【ウマ娘怪文書】今日はトレーナーの家にお邪魔してるの!男の一人暮らしだし、お掃除とかお料理手伝ったりしてあげちゃおうかなってエプロンも持参して、行ったんだけど……。
2: 名無しさん(仮) 2023/02/06(月)20:13:31
「そういえばお昼まだだったよね」
来た!来たの!ちょっと出鼻をくじかれちゃったけどここでお姉ちゃんの腕を見せてあげるの!リュックからエプロンを取り出そうとしていると、トレーナーは腕まくりをしてキッチンに立った。
「簡単なものならすぐ出来るよ」
そう言って彼は鍋でお湯を沸かして、その間にテキパキとフライパンでウインナーとピーマンと玉ねぎを炒め始める。パスタを茹でている間にフライパンにトマト缶とコンソメを混ぜて、茹で上がった麺をフライパンに入れて一緒に炒める。
「どうぞ」
白い平皿にキレイに盛られたナポリタン。二人でテーブルを挟んでのお昼。とっても美味しいナポリタン。なのに、すごく寂しい気分。
3: 名無しさん(仮) 2023/02/06(月)20:13:50
はー……。キミってばあたしが居なくても完璧みたい。きっと誰と専属契約しても上手くやっていけたんだろうな。そんなあたしのいじけてる様子を見て、キミは心配そうな顔をしてくれる。
「美味しくなかった?」
「違うの、美味しいの。ただ、キミってばあたしが支えなくてもいいんだなって」
あたしの八つ当たりみたいな愚痴に、それでもトレーナーは真剣に考える顔をする。そして小さくわかったと口にしながら膝を打った。
「確かに、僕はアイネスを支えたいし、アイネスは僕を支えるって約束したもんね。どうしたらいい?」
思いもしない質問に、あたしも言葉が詰まる。確かに露骨に不満を表してたけど、どうしたらいいかなんて考えてなかった。だから……。
4: 名無しさん(仮) 2023/02/06(月)20:14:00
「えーっと…キミはトレーナーとしてすごく頑張ってるの。教えるのは超一流だと思うの。あたしのこともよく見てくれてるの」
トレーナーは恥ずかしそうに肯定をしないまま黙って聞いてくれている。
「だから、そこはそのままでいいの。それ以外の色んな面倒事を、あたしが支えられたらなって、今思ったかも。ワガママだよね?」
「いや、そんなことない!ナイスな提案だよ。確かにその分僕もアイネスのトレーナーとして注力出来るし、キミもそれで楽しめるなら良いこと尽くしじゃないかな」
それで……とトレーナーは食べ終わった二人の皿を片付けながら言葉に詰まる。
「具体的にどうすればいい?」
「んーと、とりあえず、そういうとこ」
さっとお皿をトレーナーの手から奪うと、あたしはシンクに向かう。
「後片付けその他諸々全部お姉ちゃんにお任せ!トレーナーは食後はのんびりしておいてほしいの」
なるほど、と小さく頷くと、キミはソファに座った。なんだか今のこの光景、新婚さんみたいなの。自然と上機嫌になったのか、鼻歌を歌いながらあたしはお皿を洗い始めた。
5: オワリ 2023/02/06(月)20:14:26
アイネスが共同生活を提案してくれてからしばらく経った。今日はアイネスはオフの日だが僕は市役所に提出する封筒をポストに投函しなくてはならないのだが……。
「アイネスー。靴下がないー」
「はーい」
とパタパタとエプロンで手を拭きながらアイネスが戻ってきてくれた。そしてタンスから靴下を取り出すと、僕に差し出してくれる。
「ごめん、場所忘れちゃって」
「いいのいいの。仕舞ってるのもあたしだから任せて!」
差し出された靴下を履く。アイネスは履かせてあげようかと覗き込んでくれるが、流石にそこまで甘えるほどではない。
「お出かけ?お金持った?スマホは?」
「ポストに封筒出してくるだけだよ」
「ポストの場所わかる?」
「うっ……盲点だった」
「はー、キミってばホントかわいいの」
アイネスはエプロンを脱ぐと、僕の手を引いて玄関に向かう。
「じゃあ一緒に行ってあげるの」
僕はアイネスと手を繋いで外に出た。しかし不思議だ。アイネスとこの生活をする前は、僕は一人でどう暮らしていたんだろう。今はただアイネスに感謝するばかりだ。
6: 名無しさん(仮) 2023/02/06(月)20:16:03
そのうち一人でトイレできなくなる
7: 名無しさん(仮) 2023/02/06(月)20:17:58
怪談だろうか…