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【ウマ娘怪文書】「………うそぉ」がっくりと、その場に膝から崩れ落ちる「せっかくかかったと思った、のに………」まだ肌寒い港の堤防で私はただただ黄昏ていた 右手に持った釣り竿の先には、何もついていない


1: 名無しさん(仮) 2023/04/10(月)22:02:35

「………うそぉ」

がっくりと、その場に膝から崩れ落ちる
正直、セイちゃん泣きそうです。ていうかもう涙出てきちゃってます
あんまりにもあんまりなその結果に、久々に一発で心が折られた感じ。周りに人が居なくてよかった。これは、正直辛いです

「せっかくかかったと思った、のに………」

春の陽気で暖かくなってきた、けどまだ肌寒い港の堤防で私はただただ黄昏ていた
右手に持った釣り竿の先には、何もついていない。いや、正確にはもうついていない
ついさっきまで、そこには希望が付いていた。買ったばかりのルアーと言う名の希望が。それが、今はもうない
どんな魚が釣れるかな。この子での最初の一匹はどんな子になるだろうか








2: 名無しさん(仮) 2023/04/10(月)22:02:45

「一発で、ロスト………」

涙がつーっと頬を伝う。ああ、本当に誰もいない日でよかった。我慢できなかったです、はい
いきなりガツンときた衝撃、その大物の気配に『来た!!』と合わせた瞬間……バチンッ!という、背筋が冷え込む衝撃が走って
あとには何も残らなかった。ただ、ルアーを失った釣り糸が風に揺れるだけ
そのショックと絶望感に、セイちゃん今打ちひしがれちゃってます

「ルアー……高かったのに………」

学生のお小遣いに、ルアーロストはかなり痛い。それも買ったばかりのものとなればなおさら
あまりの衝撃に頭が真っ白になって、しばらくその場を動くことができなかった。あはははは




3: 名無しさん(仮) 2023/04/10(月)22:02:56



「ぐぐぅ〜。お〜の〜れ〜」

あの後、ひとしきりシクシク泣いた後に湧き上がってきたのは………闘志だった
久々のルアーフィッシングでこの始末。このままでは絶対に帰れない
新たに仕掛けを作りなおしながら決意を強く固める。絶対に釣り上げてみせる、と。セイちゃん久々の本気バトルモードです。持てるすべてを駆使して、全力で挑みます。むんむん
そのためにも、切られた糸を………と、そこで

「………にしても、これ」

ショックリーダー……要するに釣り糸なんだけど、その先端を見てふと思い至ったこと
岩場なんかで擦れたりするのを想定してそういうのに強い糸を使ってるんだけど、それが……綺麗に切られてる。それはもう、スパッと綺麗に
この切り口、何処か覚えがある。まるで刃物で切断されたような切り口
まさか。そう思って荷物を漁る。こういう時のために、一応持ってきてたはずだけど………





4: 名無しさん(仮) 2023/04/10(月)22:03:10

「あったあった。念のために………」

取り出したのはワイヤーリーダーという道具。ルアーや針につなぐ、細く強い釣り用のワイヤー
魚の中には、特に歯が鋭く危険なものが多数いる。そういう魚を狙う時に使う道具なのだけど………

「あのあたり方は、タチウオじゃなかった。上の方だしヒラメでもない。だとしたら………」

そう考えれば、確かにあった心当たり
実際に釣ったことも何度かある。もしそうならさっきの当たり方も納得できるし、間違いなくこれが必要になるはずだ
ワイヤーリーダーをしっかり装備して、新しいルアーを取り付ける。さっきと同じカラーリングの、あまり深く沈みこなまないタイプのもの
表層から狙って、それでだめなら少し沈めていく。それでだめなら……作戦を変える。今日ばっかりは、諦めるということはしない。徹底的に戦ってみせる
何度か引っ張って強度を確認し、戦闘準備完了。これでいつでも戦える




5: 名無しさん(仮) 2023/04/10(月)22:03:21

「さて……多分まだ遠くにはいってない………それか、他の個体がいる可能性もある………」

もし想像通りの相手なら、群れで回遊してる可能性もある。だとすればチャンスはまだまだあるはずだ
せいやっと、まずはさっきと同じあたりに投げてみる
あまり沈ませずに表層を少し早めに巻いていく。活性が高ければこれで喰らいついてくる可能性も十分にある。さっきのような衝撃に備えつつ、慎重に、かつ誘いを入れて

「……少し時期が早いと思ったけど」

釣りというのは行き当たりばったりばかりではなにも釣れない。その時期に何が釣れるのか、今どこで何が揚がっているのか、それらの情報をもとに自分の釣りを組み立てていくもの
だけど、そのデータが全て正確なわけでもない。その時々で、まさかと思うような時季外れの魚が釣れることだって決して珍しくない
今狙っている魚も、正直もう少しあとになると思ってたけど……当てが外れた。よくも、悪くも
もしも釣り上げることができれば大戦果だ。是非とも、慎重に狙っていきたい




6: 名無しさん(仮) 2023/04/10(月)22:03:35

「表層は全滅……少し、沈めてみようかな」

表層近くはあちこち探ったものの、反応は無い。逃げたか、それとも
これで反応が無ければ、ルアーのカラーリングを変えよう。そう決めて今度は少しルアーを沈めて泳がせてくる
竿を時折操作しながらルアーを動かして、逃げ惑う小魚の動きを演出。基本だけど、これが難しい
そして、時々動きを止める。そうして喰らいついてくる間を作ってあげれば………

「………ッ!!」

ゴツッと、横合いから殴りつけるような感覚
まだだ。まだ、しっかり咥えてない。ここで急な反応をすれば確実にすっぽ抜ける
巻くのは止めず、より弱ったように動きを小さくして。そのまま巻いてくると………

「ッ、きたぁ!!!」




7: 名無しさん(仮) 2023/04/10(月)22:03:45

さっきと同じ、ガツンという強い衝撃。それに合わせて竿を思いっきり立てると、確実に魚の口に針がかかった感触が手のうちに伝わってくる
今度はワイヤー、そう簡単には切られない。このまま真っ向勝負で、足元まで寄せてみせる

「こ、のぉ!!う、わわ!!!結構大きい!?」

この強い横走り、想定していたよりも大きいかもしれない
竿やリールは大丈夫。もともと大物が来ても対応できるようにしてきた。ワイヤーを使っているから切られる心配もない、はず
だったらあとは、不意の暴れで針を外されないようにするだけだ。しっかり体力を奪いながらじっくり持ってくればいい

「あわわわわ!!ま、まだ走る!?」




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