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合宿所の通電設備が故障した未だ残暑厳しいこの時期冷房がダウンする事は非常に危険である


1: 名無しさん(仮) 2023/08/21(月)14:26:08

合宿所の通電設備が故障した
未だ残暑厳しいこの時期冷房がダウンする事は非常に危険である
応急対応に職員達は追われたが復旧までには数時間を要する事が分かり
混乱の中電力があれば良いのか、と進み出たのはルドルフ会長であった
汝、皇帝の神威を見よ
固有結界と共に発動した雷撃により通電設備は沈黙
結果電力の復旧は延長戦に突入する事と相成った
汝、皇帝の謝罪を見よ
ともあれ合宿の日数は未だ残っている
一時帰宅を選ぶ者、コンビニへと退避しすし詰めになる者
この機に涼む為に泳ごうと奮起するヒシミラクルのトレーナーと
嫌です、と淡々と拒否するミラクル
結果いつもの様に彼女を自らに縛り付け海へと入水していくトレーナー
四肢を拘束された彼女は当然泳げる訳でもなく
ヒシトレの体脂肪率は15%を切り全身の筋肉が悪戯にミラクルを興奮させるだけだった




2: 名無しさん(仮) 2023/08/21(月)14:26:21

「ねえちょっと、暑いんだけど」
「スカーレット。それはさっきも言ってたろ」
介護疲れの様に声を絞り出すスカーレットのトレーナー
どうせ何処にいても暑いのであれば意中の男と一緒にいたい
そんな愛らしい乙女心と裏腹にスカーレットはだらしなく畳の上で伸びていた
窓は全開だが風は無く頼みの風鈴すらも沈黙している
微かに聞こえてくるのは潮騒とミンミンミンナンダヨーフンギャロシャイシャイコパァコパァ
蝉の声とそれを追うテイオー、森林内でパワースポットを探すマチカネフクキタル
野生のスマートオオクワガタに遭遇したコパノリッキーの悲鳴が重なった声であろう
そして身近な所からは紙をひっかくシャープペンシルのカリカリという音
PCやタブレットの使用を控えなければならぬ今
トレーナーの多くはノートを使用しアナログで業務を執り行っていた
スカーレットのタイムの記載の上にぽたり、と額から落ちた汗が水滴となり落ちる
思わず嘆息し汗を拭った彼の身体に向かい涼風が微かに吹き付けた
「…自分煽いでおけよ、スカーレット」




3: 名無しさん(仮) 2023/08/21(月)14:26:32

「頑張ってるのはアンタでしょ」
寝転がりながらゆらりゆらりと団扇を煽ぐ担当ウマ娘へ優しく声をかけたが
生意気にも彼女は暫くの間手助けをしてくれるつもりのようだった
「…麦茶、飲むか?」
「んーん、どうせ温いんでしょ」
停止した冷蔵庫から引っ張り出したボトルは外気との温度差で水滴まみれ
その残りも少ない…トレーナーはそれをコップに注ぎ飲み干すと
仕事を中断しそしてスカーレットの手から団扇を奪うと彼女を煽ぎだした
「ありがと」
「ん」
時刻は14時を少し過ぎた頃。窓の外には陽炎が立ち昇って見える
これが過ぎれば夕刻に近づくにつれもう少しはマシになるだろうが
最近の暑さを考えればあまり楽観は出来ない
「ね、トレーナー…」
「んー…?」





4: 名無しさん(仮) 2023/08/21(月)14:26:42

「この際くっついても良い?」
「なにゆえに」
日が沈む前にとうとう担当ウマ娘の頭が茹ってしまったか
そんな考えがつい頭を過ったトレーナーだったが彼女の眼は理性を灯していた
「良いでしょ。こんなのんびりするのも何か久しぶりな気がするし
だったらもうちょっとひっついたってバチは当たらないんじゃない?」
「どういう理屈だよ。やめとけやめとけ、俺は匂うかもしれんぞ」
流石にこの熱気では互いの汗を抑える事も出来ない
「良いのよ、別に臭かろうがなんだろうが。ほら遺伝子の相性が云々って話あるでしょ
アタシそういうのも気にしないし。臭いなら臭いで我慢する努力はするし
好きな相手なら受け止めるだけだから、アンタも気にしない事」
まくしたてるとむっくりと起き上がりダイワスカーレットがトレーナーに肩を寄せる
結局トレーナーもそれを自身の体重で受け止めた
互いの体温と、そして湿った衣服の感触にふわりと互いの嗅覚がくすぐられる
男性物のウマ娘に配慮したシトラス系の香水に混じる確かな汗の香り




5: 名無しさん(仮) 2023/08/21(月)14:26:57

そして主張少な目のコンディショナーの匂い
恐らくはトレーナーの部屋を訪ねる前にシャワーを浴びていたのだろう
「うん。するわねちょっとだけ、アンタの匂い」
「だろうな…臭いなら臭いって正直に言ってくれ、無理しなくていいから離れるんだ」
「気にしないっていったでしょ」
「俺が気にするんだ。俺もお前の一番でいたいんだから、そこに妥協はしたくない」
「良い心がけね。じゃあ一つだけ」
「うん」
「暑い」
「だろうなぁ!俺もあちいよ!お前がくっつくのはいいけど余計にな!」
「えっ今くっつくのは良いって言った?」
「言ったよ!あーあーやめろ抱き着くな暑いんだよやめろよ!」
「暴れると余計に暑くなるわよ」
「誰のせいだ誰の!」
程無く取っ組み合いが始まりトレーナー室の窓からダイワスカーレットが射出される




7: 名無しさん(仮) 2023/08/21(月)14:28:11

そんな夏が過ぎて季節は廻りやがては夏へと戻ってくる
「ただいまー」
「「あ、パパおかえりー!」」
自宅へと戻ったトレーナーの元へ愛らしい娘達が駆け寄っていく
そして抱き着いてニヤニヤとし始めた
「くさーい」
「パパあせくさーい」
「ぐぐっ…」
眉間に皺を寄せるトレーナーの所へ
遅れて大きなお腹をしたダイワスカーレットが姿を見せた
「おかえりなさい、あなた」
「なあスカーレット…やっぱ直で言われるのつれえわ」
「言えたじゃないの」

何年かごしの本音にスカーレットは柔らかい笑みを見せるのだった。




8: 名無しさん(仮) 2023/08/21(月)14:36:47

すごくイチャイチャしててよかった




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