名無しさん(仮) 2023/09/04(月)19:59:28

カフェは心にもない同意を口にする。ほとんど同じ本が既に何回も発売されていて、もう飽きていたのだ。一方のポケットも何度も同じ内容の本を読んでいるはずだが、新発売といって学園が売るたびに買ってはこれまで読んだことのない素晴らしい本として感動する。旧版はいつの間にか部屋からなくなっているので、ポケットの思考さえどうにかなれば、矛盾に気づくことはないのだ。カフェははしゃぐポケットの話を聞き流していた。話題はあるとき変わる。
「そういえば、理事長の秘書が変わるらしいな」
「そうですか…誰に?」
「ええと…ナントカって名前の…」
「それじゃあわかりません…」
「そうだな…それにしても、理事長って凄いよな!トレセンができて以来ずっと理事長やってるなんて」




5: 名無しさん(仮) 2023/09/04(月)19:59:48

これにもカフェは表面ばかりの賛同を示す。かつては秋川という少女が理事長で、今の理事長である『お兄さま』なる男とは別人だったと覚えている。しかしそれを他人に話すことはない。その方が賢いからだ。
その後カフェはトレーニングを終えて、ポスターがたくさん貼られている寮の一部屋に戻る。そこは自分の部屋であるが、自分の空間ではない。ルームメイトがいるからではない。24時間電源が入っているテレビ電話があり、見られていない時などないからだ。
『全校生徒学習せよ』
テレビ電話に映るトレーナーが号令を出す。カフェは既に指定の机を置いて、ベッドを椅子にして待っていた。学園から配布されたつまらない教科書を広げ、模範的生徒であると主張するかのように、大きな声で朗読する。




6: 名無しさん(仮) 2023/09/04(月)20:00:02

カフェは毎日繰り返されるこの作業を難なくこなしながら別のことを考えられるようになっていた。傷だらけの机も、折れているが仕方なく使っている鉛筆も気にせず、友人との古い日々を思い浮かべる。
食堂でカフェはアグネスタキオンと向かい合って座っている。ライスシャワーのトレーナーによる改革が始まってしばらくたったころだと思う。大スター二人に憧れの目を向ける他の生徒に目もくれず、うんざりといった顔で適当に聞き流すカフェを相手に、食事に手をつけないままのドクター・タキオンの講義が続く。




7: 名無しさん(仮) 2023/09/04(月)20:00:25

「…つまりだよ、彼らの目的は、究極的には、少なくとも建前の上では、ウマ娘の能力向上であり、またそのためにトレーニングの効率化・ケガの防止を行動方針と定め、そしてその手段として管理の徹底…私に言わせれば支配…それからウマレーターによる精神干渉を行っている。これは確かに大半のウマ娘に良い影響を与えているといっていい、私の目から見ても、君のからでもそうだろう。私の疑問は、効率化のためとして、指導委員会への極めて強い信頼…崇拝を求めているところについてだ。最高指導者、そしてその使者たるトレーナーの言葉には、一切の矛盾はなく、今後も生まれないと思い込ませている。この効果は学園内の多くで、また学園外でも少し現れている。情報がどれだけ意味あるものか、今となってはすっかり怪しい。ここまでする必要はないだろうねえ。最高指導者も、またその担当ウマ娘ライスシャワーも、ここ最近はポスターと本にだけ姿を見せている。トレセン学園は見かけこそ前と同じだけど、実態がどうかは全くわからなくなっているよ。いや、委員会の在り方さえ!」




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