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【ウマ娘怪文書】トレーナー寮の一室は今、異様な緊迫感が漏れ出していた。ダイワスカーレット、誕生日を迎える。一対一だ。そう、ダイワスカーレット当人が求めてやまないシチュエーションだ。


1: 名無しさん(仮) 2023/05/13(土)20:54:04

今行くか、いやまだか、いや今か。
トレーナー寮の一室は今、異様な緊迫感が漏れ出していた。
ダイワスカーレット、誕生日を迎える。年に一度の祝福を、トレーナーが一対一で行いたいと言うものだから、いそいそと付いていったのだ。
一対一だ。そう、ダイワスカーレット当人が求めてやまないシチュエーションだ。
最初の三年間を共に駆け、支え合った最良最愛のパートナーとの夜。大人の階段を踏み出したかった。
本当に、嘘じゃない。心からそう思っていた。
「…………」
いざ現実になるまでは。
緋色の女王、誰よりも前を走り続ける一番主義の少女が、完全に硬直していた。
正座したきり、腰を持ち上げられないし、いつもの遠回しに好意を伝える言葉も出てこない。
何もしていない。ただじっと時が過ぎていくばかりで、トレーナーの顔さえ見られない。
一番のウマ娘ともあろう者が、首まで真っ赤になって俯いたきりという、常の本人が客観視したら鼻で笑うような様だった。








2: 名無しさん(仮) 2023/05/13(土)20:54:21

「…………」
緊張を解してあげるべきトレーナーも、動ける状態ではなかった。
まだ在学中の学生である事は分かっていても、どう取り繕ったって誤魔化せない担当ウマ娘への好意。
それが過ちだとしても、男として踏み出さずにいられなかった、ものの。
トレセン学園の管理下とはいえ、誰の目も無い二人きり。そう、やろうと思えばどこまでもやれてしまう。
どこまでもって、それは駄目だろう。いやしかし。
欲望と好意を良識が食い止める今、自ら踏み出せば危うい道へ踏み出しかねない。
己が担当と相思相愛である事は、告白こそしていないが明らか。だが彼女はどこまでを想定している?
想定以上を要求した時、好意は好意のままでいてくれるのか。
危。
もてなす側でありながら、あり得ざる停止。
そんなこんなで、仲良くテーブルを眺めたまま一時間が経過していた。




3: 名無しさん(仮) 2023/05/13(土)20:54:43

「……あ、あああのっ!」
「ななな何かな!?」
「えと! その!」
「おちつつつこ!?」
気温も高くなりつつある5月だが、湿度は低めで不快な暑さという感じはしない。外は。
二人の座す一室だけは、両者の垂れ流す汗でもうもうとし、張り詰めた空気のせいで息もしにくい。
例えば大和撫子系武道ウマ娘のグラスワンダーがいたならば、一帯に近付いただけで無意識に構えを取ってしまうような圧が滲み出ている。
やっている事は無為な時間の経過にも関わらず……
ダイワスカーレットがはぁ、と息をつけばトレーナーは動揺の余り僅かに跳ねて。
トレーナーが汗をハンカチで拭えば、ダイワスカーレットは生唾を飲んで鼻血まで垂らす。
いいから話し合えと言ってくれる第三者はいない。
果たして寝るまでに、いやさ朝までに、二人の間でスタートが切れるのかどうか。
ハレの日が虚無に消える可能性は、低くはない。





4: 名無しさん(仮) 2023/05/13(土)20:55:05

頑張りたいダイワスカーレット。
今日は勝負下着を付けて来たし、トレーナーの前で特別なファッションショーをするための着替えだって持ってきている。
泊まりだ。口外出来ない事をしたい、いっぱいしたい。
頑張りたいトレーナー。
ケーキを冷蔵庫に入れてあるし、この後出前が来る予定だし、ダイワスカーレットが選んでくれた服を着ているし、覗かれる心配が無い事は確認済み。
今夜だ。この機を逃したくない。特別な関係になりたい。
ようよう決意漲り、勢い良く視線を正面に向ける両者。熱視線が絡み合い、意志と意志が激しく激突する。
そして……
「トレーナー!!!!!」「スカーレット!!!!!」




5: 名無しさん(仮) 2023/05/13(土)20:55:23

必要な分は見せた
これ以上は見せぬ




7: 名無しさん(仮) 2023/05/13(土)20:57:50

>>5
な…ッ




6: 名無しさん(仮) 2023/05/13(土)20:57:38

そうか
じゃあいいよ




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