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【ウマ娘怪文書】最近、僕の私物にゴールドシップの名前が書いてある。油性ペンで。この頃のマイブームらしく、気がつけば僕の私物に名前が書かれている。


1: 名無しさん(仮) 2023/05/01(月)22:19:56

最近、僕の私物にゴールドシップの名前が書いてある。油性ペンで。この頃のマイブームらしく、気がつけば僕の私物に名前が書かれている。
乾燥でひび割れ気味な唇のために買ったリップクリームに『ゴルシ♡』と書かれているのを見つけた時は、珍しく注意したものだった。
「困るって!これじゃ僕が使ったら変質者みたいじゃん!」
「おいおい…例え愛しのトレぴっぴが変態でもアタシは許してやるけどよぉ…せめて塗るくらいにしとけよ…食べたらやべーぞそれ」
「塗るだけだし食べないし元から僕のだって!」
オマエホントおもしれーよな、反応が。なんてからかうゴールドシップに注意は無駄だった。僕も長い付き合いであるし、別にそこまで気にしていないが、リップクリームは新しいものを買うことにした。




2: 名無しさん(仮) 2023/05/01(月)22:20:09

ついでに彼女の分のリップクリームでも買ってあげよう。それに自分の名前を書いて満足してもらおう。そう考えた時、ふと気になった。
そういえば、彼女は口紅をしていない。あのくらいの年頃の子はメイクも大人ほど気合が入っているわけじゃないが、それにしてもライブや宣材やらでメイクをすることはある。
それに彼女たちウマ娘が勝負服で着飾ることは、レースへの願掛けとしての意味もある。むしろ口紅はアイシャドウなんかと違って気軽に学生でも試せるメイクであるはず。
作戦変更。リップクリームではなく口紅を買ってあげよう。ちょうど誕生日プレゼントは何がいいか決めかねていたとこでもある。
選び方などはわからないので、少しお高めのデパ地下に行き、店員さんに話を聞きながら選んで包装してもらった。僕のリップクリーム50倍は高かったが、日頃の感謝の気持ちと思うと安いくらいだ。




3: 名無しさん(仮) 2023/05/01(月)22:20:21

「オマエさぁ、それどういう意味かわかってんのか?ゴルシちゃん本気にしちゃうぞ?」
ゴールドシップの勝負服をイメージした真紅のルージュ。それをラッピングの中から取り出した彼女は開口一番そう反応した。
これでも長い付き合い、彼女が表向きの態度とは別に何をどう感じているかはわかっているつもりだった。喜んでいると思うが…それと別に複雑な気持ちが絡み合っている。そんな表情をしている。
「まあいいや、先に手を出したのはオメーだかんな!」
ともあれ、彼女はルージュを受け取ってくれた。それからというもの、僕の私物に悪戯をすることは減ったので、これですべてよしと思っていた。





4: 名無しさん(仮) 2023/05/01(月)22:20:33

小雨振るレース場。並み居る強豪たちに並び、僕の愛バ、ゴールドシップが腕を組んでゲートで静かに目を瞑っていた。
どうしたのだろう。調子が悪いのか?いつもみたいにゲートにガンを飛ばしていない。日頃彼女を鍛え共に過ごし信頼しているとしても、この瞬間は遠くから見守ることしか出来ず不安になる。
「あ…」
遠目からもわかるそれに気がついた時、思わず口から言葉が漏れ出た。見れば、彼女の口元は美しい紅を着飾っている。つけてくれていたのか、ルージュ。
彼女のこれは緊張ではなく、気合十分の証なのだ。杞憂だったな、と一息、ゲートが開いた。地響きを鳴らしウマ娘たちが一斉に走り出す。雨で悪くなったバ場の土が跳ね上がる。
行け、ゴールドシップ。君は強い。




5: 名無しさん(仮) 2023/05/01(月)22:20:50

重賞のライブの後は決まって報道陣にマイクを向けられインタビューだ。いつも彼女がインタビューを受ける際、とんでもないことを口走った時はすぐさま訂正できるよう、僕も一緒に受けている。
そのためライブ後の彼女に合流できるよう舞台裏で待機していると、ほどなくしてセンターで歌いきった彼女がやってきた。
「おつかれ、一着おめでとう……」
言葉が詰まる。ゴールドシップの様子がおかしかったからだ。レースもライブも終わったというのに鬼気迫る目で、僕を睨んでいる。全身からは湯気が立ち、鼻息も荒い。
無言のままずかずかとこちらに歩いてくるゴールドシップが僕の両肩を掴むと、そのまま舞台裏の物陰に押し込んでいく。




6: 名無しさん(仮) 2023/05/01(月)22:21:02

遠くの方でジングルの音が聞こえる。ハケるウマ娘や片付けるスタッフたちの慌ただしい足音も。
ゴールドシップは稍重バ場で体力を消費し興奮しているのだろうか。それともライブの熱にやられたのか。とにかく鼻息荒く、僕の肩を掴んで離さない。
不意に、彼女の唇が僕の唇に触れた。いや、触れるなんて生易しいものじゃない。捕食のようなキス。洋画なんかで見る、相手を吸い尽くすような激しいキス。
抵抗しようと試みるが、肩を掴むその手がそのまま背後に回り、腕ごと縛り上げるようなハグを受け、僕はただ蛇に丸呑みされるカエルのようにキスを受けることしか出来ない状態になっていた。
長い長い、窒息するようなキスは突然終わった。ゴールドシップの顔が離れたのだ。先程までの顔つきと打って変わって、頬を染め憂いを帯びた目をしていた。




7: 名無しさん(仮) 2023/05/01(月)22:21:16

「オメーなんでライブ見なかったんだよ」
「見てたよ…」
「最後席立ってたじゃねーか」
「この後インタビューあるから、早めに観客席出ないと間に合わないんだよ。お客さんが帰る流れに飲まれたら大変だから…」
事情はあるとは言え、彼女が不服な気持ちもわかる。それでも、こういう手筈は今まで何度かしてきたじゃないか。と言う不満も、ここは飲み込む。
それより、彼女がキスをしてきたことの方が一大事なのだが、何故かこの場では注意する言葉が出てこなかった。




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