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【ウマ娘怪文書】ここは巷で話題のラーメン屋。補充を怠らずギチギチに詰まった割り箸、満タンのお冷のボトル。隣に座るトップロード。店内に充満する出汁の香りはくどくなく、嗅いでいて心地いい。


1: 名無しさん(仮) 2023/10/04(水)23:05:27

「らっしゃーい」
店主の威勢のいい声に招かれて着席する。ここは巷で話題のラーメン屋。たまの休暇を利用して、誰にも煩わされず美味いものを食べに来たってわけ。
初めて来る店だから不安もあるが…店内を見渡す。清潔さを保ったカウンターテーブルや床。補充を怠らずギチギチに詰まった割り箸、満タンのお冷のボトル。隣に座るトップロード。店内に充満する出汁の香りはくどくなく、嗅いでいて心地いい。うむ、どうやら当たりの店のようだ。これはラーメンにも期待出来そう。
安心感を覚え、椅子に深く座り直す。ふと、隣にいるトップロードと目が合った。
「楽しみですね、トレーナーさん!」
愛らしい笑顔で微笑む彼女に、俺はうむ、と頷いて一言。
「何でいるの?」






2: 名無しさん(仮) 2023/10/04(水)23:06:05

ここ最近、私生活へのトップロードの侵略ぶりがひどい。いや、本当に。一緒にいないのは自宅にいる時くらいじゃないかっていうくらい一緒にいる。今日は家でのんびり過ごすかーって日は家までやって来るし。
どうしてこうなったかというとあれは2人で温泉旅行へ行った時の話。

“トレーナーさんもこっそり楽しんだりしないでくださいね。他のウマ娘とレースしたりとか"

俺はてっきり、後半の文章に重きを置いて、私に黙って他の子と契約するなとかそういうニュアンスかと思っていた。だが、トップロードにとっては違ったらしく、彼女にとって重要だったのは前半の文章。こっそり楽しむな、つまりレースだけでなく何かお楽しみをする時は常に一緒、二人一組一蓮托生比翼連理でいろという腹づもりだったらしい。そんなわけで、休日どこかへ遊びに行くといつの間にか彼女が現れ、あれよあれよという間にデートの流れが完成するというわけである。
しかし、トップロードとのお出かけは嫌いではない。むしろ好きだ。




3: 名無しさん(仮) 2023/10/04(水)23:06:54

チュルチュルとラーメンを美味しそうに啜る彼女は愛らしく、思わずじっと眺めてしまう。何事にも全力な彼女は見るもの食べるもの体験するもの、全てに良いリアクションを取ってくれる。一緒に居て飽きない。
だが大人には何者にも邪魔されず一人で心身を落ち着ける休息日が必要なのだ。無尽の体力をしている学生とは違うのだ。そのことをトップロードにも分かってほしい。
一度そのことをトップロードに伝えたことがある。
「え…もしかして私迷惑でした…?ごめんなさいトレーナーさんの気も知らず…あはは、悪い子ですね、私…もう二度とお休みの邪魔はしませんからっ…!」
何もそこまで言ってないと彼女を引き留めようとしたが、トップロードは目に涙を浮かべ、あっという間に走り去った。早いところ誤解を解かなければ…さもなくばまずいことになる気がする。危機感を覚え、走り去った彼女を捕まえようとしたが時既に遅し。目を釣り上げて耳を絞ったアドマイヤベガに先に俺が捕まった。
「トップロードさん泣いていたのだけれど?」
正座させられた砂利道の痛みを未だに俺は忘れていない。





4: 名無しさん(仮) 2023/10/04(水)23:07:51

お説教後、どうにか誤解を解いて落ち込んだトップロードの気持ちを回復させるのに苦心した。あんな思いはもう二度としたくない。お互いに。
そんなわけで彼女を傷付けず、尚且つ一人で休日を過ごせる方法を絶賛模索中なわけである。
二人分の料金を払い、ラーメン屋を出る。
「すごく…すごく美味しかったです!また来ましょうね!」
にぱっと笑う彼女を思わず撫でる。可愛い。が、今は一人で休みたいのだ。
しかし、俺も迂闊だった。あの温泉旅行の時、二つ返事でこっそり楽しまないことを了承しなければ……む、温泉?その手があったか!

というわけで次の休み。俺は温泉旅館に来ていた。一応トップロードに内緒で。
「わぁ、温泉とっても久々ですね!お料理も美味しいらしいので楽しみです!」
うん、案の定いた。毎度思うのだが何で黙ってるのに俺の行き先を把握しているのだろう?情報源は何処だ。
しかしこれは想定内。トップロードが着いてくることも織り込み済みで、一人になる算段である。




5: 名無しさん(仮) 2023/10/04(水)23:08:30

そう、ここは温泉。男女が分かれる施設である。如何に彼女であろうと、流石に施設内に敷かれたルールは守らざるを得ない。一緒なのは脱衣所入口まで。あとは一人でのんびり湯に浸かるというわけだ。ははは、この勝負俺の勝ちだ、トップロードよ。
「大人一人、ウマ娘一人で」
二人分の料金を払い、脱衣所に向かおうとする。ところが。
「あら、カップルさんですか?仲睦まじくて素敵ですねぇ」
番頭さんが余計なこと言い出した。
「えへへ、照れちゃいますね」
顔を赤らめるトップロードを撫でつつ、軽く会釈して受付を離れようとする。何やら嫌な予感がする。
「カップルさんにオススメしてるんですけど、ここ家族風呂もありますよ」
何を勧めてるんだこの番頭。そもそもカップルではない。そんなのまかり通るわけが
「じゃあそれでお願いします」
は?待て待て何を言っているトップロード。そこは君も恥じらって断りを入れる所だろう?




6: 名無しさん(仮) 2023/10/04(水)23:08:54

そんな俺の気持ちを他所に、家族風呂に通されてしまった。幸い、水着はレンタル出来たが。はぁ、一人の休日はまたご破算か…
「じゃあ、トップロード。着替えてくるからまたここで落ち合おうか」
「はい!でもトレーナーさんとなら本当に本当の、裸の付き合いをしてもいいと思ってます!」
「言い方」
スタイルの良い彼女と本当の裸の付き合いか…まあそそられるものは確かにある。が、仮にそういうことが出来る関係になったとしたら、今以上に一人でいる時間を設けるのは難しくなるだろう。それも困る。彼女といることを完全に日常の一部にしてしまえば、それはそれで楽になるのかもしれないけど。
もしもの話をしていても仕方ない。俺と彼女はまだそういう関係じゃなくて、俺の一人きりの休日は今日も潰れてしまったのだから。今重要なのは二人きりになった休日をどう楽しむかということ。水着に着替え、先程の待ち合わせ場所に赴く。トップロードは既に着替え終え、楽しみそうに尻尾をフリフリ、俺を待っているようだった。やれやれ、やっぱり可愛い。
「お待たせ、トップロード。じゃあのんびりしようか」




7: 名無しさん(主) 2023/10/04(水)23:09:17

いつでも一緒の二人を書きたかった




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