2: 2023/09/16(土) 10:09:35.60 ID:4Em+mdgvd
激流が街を襲った前日の10日は小雨だった。
デルナで生まれ育った医学生アムナ・アル・アミーン・アブサイスさん(23)は、最初は特に怖いと思っていなかった。自宅は海岸沿いの7階建てビル「ビーチ・タワーズ」の1階。両親を病気で亡くし、3人の弟妹は彼女が面倒をみている。
雨粒の音が外で響く中、弟妹3人と一緒にゲームをするなどしていた。みんなで弟に救命胴衣を着せ、笑っていた。
しかし夜が更けるにつれ、雨は激しさを増した。サイレンの音が聞こえた。みんな眠れなかった。
「本格的に始まったのは午前2時30分ごろだった」。アムナさんは近くの街トブルクから、電話取材で話した。「外の音はさらに大きくなっていった。弟は、水が通りを覆っているのが見えると言った」。
水かさが増すにつれて、隣人たちは上の階に避難し始めた。アムナさんは猫とパスポート4冊をつかむと、全員で3階の部屋へと移動した。しかし水は3階にも上がってきた。「みんな叫び始めた。私たちは5階に移動し、最後は7階まで上がった」。
パニック状態だった。「猫を失った。弟も一瞬見失ったが、見つけた。7階でもだめで、屋上に行かなくてはならないと気付いた」。
屋上に上がると、向かいの3階建てビルの屋上に人々がいるのが見えた。友人家族もいた。みんな携帯電話をたいまつのように振っていた。直後、そのビルが崩壊。暗がりの中、水に飲み込まれた。
アムナさんは、「地震のような感じだった」、「友人家族はまだ見つかっていない。家族の息子が探している。彼には、目の前でビルが崩れたのを見たと伝えた」と話した。
アムナさんの親族も何人か行方不明になっている。おじとその妻、3人の息子たちが住んでいた近くのビルは倒壊した。「最後に電話したのは午後9時ごろだった。おじは私たちの無事を確認するため電話をくれた」、「それ以来、連絡はない」。
アムナさんは洪水が引いた後、弟妹3人全員とビルを脱出できた。家の前の通りは完全になくなっていた。「地球が割れたみたいだった」、「通りがあった場所には空洞だけが残っていた」。
知り合いの女性も目の前で水に飲み込まれた。女性の夫と息子は、彼女を救うことができなかった。親友のアイシャさんも助からなかったと聞いた。
この大惨事の死者数は大幅に増えそうだ。前出のフサムさんは、友人が少なくとも30人、知人は200人以上死んだとし、こう言った。「私が生き残ったのは奇跡だ」。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66816541