彡(゚)(゚)「中国のゴキブリ養殖場に見学に行く?」
1: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:31:01 ID:aL9
彡(゚)(゚)「中国のゴキブリ養殖場に見学に行く?」
( ・`ω・´)「そうだ」
彡(゚)(゚)「………」
─── 真弓バイオ研究所
彡(゚)(゚)「…ええと、もう一回確認しますけど、中国の…ゴキブリ養殖所?」
( ・`ω・´)「そうだ」
彡(゚)(゚)「なんでっかそれ」
( ・`ω・´)「ポジハメ研究員、説明を。」
(*^◯^*)「分かったんだ! このタブレットを見るんだ!」
彡(゚)(゚)「はあ…」
彡(゚)(゚)「これは……えらいデカい工場やな…」
(*^◯^*)「四川省西昌市にあるゴキブリの養殖場なんだ。」
彡(゚)(゚)「はあ…」
彡(●)(●)「日記がワイを覗いとる」
3: ◆jAjYS9VHd2 2018/12/12(水)18:31:44 ID:aL9
(*^◯^*)「AIが管理していて、養殖数はザッと60億匹なんだ」
彡;(゚)(゚)「60億!? 日本のアース製薬研究所でも60万匹やで!?」
(*^◯^*)「やっぱり中国はスケールがデカいんだ」
彡(゚)(゚)「でも、なんでそんなにゴキブリ養殖しとるんや」
(*^◯^*)「中国ではゴキブリが生薬になるんだ。成長したゴキブリをスリ潰して薬にするんだ」
彡;(゚)(゚)「うーん…」
(*^◯^*)「すごいのは、ゴキの脱走を防ぐために周りを水槽で囲って、中に魚を飼ってるんだ」
(*^◯^*)「逃げたゴキブリは魚に食べられて、成長した魚は食用として出荷…完璧なサイクルなんだ」
彡;(゚)(゚)「なんか…できればその魚食べたくないで……」
(*^◯^*)「で、社長としてはAIで生物飼育を管理しているってのがキョーミ深い…
もとい、人員削減できるんじゃないかと企んで…」
( ・`ω・´)「ゴホン」
(*^◯^*)「あ… とにかく、そのシステムを見学しに行くんだ」
4: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:32:03 ID:aL9
彡(゚)(゚)「はぁ… しかし、なんでワイが…」
( ・`ω・´)「生物研究部でヒマ…いや、見分を広めるチャンスを生かしてくれそうなのが君だけなんだよ!」
( ・`ω・´)「機械プログラム担当のポジハメ君も同行してもらう」
彡(゚)(゚)「はぁ…まあ、AIがメインですもんね」
( ・`ω・´)「それと、ポジハメくんは中国語が堪能でな。通訳としても同行してもらう」
彡;(゚)(゚)「え…お前中国語しゃべれるんか? なんでや?」
(*^◯^*)「横浜には中華街があるから」
彡;(゚)(゚)「あーなるほど(?)」
( ^`ω^´)「とにかく、明日からよろしく頼んだぞ! ワッハッハ」 ポンポン
彡(゚)(゚)「はぁ……」
彡(゚)(゚)
彡(゚)(゚)「明日?」
彡;(゚)(゚)「ゼーッ ゼーッ 準備ギリギリやったぞ!! 話が急すぎるやろ!」
(*^◯^*)「ウチの所長の無茶ぶりはいつも通りなんだ」
彡;(゚)(゚)「ホンマ謝ってほしいわ! もう!」
5: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:33:07 ID:aL9
彡(゚)(゚)「ま、とにかく飛行機乗りこめたから安心したわ」
(*^◯^*)「ええと、東京から中国・成都まで5時間ちょいだね」
彡(゚)(゚)「はえ^~意外と近いんやなぁ中国」
(*^◯^*)「寝ちゃってもいいけど…ぼくは夜眠れなくなるから、もらった新聞でも読んでようかな」 ペラ…
彡(゚)(゚)「なんかおもろいニュースあるか?」
(*^◯^*)「あ、ええと、"中国で遺伝子操作ベイビー誕生が発表された"だってさ」
彡(゚)(゚)「ああ…タイムリーやな… 中国は遺伝子研究盛んやし」
(*^◯^*)「そうなんだ?」
彡(゚)(゚)「ああ、その人間のベイビーがニュースになるってことは、他はやり尽くされとるってことや」
彡(゚)(゚)「微生物、虫、魚、犬、サル…人間以外の生き物で、そらもう中国では遺伝子研究されまくりや」
(*^◯^*)「…なんか中国ってだけで凄そう」
彡(゚)(゚)「凄いで。 研究費も日本と比べ物にならん。研究者のポテンシャルも高い。」
彡(゚)(゚)「そして…競争が激しい。 やから、暴走する研究者が出るのも自明…時間の問題やった」
彡(゚)(゚)「ワイら生物学畑の人間は、中国のそのニュースはあんまり驚かんわ…」
(*^◯^*)「はえ^~ 研究が盛んなのはいいことだけど、暴走とか怖いなぁ」
6: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:34:01 ID:aL9
彡(゚)(゚)「…基本的には、ワイら日本の研究者は『カルタヘナ法』という取り決めに基づいて研究を行うんや」
彡(゚)(゚)「遺伝子研究ってのは慎重に行わんとそれこそ世界を変えかねんからな…」
彡(。)(。)「やけど、運用するのは所詮人間や…欲に目がくらんだら、どうなるか分からんな…」
(*^◯^*)「はえ^~ 確かに、遺伝子組み換えのアレコレが無秩序にバラまかれたらヤバそう」
彡(゚)(゚)「せやな…。 実は、生み出すのと同じくらい、処分の仕方も重要なんや。 ヘタな処分したら…」
彡(-)(゚)「ふあ……」
(*^◯^*)「あ、ごめん、眠い?」
彡(-)(-)「ワイは昨日徹夜で準備したからなぁ… すまんが、ちょっと寝かせてもらうわ」
7: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:35:17 ID:aL9
(*^◯^*)「うん。 ついたら起こすね」
彡(-)(-)「おおきに……」
彡(-)(-)「…zzzZZZZ…」
……zzzzZZZZ……
…………
────
「…頼みがある」
「なんだ」
「実はな……こっちの研究の過程で生じた、大量の"在庫"があるんだ」
「在庫?」
「…成長促進遺伝子を使った植物で食料品を大量に作るってプロジェクトだったんだが…
これがどうにもクソマズくて食えない代物でな… それが大量の在庫になっちまって…」
「…味見はしなかったのか」
「そんな悠長なことしてたら他の研究所に先越されちまう!
今、この国の研究は出遅れたら即追い抜かれておしまいだ!
一度落ちぶれたら、もう二度と国はカネを出さない! お前だってよく知ってるだろ!」
「ああ……」
「それで…その大量に出た"在庫"を… お前んとこで処理できないか?」
「処理… 食わせるってことか? ウチのゴキブリに」
「そうだ。 ゴキブリなら味もわからねぇだろ?
それに、そっちの餌代も浮く! お互いに悪い話じゃねぇだろ?」
8: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:35:53 ID:aL9
「…なるほどな。 分かった。今後会議にかけて、役人の承認も取り付けて…」
「バカ!それができねぇからこうやって話してるんだろ!」
「…申告してないのか…」
「ああ…さっきも言ったが、プロジェクトの失敗自体が悪い印象与えちまう。
失敗は隠す…成功すれば表に出す…常識だろ?」
「まあな」
「だから、お前のとこでこっそり食わせてくれよ。 頼む!」
「……いいだろう」
「! ありがとう…!助かる!」
「その代わり、"謝礼"はそれなりの額だ。 当たり前だろう?」
「……わかった」
「…よし、交渉成立だ。 私が他の誰にもバレないよう、手配してやる。
気が付いた時には、すべてはゴキブリの腹の中さ」
────
──
─
…くん!
やきうくん!
(*^◯^*)「やきうくん!」
彡(-)(゚)「ファッ!?」
(*^◯^*)「ついたよ!」
彡(゚)(゚)「ついた…んか……」